00507_取締役の競業避止義務

株式会社の取締役は、会社との間で委任関係に立ち(会社法330条)、会社に対して“善良な管理者の注意義務(善管注意義務)”(民法644条)および忠実義務(会社法355条)を負っています。 これは、簡単にいうと、「会社は、取締役を信頼して会社の業務執行を任せているんだから、一切の私心を抱かず、誠心誠意、会社の利益のため、犬...

00504_辞任取締役の登記が、残存した状態で放置された場合、辞任取締役は取締役としての責任を負担するのか?

辞任登記が未了になっていたにすぎず、「不実の登記をした」わけではない場合、真実選任された取締役とは異なる者を取締役として登記した場合と異なり、辞任取締役が既に取締役でないとは知らなかった人に対し、辞任取締役が、「自分はもはや取締役ではない」と主張することはできるのでしょうか。 裁判所は、「株式会社の取締役を辞任した者は...

00496_無権限の取締役と取引した場合でも取引を有効と主張できる場合

表見取締役が締結した契約は、会社の代表者が締結した契約と同様の契約として、会社はその契約から発生する義務を履行しなければなりません。 ただし、会社法354条が適用されるためには、「権限のないことを知らなかった」場合でなければなりません。 一口に「知らなかった」といっても、「権限のないことを知らなくて当然」「うっかり知ら...

00495_代表権限をもたない取締役と取引した場合のリスク

原則、代表取締役が選定されている場合、その他の取締役には代表権はありません。 代表取締役を定めている会社で、代表権のない平取締役が会社を代表して契約を締結したとしてもその売買契約は成立していないのが原則です。 その場合、買主は、売主に対して売買の対象物を引き渡すように請求することはできません。 しかし、会社法354条は...

00484_辞めた取締役が競業をした場合の対抗策はあるのか?

株式会社の取締役は、会社との間では委任関係(会社法330条)にあり、会社に対し、善良な管理者の注意義務(善管注意義務、民法644条)及び忠実義務(会社法355条)を負っています。 すなわち、「会社は、取締役を経営の専門家として信頼して業務執行を任せているのだから、会社の利益になるように忠実に働かなければならない」という...

00463_「株主総会における説明責任」の果たし方、躱(かわ)し方、乗り越え方

株主にとっての株主総会は、会社に対し自分の意見を述べることができる唯一の機会でありとても重要な会合ですが、株主は、日頃から会社の詳しい情報や資料に接しているわけではなく、会社についての情報が不足しております。 また、株主総会開催の際に送られてくる招集通知には簡単な資料しか添付されておらず、議論をするにしても、そのための...

00462_株主総会の意味と位置づけ

そもそも、株主総会というものは、株式会社の基本的な方針や重要な事項について議論して決定する会社の機関の1つであり、会社の実質的な“持ち主”である株主によって運営される会議体組織です。 株主が会社の“持ち主”である以上、会社に関することは、全て株主総会で議論して決定するべきとも考えられますが、実際には、多人数に及ぶことが...

00438_「惻隠の情」から、取締役のミスの責任追及をあえて差し控えると、連帯責任のリスクが生じうる

取締役は、会社と委任契約を締結した受任者としての立場をもちます。 この義務の内容・水準は、「医者の患者に対する義務」や「弁護士の依頼者に対する義務」と同様のものと理解されており、取締役は、「経営の専門家」として、プロフェッショナル水準にて会社の利益を守る義務を負っています(善管注意義務。会社法330条、民法644条)。...

00437_会社私物化をした場合に役員個人が負うべき刑事責任リスク

役員が自分が企業から融資を受けるという場合、民事上、取引の有効性が否定されることや、役員が損害賠償責任を負うことに加え、刑事罰を受けるリスクまで想定すべきなのでしょうか。 「会社を取り巻く多数の利害関係者を調整する」という目的を有する会社法は、役員による会社の私物化行為について、民事的な責任に加え、刑事罰による制裁を予...

00436_役員と会社がカネの貸し借りをする際の法的リスク

取締役は、会社に対して善管注意義務を負っています。 これは、「会社の利益を最大限にするように、取締役として全力を尽くすように」という、会社と取締役との間の委任契約に根拠を有しています(会社法330条、民法644条)。 また、この義務は、別名、会社に対する「忠実義務」ともいわれるものであり、会社の利益を横取りするなどして...