取締法規が関係する法務課題に関しては、クレバーに対応したつもりが、後から監督行政機関側から法令違反と指摘され、大きな問題に発展することがあります。
例えば、雇用にまつわる様々なコストや負担を回避すべく、請負等のアウトソーシングという手法が採用されることがあります。
しかし、アウトソーシングが雇用回避策としてうまく機能するためには、
「発注企業が請負会社の労働者に直接、指揮命令してはならない」
という前提が必要であるところ、例えばラインが稼働している工場現場において
「ラインの責任者が請負会社の労働者に直接指示しない」
というルールがいかに非現実的であることは明白です。
また、派遣先で労働災害が生じた場合に、指揮命令のあり方や安全配慮義務の履行をめぐって通常の労働災害以上の大きなトラブルになることも十分予測できます。
「雇用にまつわるコストや負担を効果的に回避する優れた戦略」
と考えられた代物は、最終的には偽装請負として、社会問題にまで発展しました。
このように、規制回避策としての戦略法務は、社会的視点や監督行政機関の考えを無視して、机上のアイデアと独善的な条文解釈だけで乗り切ろうとすると大火傷を負うことにつながりかねないので、慎重に進めていく必要があります。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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