00424_違法残業により役員個人が責任を負う場合

会社が責任を負うとしても、役員個人が賠償責任を負うなどということがあるのでしょうか。 この点について、過労死等の場合、会社が責任を負うのはともかく、役員「個人」が賠償の義務を負うなんて考えられないという経営者が大半であると思われます。 しかしながら、役員個人も損害賠償責任を負うとの裁判例が近年出されていますので十分な注...

00423_違法残業から生じる多大なリスク

残業とは、法定労働時間を超過して働かせることをいいますが、この場合、まず労働基準法36条に基づく協定(36協定)の締結が必要です。 そして、週40時間以上勤務させるような法定外残業の場合には、残業代として基本給の25%増を支払わなければなりませんし、それが休日の場合には35%増とする等の規制が働くことになります。 加え...

00422_長年続いてきた契約をいきなり終了する場合の法的リスク

わが国の取引における基本的ルールとして、誰とどのような契約をしようが一切自由である、とされています(契約自由の原則)。 これは、「取引社会に参加する者が、それぞれ己の知力や財力を最大限に活用して、自由に契約交渉を行い、互いに競争させる基盤を確保することが、市場経済の発展には必須である」という考えに基づくものであり、資本...

00421_検収を放置すると、債務不履行責任を問えなくなるリスク

ビジネスのプロ(商人)同士の取引を規律する商法は、検収や債務不履行について、特別なルールを定めています。 すなわち、商法526条は、商人間の取引について、「1項 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。2項 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定...

00420_約束違反(債務不履行)が生じる場合と、被害当事者の取り得るアクション

頼んだ商品がまだ届かない、頼んだ商品が届く前に消滅してしまった、商品は届いたが数が足りない、といった「債務者が債務の本旨に従った履行をしない」場合を総称して債務不履行といいます。 そして、この債務不履行は、概ね、1 例えば、12月24日までにケーキを届けるという契約において、24日を過ぎてもケーキが届かないといった場合...

00419_苦労して作り上げたデータベースも、著作物として保護されないリスクがある

著作権法は、データベースについて「データベースの著作物」として保護されると規定されています。 しかし、著作権法は、「創作的表現」を保護するものであり、すべてのデータベースが平等に保護されるわけではありません。 同法によれば、「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するもの」のみが保護されるとされ...

00418_「優越的地位の濫用」に対するペナルティ

経済の発展のためには、市場のプレーヤーたる契約当事者らが競争を続けることが必要であり、そのために、自由な契約交渉を行い、自由に契約を締結できるのが原則となっています。 ところが、弱肉強食の経済体制を放置すれば、かえって強者のみが勝ち続けて競争がなくなり、経済が発展しなくなります。 そこで、独占禁止法は、「自己の取引上の...

00417_「あらゆる努力をして世の中に存在する種類物をみつけてきて引渡す義務」が、「手元にある商品を引き渡せばそれでお役御免」に軽減される場合

取引が一定程度進行すると、「種類物」を引き渡すための準備として、物を梱包したり、「〇〇社宛」といった名札を付けたり、といった作業を行い、最終的に引き渡す物を限定していくことになります。 その結果、実際に引き渡すものが確定することになりますが、この状態を「種類債権の特定」といいます。 では、どのような行為をすれば「種類物...

00416_特定物と種類物の違いと、売買における法的取扱のポイント

不動産や骨董品のように、その物自体の個性に着目し、世の中に1個しか存在しない物を取引の対象とする場合、その物を「特定物」といい、当該特定物の引き渡しを受ける権利のことを「特定物債権」といいます。 次に、フランスの赤ワイン12本、といったように、一定量の同じ種類の物を売買等の引き渡しの対象とする場合、その物を「種類物」と...

00415_採用内定を取消す場合の手続き

「人を雇う」という契約は、いったん成立すると、解消は大変困難です。 雇用と婚姻とは取引としては酷似しており、「結婚は簡単だが、離婚は大変」なのと同様、「採用は安易にできるが、採用した人間を辞めさせるのは極めてハードルが高い」といえます。 すなわち、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場...