一般的な民事事件等では、委任に際し、事件の経済的規模に応じて一定割合を乗じた着手金を請求し、事件終了後、解決金額等に応じた報酬金(成功報酬)を請求することが多いようです。
しかし、企業法務事案については、事件の経済的スケールが大きく、着手金・報酬金の算定が困難な事態が生じます。
そこで、企業法務事案を多く取り扱う法律事務所等においてはタイムチャージ制を採用するところが多く、この場合、事案の成否にかかわらず、担当弁護士の稼働時間に単価を乗じた費用が請求されます。
タイムチャージ制の難点は、弁護士が法律事務所内で執務した時間や経験の浅い弁護士をOJT(on the job training、実務の実践を通じた実地教育)目的も含めて関与させた場合の時間もチャージされることで、請求される費用と企業に生じた成果にアンバランスが生じることもあり、クライアントにとって不満が生じる場合があります。
この点を克服すべく、アウトプットベースによる課金制度も存在します。
すなわち、企業法務を取り扱う法律事務所によっては、採用契約書・裁判所宛提出文書その他の文書成果物の量に応じたチャージ(ドキュメンテーション・チャージ)や法廷への出廷や事案の協議や対外折衝といったクライアント企業も把握できるイベントに対応したチャージ(イベント・チャージ)等を積算して費用請求することとし、弁護士の法律事務所内の執務時間や新人弁護士のOJT目的で長時間の試行錯誤を重ねた執務時間はチャージしないという扱いをするところもでてきています。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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