00892_オペレーション(ルーティン)とイノベーション(プロジェクト)2:イノベーション(プロジェクト)を効果的に行うために

オペレーション(ルーティン)と比較されるイノベーション(プロジェクト)とは、未体験・未経験の課題への取組みを指します。

すなわち、イノベーション(プロジェクト)とは、正解なき課題、あるいは正解も定石も不明な課題への取組みを指します。

まず、持つべきは、未知の課題や未達成の成功に対する
「謙虚な姿勢」
です。

正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題です。

「こうやれっばいい」
「こうすべきだ」
「正解はこれだ」
「絶対このやり方がいい」
とこの世の誰も断言できることができない課題です。

なぜなら
「正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題」
だからです。

「 正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題」
について、
「正解を知っている」
「定石を知っている」
と言い出す人間は、壊滅的なバカか、邪悪な詐欺師です。

未知の課題や未達成の成功に対する
「謙虚な姿勢」
というのは、正解を探す努力や、
「正解や定石を知っている」
と称する人間を探す努力を、勇気をもって放棄することも含みます。

そうしないと、この種のバカに振り回されたり、詐欺師に騙されたりして、多くのカネや時間やエネルギーを喪失することになります。

次に正しいチームビルディングです。

プロジェクト・オーナー(動員資源を拠出し、最終的に結果の成否を負担する人間である、決裁者)、
企画設計者、
プロジェクト・マネージャー(企画遂行責任者)、
企画遂行者、
バイアス補正やゲーム・チェンジのための外部知的資源
といった、明確な役割をもち、スキルと責任を有する者により組成されたチームを作り上げることです。

そして、これらチームが、前記の
「 正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題」の
「謙虚な姿勢」
をもって、科学的・合理的プロセスを踏みながら、取り組むことです。

すなわち、
状況や環境や相場観を冷静かつ客観的に認識・評価し、
現実的なゴールを設定し、
ゴール(TO BE)とスタート(現状、AS IS)のギャップ(差分)を埋めるために必要な課題を抽出し、
課題を乗り越えるために必要な対策・方法論・対処行動上の選択肢のすべてを抽出し、
これにプロコン評価(長短所分析)を加え、
プロジェクトを遂行していく、という合理的な取り組み方です。

当然ながら、一発でゴールが達成されることは稀です。何度も試行錯誤をすることになります。

その際、効率的で検証可能な試行錯誤をすべきです。

すなわち、
抽出された
「課題を乗り越えるために必要な対策・方法論・対処行動上の選択肢」
を試行していく場合の先後を整序し、
試行の状況を記録し、
失敗した場合に正しく振り返りと柔軟なゲーム・チェンジをしていく、
という合理的試行錯誤です。

最後に、取り組んでいるのは
「 正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題」
ですから、やってみたが、
「正解がなかった」
ということも十分想定されます。

「正解がない」
にもかかわらず、時間とコストとエネルギーを投入して泥沼にはまり込むのは避けなければなりません。

そのためには、見極め基準の策定と、投入努力に拘泥・執着せず、ドライに損切りする姿勢も必要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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