例えば、コンビニエンスストアに行っておにぎり1個を100円で買いにいったとしましょう。
その際、
「売主を甲、買主を乙とし、売主は、買主に対して、本日、別紙明細・仕様にかかるおにぎり1個を100円にて売渡す。・・・」
という契約書を持参していき、
「この契約書に逐一署名押印しないと、まともな契約処理とはいえず、コンプライアンス的に問題であるので、おにぎり売買取引はすべきでないし、できない」
などと言い出した人間がいたとしましょう。
この人間の言い方はまったく間違っていませんが、こんなことを逐一やっていたら、それこそ日本経済がマヒしてしまいます。
100円のおにぎりの例は少し極端ですが、1,000万円の取引であろうが、1億円の取引であろうが、やはり、
「契約書」
などといったご大層な紙切れなどなくとも
「契約」
は立派に成立するのです。
実際、テレビ番組やテレビコマーシャル制作委託取引の現場などは、紙切れ1枚なく、数千万円単位の取引が日常的に行われているようです(2009年2月25日に総務省から公表された「放送コンテンツの製作取引適性化に関するガイドライン」等をみますと、『どんなに巨額の取引でも口約束で済ませる』というテレビ業界におけるある種、いい加減ともいえる慣行を伺わせる記述がみられます)。
あと、証券取引や為替取引や商品先物取引等というのも、基本的に口頭だけで何千万円単位、何億円単位の取引が行われます。
「後場に入ったら、すぐに手持ちの買いポジション解消して。早く。早く。早く~~~~」
なんて現場で、悠長に
「甲及び乙は、本日、・・・・」
という契約書を作成して調印していたら、それこそ取引機会を逸して大損することになります。
運営管理コード:HLMGZ13-2
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所