課徴金制度とは、法令違反行為を行った者に対し、
「行政罰」
としての金銭的負担を課す制度ですが、金融商品取引法のほか独占禁止法においても定められているものです。
インサイダー取引など悪質な法令違反行為に対しては、従前から懲役や罰金など
「刑事罰」
による制裁システムが存在しました。
しかしながら、
「刑事罰」
を発動するためには、裁判手続において厳格かつ慎重な立証が必要で、最終的な解決までに何年もかかってしまいます。
金融商品取引法令違反行為の是正にこのように煩瑣で面倒な手続を逐一履践していては、適時に罰すべき行為が放置されることになり、日々発展し変化を遂げる証券取引におけるモラルハザードが助長されかねません。
そこで、違反行為に対して簡単かつスピーディーに金銭的なペナルティを課して金融商品取引秩序を維持すべく、2005(平成17)年の証券取引法改正(その後金融商品取引法に制度承継)により
「行政罰」
たる課徴金制度が導入されました。
「簡単かつスピーディー」
といっても、曲がりなりにも、企業に対し一定の不利益を食らわす制度ですから、いきなり
「何時何時までに課徴金としてX億円を支払え」
という命令を下すわけにはいきません。
適正手続を保障する観点から、金融庁での審判手続によって違反事実の有無が審理され、これに基づき、課徴金納付命令発令の是非が判断されることになるのです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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