有事の際、選択肢としては、
1 攻撃一辺倒
2 和戦(和睦と戦争)両用(要するに、和解を働きかける)
の2つがあります。
弁護士としては、
「急がばまわれ」
「迷えば、苦しい方」
との作戦原理にしたがい、1を上策とし、2を排すべし、と考えます。
企業が2を選択した途端、相手を増長させ、却って交渉プロセスを長引かせ、結果として利敵に失することになります。
要するに、有事の際、いきなり和解を働きかけることは明らかな戦略ミス、ということになります。
ところが、企業によっては、時間やコストを優先し、
「急がば、近道」
という短絡的思考に陥り、相手から一刻も早く対話のメッセージを引き出すほうがいい、とばかりに、下策としての2を選択するところがあります。
誠実な弁護士なら、企業への助言として、相手方へのメッセージの起案において、1を基本としつつ2を追加し、最終決定においては、2を削除して1に徹することもできるようなハイブリッド型のギミックを含ませたものを提案するでしょう。
少しでも企業側にとって有利にコトが運ぶように、考えるからです。
それでも、企業が、時間やコストを優先するがために、和解を基本としたメッセージを相手に出すとしましょう。
事態は、まちがいなく、弁護士の懸念どおり、
「相手は増長し、嵩にかかって立場を強め、交渉の主導権を取る(=相手に完全にナメられている)」
状況に陥ってしまいます。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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