マネジメント・バイアウト(MBO:Management Buyout)とは、経営陣による自社株式の買い取りによるM&Aを指します。
このようなM&A手法が最近増えてきた背景には、株式公開に様々なコストや負担を忌避して、創業者社長が上場廃止策の一環として実施するといったことが挙げられます。
「多大な時間とエネルギーを費やして上場しておきながら、わざわざ面倒なことをしてまで上場廃上にする」
というのは何とも勿体ない話ですが、逆に言えば、上場企業の社長がそのような決意をせざるをえないくらい、上場を維持するための直接的あるいは間接的な負担(あるいは敵対的買収のリスク)が大きくなっているものと考えられます。
MBOを実施すると言っても、創業社長等の筆頭株主がポケットマネーを出して市場に出回っている株式をTOBで買い戻すことはおよそ不可能です。
したがって、金融機関から借り入れたり、あるいはこの種の案件を取り扱うファンドの支援を受けてTOBにより、市中に出回っている株式を一括で買い上げる形で行うことになります。
この借入の際には、自社(=買収対象会社)の資産等を担保とすることが要求されますので、この意味で、MBOは、
「経営陣をバイサイド(買手)とするLBОの1つである」
ということができます。
わが国における上場企業を対象会社とするMBOのほとんどは、非公開化を行うことで長期的な経営戦略を実現するために行う非公開型MBOであり、著名な案件としては、アパレル大手
「ワールド」
のMBOやファミリーレストランチェーン
「すかいら―く」
のMBOが挙げられます。
2006年7月に実施された
「すかいら―く」社
のMBOは、わが国最大規模であり、買収金額は2,500億円を超えるものでした。
しかしながら、MBOを実施したすかいら―くの創業者は、
「ファンド等の支援を得て非公開型MBOを行うということの本質が、株主が一般株主からファンド等のローン債権者に変わる、単なるオーナーチェンジである」
という点を理解していなかったようです。
結局、MBO終了から時をおかずして、すかいら―く創業者たちは、ファンドの意向により、MBOにより手に入れたはずの
「すかいら―く」社
から放逐される、という憂き目をみるに至っています。
運営管理コード:CLBP566TO567
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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