有事の際、選択肢としては、
1 攻撃一辺倒
2 和戦(和睦と戦争)両用(要するに、和解を働きかける)
の2つがあります。
明らかな戦略ミスであるにもかかわらず、企業がいきなり和解を働きかけ、
「相手は増長し、嵩にかかって立場を強め、交渉の主導権を取る(=相手に完全にナメられている)」
状況に陥ったとしましょう。
このような場合、企業がなすべきは、まず、状況の認知、評価、解釈、そして総括をすることです。
総括を受け入れないことには、前にすすめません。
この時点における総括とは、
企業が
「時間やコストを優先」し、
あるいは
「安い、早い、うまい」手があると盲信し、
選択した初手の「和戦両用(和解の働きかけ)」が、
結果として、交渉における優位性を喪失した、
ということです。
総括を受け入れてはじめて、企業として次の手(方針や優先価値)を決めることになります。
ここにおいても、選択肢があります。
弁護士が新しく示す選択肢は、
1 時間やコストを優先
2 交渉におけるマウントを優先
と、なりましょう。
これは、トレードオフ課題であり、
「安い、早い、うまい」
というような、わがままで愚かな選択肢は存在しません。
1 時間やコストを優先する
のであれば、プライドをかなぐり捨てて、対話をすすめるべきです。
2 交渉におけるマウント
にこだわるのであれば、相手に対して粛々と訴訟提起をすべきです。
2を選択した場合にのみ、いずれの過程でか、相手がギブアップしてくることが出来しないともかぎりません。
相手がギブアップしてはじめて、こちらがマウントを回復でき、その上で、ようやく、優位に和解をすすめることができるのです。
重要なことは、焦らない、ということです。
焦ると、人は馬鹿になります。
有事においては、時間という資源が何より大事となります。
焦ったら、急ぐのではなく、前提を変え、前提を再考し、焦る原因を取り除き、時間的冗長性を確保して、対処すべきです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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