00508_取締役が競業避止義務に反して、ライバル企業となる事業を始めた場合の法的責任

取締役が競業避止義務に反した場合、どのような責任追及がなされるのでしょうか。

00507のように、会社と取締役は委任契約が締結されており、取締役は、会社にとって最善の策を取る義務があります。

そこで、本件のようにワンマン経営を行っていた会社の代表取締役が、競業避止義務に反して新しい会社を設立したケースについて、判例では、
「代表取締役が新しい会社を設立したのは、会社が代表取締役に対し、新しい部門を設置するようにとの委任があったと考えるのが合理的である」
として、
「当該委任義務の履行として、新しく設立した会社を元の会社の一部門とするか、子会社として引き渡す義務がある」(東京地裁判決・昭和56年3月26日『判例タイムズ』441号73頁)
としたものや、代表取締役および新会社に対する損害賠償請求が認められた事例(名古屋高裁判決・平成20年4月17日)などがあり、役員側に厳しい結果が出ています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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