簡単にみえる、簡単そうに思えるビジネスがあります。
シンプルで、わかりやすく、使いやすい。
ビジネスが、一般人にも、子どもや老人にもわかりやすいものであるからといって、子どもや老人、あるいは平均的サラリーマンがやろうと思っても、まず無理です。
ビジネスがシンプルで、わかりやすく、顧客やユーザーにとって使いやすいからといって、
「そのようなビジネスを立ち上げたり、運営したりすることも、バカでも簡単にできる」
ということではありません。
例えば、わかりやすそうな例として、ネットで商品を販売する、というビジネスを考えてみましょう。
普通の人が、このようなビジネスをいきなりおっぱじめても、まず失敗します。
ネットの空間は、宇宙空間並みに無限の広がりがあります。
自分としては、
「こんなにいいモノがこんなに安かったら、皆、殺到して買う」
と思い込んでネットで出店しても、実は、北海道の原野にぽつんと立っているセレクトショップのように、半年たっても、1年たっても客は1人もこず、すぐに潰れます。
どんなにいい商品を安い値段で提供しても、顧客に知られなければ、商売は成立しません。
また、せっかく1年目に1人お客さんが来店しても、お客さんの欲しいモノが置いていなければ、何も買わずに帰ります。
顧客の現実、欲求、価値観を知り、顧客のニーズやウオンツを研究・把握し、これに基づいて、商品やサービスを企画し、設計し、これを顧客が認知されるに至るまで状況構築し、来店したら、購買行動に駆り立て、売買を成立させ、代金を確実に回収する。
この営みは、生半可なことではありません。
課題が見えていない、ということは恐ろしいことで、 ネットビジネスが簡単でわかりやすいからという理由だけで、
「そのようなビジネスを立ち上げたり、運営したりすることも、バカでも簡単にできる」
という愚かな人が結構いらっしゃいます。
逆に、課題をすべて正確に見えている、というのは、ビジネスの成功の必要条件です。
課題をイメージしたり、発見・特定できる、というのは、一種の
「知性」
です。
おそらく、ネットビジネスを成功するような人の脳内では、ネットビジネスの課題がかなりリアルかつクリアに見えているのだと思います。
例えば、ネットでソフトやコンテンツといった情報商材を販売するのは、原価も少なくもっとも儲かる商売の1つです。
ですが、このような商売をするには、とびきり頭がよくないとできません。
おそらくそういう商売をしている人の脳内は、こんな具合に、緻密かつ複雑に働いているのだと思われます。
ビジネスにおける知性というものは、課題発見におけるイマジネーションと課題特定におけるインテリジェンスとほぼ同義です。
おめでたい人、緻密ではない人、安易に考える人、楽観的な人、不安感情の乏しい人というのは、組織のぬるま湯でほどほどに生きるには向いていますが、厳しいビジネスの世界でリーダーシップをとって生き抜くには難しいかもしれません。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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