科学の力は偉大です。
医学の力も偉大です。
しかし、
「病気を治す」
というだけでは、医者はこの世で存在することを許されません。
きちんと、
「損益計算をして、採算を維持し、生活を支え、ゆとりを保ち、利益を留保・再投資する」
という営みを成し遂げて、始めて、医者は、この世で存在することを許されます。
開業した医師の中には、以下のような、不合理な認識(というか妄想)をもつことがあります。
・医は算術にあらず、仁術なり
・お金は後からついてくる
・お金は汚いもの。汚いお金のことを細かく考えるのは薄汚れた営み
・医者のことは医者にしかわからない
・経営助言をする者は、開業医については、素人であり、お金のことしか考えない
・私は患者から敬愛されているし、私を頼ってやってくる患者はたくさんいる
・みすぼらしい設備だと経営はうまくいかない。駅前じゃないと、開業できない。大きく投資をして見栄えをよくしたら、後できっちり回収出来る。真面目にやっていたら、そのうちうまく回り始める。
経営相談にいらっしゃったにもかかわらず、このような認識をもったまま、このような認識を前提として開業をすすめようとし、助言を聞き入れることなく、頑迷固陋ともいえるほどに助言を遮断する方もいます。
ところで、著者はビジネス弁護士です。
・成長・成功するビジネス
・全然だめなベンチャー
・大成功している開業医
・その反対の状況で苦しんでいる開業医や開業歯科医
等々、ありとあらゆる事業やビジネスを、ビジネスモデル(損益計画・採算ロジック)から、また、安全保障面(収益確保と採算確保の確実性やストレステスト)から、臨床面で支えた経験をもっています。
ですから、事業内容をお伺いすれば、数分で、ビジネスモデルの病変を発見、助言することができます。
ビジネス弁護士の話を聞き入れてくれればいいのですが、前記のような認識を絶対不変の前提として開業しようとする医師には対しては、
「まあ、痛い目みないとわからないだろう」
と匙を投げるほかありません。
まず、大切なことは、
「もっと人の話を聞いた方がいい」
ということです。
「聞くべき人間を間違えてはいけない」
のは、言わずもがなですが。
特に、前記のようなバイアスを補正するどころか、バイアスを増幅させ、過大で過剰な設備投資を進める(その裏側で、過大な債務を負わす方向に誘導する)ような医療経営コンサルタント等の助言は敬して遠ざけるべきです。
そして、科学や医学と同様に、経営知見の力も偉大である、ということです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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