1 仲裁に関する二国間協定(他国間協定)を利用する方法
仲裁判断を執行する国・地域がニューヨーク条約の加盟国ではない場合でも、仲裁判断を行った国・地域(「A国」とします)と仲裁判断を執行する国・地域(「B国」とします)が、個別に締結している
「仲裁判断の承認に関する三国間の協定」
又は、多国間協定などを利用することで、仲裁判断に基づいた執行を行うことが可能となります。
後者の例として、アラブ連盟に加盟する国・地域が締結している
「司法協力に関するアラブ条約」
が挙げられます。
2 第三国を利用する方法
第三国(「C国」とします)を通じて、A国で行った仲裁判断に基づきB国にて執行を行う方法です。
(1)B国がニューヨーク条約に加盟していない場合
A国及びC国がニューヨーク条約に加盟している場合で、B国とC国が個別に
「仲裁判断の承認に関する二国間の協定」
を締結している場合には、
ア まず、ニューヨーク条約に基づき、C国の裁判所に対し、「A国で行った仲裁判断」の承認を求め、
イ 次に、上記C国の裁判所が行った「A国で行った仲裁判断の承認」をふまえて、C国とB国間の「仲裁判断の承認に関する二国間の協定」に基づき、B国にて執行する、
といった方法が考えられます。
(2)A国がニューヨーク条約に加盟していない場合
A国とC国が個別に「仲裁判断の承認に関する二国間の協定」を締結している場合で、B国とC国が個別に
「仲裁判断の承認に関する二国間の協定」
を締結している場合には、
ア まず、C国の裁判所に対し、A国とC国間の「仲裁判断の承認に関する二国間の協定」に基づき、「A国で行った仲裁判断」の承認を求め、
イ 次に、上記C国の裁判所が行った「A国で行った仲裁判断の承認」をふまえて、C国とB国間の「仲裁判断の承認に関する二国間の協定」に基づき、B国にて執行する、
といった方法が考えられます。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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