00782_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する13:裁判所における事件処理の実体(11)裁判官の頭脳の中の「常識」
「裁判官の頭脳の中に存在する特殊な常識や考え方」がひどいとか、矯正が必要とか、という話はあるでしょう。 実際、そういう話は、主に敗訴した側の当事者や代理人弁護士からよく聞かれます。 しかし、前記思考ロジックは、不愉快であっても間違っているとまでは言えませんし、ましてや、ゲームの勝敗を決定する権限を有するジャッジの思考な...
「裁判官の頭脳の中に存在する特殊な常識や考え方」がひどいとか、矯正が必要とか、という話はあるでしょう。 実際、そういう話は、主に敗訴した側の当事者や代理人弁護士からよく聞かれます。 しかし、前記思考ロジックは、不愉快であっても間違っているとまでは言えませんし、ましてや、ゲームの勝敗を決定する権限を有するジャッジの思考な...
保佐や後見の処置をしていない認知に問題のあるおばあさんが1億円のリフォームを発注し、契約書が締結され、リフォームの工事が完成し代金が支払われたとします。 この場合、社会常識からすると、当該発注はおばあさんの意志ではなく、明らかに業者の詐欺です。 ですが、裁判官を支配する合理的法律人仮説によると、 「人は、中味を読まずに...
裁判官としては、判決を下す上で必要かつ十分な情報と、「その情報の合理性を基礎づける背景事情」とを、早い段階で欲しています。 ところで、「その情報の合理性を基礎づける背景事情」における「合理性」というものですが、これは世間一般の皆さんが有する「社会常識」や「道義」といったものとは全く異なるものです。 社会常識とは完全に異...
弁護士にとって本件解決のキーマンは裁判所であり、裁判所という「お客様」をいかにこちら側に引き寄せるか、ということが活動のポイントになります。 優秀な弁護士であるほど、裁判とは「裁判官を、ターゲット・カスタマーとして、『自己の事案認識』という商品を売り込むマーケティング活動である」ことを知っています。 裁判所の好むロジッ...
以下、裁判所というお役所が好みそうな判断ロジック(「裁判官」という特異かつ希少なエリート固有の経験上の蓋然性を前提にした判断や推認の法則)をいくつか紹介してみます。 「ひねくれていて、人格的にも相当問題のあるとされる、畑中鐵丸という法曹界の異端児」の特異な経験と主観に基づいて、「『裁判官』という特異かつ希少なエリート固...
1 裁判における「真の敵」とは裁判官なり 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」とは孫子の兵法でも有名な一節ですが、これは裁判対策にもあてはまります。 当然、裁判対策を練る上では、「真の敵」を知る必要があります。 ここで、通常、「敵」というと訴訟の相手方、すなわち裁判の相手方を真っ先に思い浮かべる方が多いと思いますが、...
自分のトラブルを裁判官にプレゼンする際、当該事件が「裁判官にとって好まれる処理しやすい事件 」、すなわち思考経済の負担が軽い事件に思わせるのは、事件の終盤ではなく、初動段階においてです。 多くの事件を抱え、その効率的処理に日々頭を悩ます裁判官は、アレコレ悩むより、最初に見通しを決めてしまい、その見通しを最後まで維持した...
書面をことのほか尊重(偏重)する民事裁判官の仕事の進め方からは、裁判官にとって「好まれる処理しやすい事件」と「処理が面倒で好まれない事件」が存在するという推定が導かれます。 裁判官が好きな事件とは、正邪が明瞭な事案で、かつ正しいとされる側に証拠がきちんと揃っている事件です。 逆に裁判官の頭を悩ます「処理が面倒で好まれな...
「文書を重んじ、口頭での話を軽んじる」という裁判所の行動様式は一見、噴飯もののように思えますが、見方を変えると極めて合理的なのです。 「書面を重視する」という裁判所の合理的な行動哲学は、我が国最難関の実務法曹選抜試験としての旧司法試験や司法試験予備試験の選抜プロセス方式にも反映されており、ここに、法曹選抜プロセスと民事...
一般に、「証人尋問は訴訟のもっともドラマチックな場面」などとされますが、実際の民事訴訟においては、事件の筋、すなわち勝敗は証人尋問開始前にほぼ決まっており、実際のところ、尋問はほとんどの場合、セレモニーにすぎないといえます。 これは筆者が適当な感想を言っているではありません。 弁護士会主宰のセミナーで紹介されていたデー...