00621_企業法務ケーススタディ(No.0212):あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース19:あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判をご覧ください。

相談者プロフィール:
株式会社サニー・ジャパン 代表取締役 柴 珍一(しば ちんいち、77歳)

相談概要:
相談者は、問題のあった従業員を解雇しました。
社労士の話を参考に、予告手当として1カ月分、さらに、手切れ金がわりに少しイロをつけた退職金を支払いました。
この件は終わったと思っていたところ、裁判所から労働審判申立書がきました。
労働訴訟の経験から、相談者は申立書を1ヶ月ほど放置してから裁判所に連絡したところ、その応対は思いのほか厳しかったようです。
労働審判というのは、労働裁判とは違うものなのでしょうか。
以上の詳細は、ケース19:あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1: 労働審判とは
労働審判は、司法改革の一貫として、2004年から導入が始まった制度で、
「労働審判官(裁判官)と労働審判員(民間人)とで構成される労働審判委員会が、労働者と使用者との間の民事紛争に関する解決案をあっせんして、当該紛争の解決を図る手続き」
と説明されています。
手続きが行われる場所は裁判所で、裁判官も
「審判官」
という肩書で参加します。
以上の詳細は、ケース19:あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判【労働審判とは】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2: “裁判所”街道の渋滞回避策が労働審判制度
規制緩和社会の到来と同時に
「訴訟社会」
の訪れを見越した裁判所は、民事訴訟法改正やそのほかのさまざまな訴訟運営効率化施策を打つと同時に、新たなシステムを導入しました。
その1つが
「労働審判制度」
です。
以上の詳細は、ケース19:あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判【“裁判所”街道の渋滞回避策が労働審判制度】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3: 労働審判とフツーの裁判の違い
裁判官以外に、
「民間の有識者」
も混在させて裁判官主導の独裁色を中和させつつ、他方で、
「民間の有識者」
に暴走させることなく
「審判官」
という立場で参加する裁判官が裏でしっかりと手綱を握って、
「後から本格的裁判で争うことも可能な、裁判モドキ。ちょいと雑で、スピーディーで、独裁チック」
みたいな風体で導入されたのが、
「労働審判」
です。
以上の詳細は、ケース19:あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判【労働審判とフツーの裁判の違い】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点4: げに恐ろしき労働審判
労働審判手続きを経て労働審判が言い渡された後、その審判内容に不服であれば、本格的な労働裁判(労働訴訟)に移行可能となっています。
しかし、労働審判は、
「ダラダラ裁判」
を否定するために設計され導入されたものですから、
「時間的効率性を徹底して追求する」
という正義が根源的なものとして存在します。
それ故、まず、期日変更はできませんし、話を聞いてくれるのも最初の期日で終わり、という有様(制度上3回の期日で終了することになりますが、よほど複雑な事件でない限り1回ポッキリの期日で終了する運用、のようです)。
以上の詳細は、ケース19:あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判【げに恐ろしき労働審判】をご覧ください。

モデル助言:
期日変更は不可、第1回期日で、こちらのストーリープレゼンがすべて終了する、と考えておいた方がいいでしょう。
今から、すべての事実関係を整理し、証拠をそろえ、当日の事情聴取リハーサルをして、短い時間で、要領よく、こちらのスタンス、従業員の行動や態度の不当性と、こちらの措置の正当性が自然に理解されるようなエピソードをプレゼンしなければなりません。
労働審判では、かなりの確率で、強硬な和解勧告が行われます。
今回のケースで最重要の防衛ラインは、復職を認めさせず、労働関係を終わらせること。
復職されようものなら、社長のメンツは丸つぶれで、しかも、定年まで厄介者が居座る可能性もあります。
和解金をこれ以上払うのは悔しいかもしれませんが、職場から総スカン食らっている、常識の異なる人間を定年まで雇用し続ける耐え難さに比べれば、合理的ともいえます。
以上の詳細は、ケース19:あな恐ろしや、ブラックの烙印押されかねない労働審判【今回の経営者・柴社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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