00470_民事訴訟弁護活動の実際:訴訟弁護士の戦略思考や活動戦術の具体的内容

弁護士は、
「明らかに事実に反するウソはつく」
ような品のない真似はしません。

しかし、
・クライアントにとって有利なことは大きな声で述べ、
・クライアントにとって不利な事柄は黙っている(あるいは、言い換えや抽象度の高い表現を使って、目立たなくする)
ということはします。

何か、姑息で卑怯でインチキなことをしているように聞こえるかもしれませんが、弁護士たるもの、クライアントの利益は徹底的に守らなければならず、職業倫理上、クライアントにとって有利なことであれば声高に大々的に主張するのは、職業人として当然です。

また、別の職業倫理として、高度で厳格な守秘義務を負担する弁護士としては、
「クライアントにとって不利な事柄は黙」
っても差し支えなく、いや、むしろ、職業倫理上黙るべき、ということになります。

そうすると、裁判所には、
「クライアントにとって有利なこと」
だけピックアップし、これが増幅・誇張され、他方、
「クライアントにとって不利なこと」
はすっぽりと抜かれた、
「歯抜けのような話」
が提出されます。

その結果、裁判所に
「美しい誤解」
が生じます。

この
「美しい誤解」
は、クライアントにとって歓迎すべき状況ですので、弁護士としては、
「美しい誤解はそのまま」
にしておきます。

当たり前です。

クライアントにとって歓迎すべき状況であるにもかかわらず、裁判所に、わざわざ
「ちょっと誤解してますよ」
と注意喚起して、クライアントを不利な状況に陥れる弁護士はまずいないでしょう。

え? 
「それって、ウソついてんでしょ」
って?

違います。

弁護士として、真剣にかつ誠実に、かつ愚直に、職業倫理にしたがったら、結果として、
「美しい誤解」
が生じちゃっただけですから。

このように、弁護士が語るお話は、
「職業倫理遵守」
によって、意図するしないにかかわらず、事実とズレたものとなってしまいます。

ですが、これは
「ウソ」
とはいいません。

「ストーリー」
といいます。

自分でいってても恥ずかしくなるような詭弁ですが、弁護士は、クライアントのために一生懸命
「ストーリー」
は語りますが、
「ウソつき」
ではありません。

もちろん、以上の理解は、私の理解するところの
「民事訴訟弁護のお仕事」イメージ
であり、一般的なものとは違うかもしれません。

他の弁護士の先生で、ひょっとしたら、守秘義務について全く別の解釈を行い、
「クライアントにとって不利なこと」
を大きな声で主張したり、
裁判所に
「美しい誤解」
に生じている状況でクライアントにとって歓迎すべき状況であるにもかかわらず、裁判所に、わざわざ
「ちょっと誤解してますよ」
と注意喚起して、クライアントを不利な状況に陥れるようなことをなさる方もいるかもしれません。

無論、こういう善意の塊のような方は、人間としては素晴らしく友達としてお付き合いするには最高です。

ただ、
「こういう善意の塊のような方に、民事訴訟を任せるか」
といわれると、
「私個人としては」
絶対任せません。

ところで、以上のようなお話を、民事訴訟を検討しているクライアント向けに、
「我々(当弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所)は、今後、どういうアプローチで、この裁判を進めるのか」
という点について、戦略思考や活動戦術の実際を具体的かつ現実的に知ってもらうために、9分弱の動画を作成し、これを受任に際して視聴していただいています。

いろいろ参考になる点もあるので、下記に転載しておきます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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