特定調停法(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律)は、
「支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため」、
債務者と債権者との間で、債務の一部免除や弁済期限の変更、担保関係の変更等について行う調停手続を定めています。
裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合で相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができます(民事調停法17条、特定調停法20条)。
これについて、当事者が2週間以内に異議を出さなかった場合には、決定は裁判上の和解と同一の効力を有することになります。
このように特定調停は、当事者間だけで実施している私的整理に進展が見られず、あとは法的整理にならざるをえないという状況において、公平な第三者たる裁判所が介入することで、事態を打開するツールとして機能する可能性があります。
日本においては
「裁判所」
に対する信頼が厚いため、当事者同士の話合いでは埒があかなかったものが、特定調停において短期間で調停が成立する、という事例も存在すところです。
さらに、特定調停の場合には、裁判所は、一定の要件のもと、特定調停の目的となった権利に関する民事執行の停止を命じることができるとされています(特定調停法7条)。
工場など、事業継続に不可欠な資産が担保となっている場合に、活用できる可能性があります。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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