フランチャイズ契約とは、本部の提供するブランドやノウハウを含む総合的なビジネスパッケージ(フランチャイズパッケージ)の提供を骨子とし、ノウハウを
「営業秘密」
として保護される仕組みを規定し、さらには安定的な組織体制を作る目的でフランチャイズ脱退後の競業制限を盛り込む等、複数の契約が複雑かつ有機的に体系化されたものです。
アメリカでは、州によってフランチャイズを規制するためフランチャイズに関する法律を制定しているところもありますが(カリフォルニア州やアイオワ州等)、日本は事業者間契約として、契約自由の原則(契約内容決定の自由)が全面的に適用されるため、契約内容は契約書起案者(通常は本部・フランチャイザー)の個性と能力に委ねられています。
このような点から、フランチャイズ事業を行う企業やその顧問弁護士(契約法律事務所)により、企業法務戦略上の知恵や予防法務の観点からリスク管理の知見フランチャイズ契約書に創造的に蓄積され、フランチャイズ契約技術は高度な発展を遂げています。
以下、先端的なフランチャイズ契約書の規定項目を参考として紹介します。
なお、フランチャイズ契約の構築にあたっても独占禁止法対策が必要です。
すなわち、フランチャイズ契約においては、フランチャイジーとフランチャイザーとの契約交渉力等の格差から、
「優越的地位の濫用」
に該当する場合があります。
例えば、2009年6月、公正取引委員会は、株式会社セブンイレブン・ジャパンに対し、優越的地位の濫用規制に対する違反行為があったとして、排除措置命令を出しています。
これは、セブンイレブン・ジャパンが、加盟店に対して、販売期限が追っている商品を値引き販売する等の
「見切り販売」
をしてはならないと拘束していましたが、その一方で、加盟店は廃棄商品の原価相当額を負担せねばならないとしていたため、加盟店が常に一方的に廃棄商品に関する損失を被っていたという事案です。
セブンイレブン・ジャパンは結局、排除措置命令を受け入れることを表明しましたが、全国の一般消費者を対象にコンビニエンスストアを展開するというビジネスを行っていたことから、風評等にも多大な影響を及ぼしました。
また、個別のフランチャイズ加盟店主との関係では、値下げ販売を不当に制限されたとして損害賠償が提起されていますが、2013年8月30日、東京高裁は、
「社員が優越的地位を利用して値引き販売を妨害した」
と認定し、1,140万円の支払いをセブンイレブンに対して命じています。
同社からは上告の意思が表明されており、この論点に関するリーデイングケースとなることでしょう。
運営管理コード:CLBP408TO410
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所