00387_「ホワイトナイトを依頼した際に買ってもらった株が塩漬け状態となった場合」の買受・引取テクニック

敵対的 TOBで乗っ取られそうになっている企業を助太刀すべく、ホワイトナイトとして登場し、第三者割当増資等で株式を引き受けたりする会社がときどき脚光を浴びることがあります。

しかし、ホワイトナイトとして活躍して役目を終えた会社が、その後、
「どのようにして舞台をハケていくのか」
という点についてはあまり語られません。

ホワイトナイトとして助太刀したのはいいが、そのために買い取った大量の株式(しかも買収騒動が終わった後は、もとの地味な会社に戻るため、株価はぐんぐん下がり始める)の処理は、ホワイトナイト側として正直頭を痛めるところです。

市場で大量に売却するとなると、株価の下落にさらに拍車をかけることになりますし、自己株式として引き取るといっても株主全員に対して声をかける必要があり(株主平等原則)、
「ホワイトナイトさんだけ特別扱いしてあげて、会社が株を引き取ってあげる」
というのも会社法上特別決議を要します(会社法160条1項、309条2項2号)。

このように、通常は、特定の株主から自己株式を取得することは非常に難しいのですが、
「会社の合併など、組織再編行為の場合の、反対株主からの自己株式の取得」
については、このような制限がありません。

その理由ですが、
「会社が合併などの組織再編をする必要性の高さと、それに反対する株主の利益を両立させるためにはやむを得ない措置であるから」
等と説明されています。

そこで、このような株式買取請求制度に目を付け、
「ホワイトナイトの手許の塩漬け株を自己株式として引き取る」
という離れ業をやってのけた事例が出てきました。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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