01445_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理

1 インターネット上の有償・無償の情報

各国の法令については、それぞれの国がインターネット上で法内容を公開している場合がありますので、こちらがまず参考になります。

その他、それぞれの国の法律事務所が、情報提供の趣旨で、英語で(場合によっては日本語で)法体系の全体や特異な取扱等を開示していることもあります。

2 ジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)

ジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)も、貿易促進の観点から、ウェブサイト上にて、世界各国のビジネス情報、法令情報を公開しており、また、当該国の法令に関するリンクも豊富で、参考になります。

3 各国大使館等

日本所在の各国大使館や貿易促進等のために設置された諸機関が、当該国に進出を考えている日本企業向けのパンフレットを作成し、そこで法律制度の概要等の情報が掲載している場合があります。

また、国によっては、英語や日本語を解する弁護士を紹介してくれるところもありますので、取引に先立ち情報収集のため訪間すると意外な収穫に恵まれる場合があります。

また、駐日大使館のウェブサイトによっては、当該国における貿易・投資誘致の担当部局へのリンクが張られており、連絡を取ると、相談に乗ってくれることがあります。

4 外国法律事務所

独力で調査しただけでは十分な情報が得られなかった場合や、当該国の法律専門家による詳細な分析や裏付けが必要となる場合には、当該国の弁護士を利用することになります。

前述のように、日本所在の各国大使館や貿易促進等のために設置された諸機関が紹介してくれる場合もありますし、当該国の弁護士団体等に紹介を依頼することも可能です。

5 書籍類

法令管理のツールとして、国際取引において利用できる基本的な書籍等を以下のとおり紹介しておきます。

『BASIC英米法辞典』(田中英夫編・東京大学出版会)
『英米法辞典』(田中英夫編・東京大学出版会)
『英米商事法辞典(新版)』(鴻常夫ほか編・商事法務研究会)
『英文ビジネス契約書大辞典』(山本孝夫著・日本経済新聞社)
『英文契約書の書き方』(山本孝夫著・日経文庫)
『国際ビジネス法務―貿易取引から英文契約書まで』(吉川達夫著・レクシスネクシス・ジャパン)
『ロースクール実務家教授による英文国際取引契約書の書き方一世界に通用する契約書の分析と検討』(浜辺陽一郎著・アイエルエス出版)
『法律英語と会社』(長谷川俊明著・レクシスネクシスジャパン)
『信用状統一規則の実務Q&A―UCP600・ISBP681の総合解説』(後藤守孝ほか著・中央経済社)
『租税条約適用届出書の書き方パーフェクトガイド』(牧野好孝著・税務研究会出版局)
『よくわかる国際税務入門(第3版)』(三木義一ほか著・有斐閣)

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01444_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>モデル取引規程

国際取引では、日本国内の銀行取引において用いられる銀行取引約款や、建設工事において用いられる旧四会連合約款などのような、各種モデル規程が整備されていますので、以下典型的なものを概観します。

1 インコタームズ

インコタームズ(Incoterms)とは、民間機関である国際商業会議所(International Chamber of Commerce:通称ICC)が策定した貿易に関する統一定義集です。

国際貿易における取引条件として定められる各種定義(運賃、保険、危険負担など)を明らかにしています。

具体的には、以下の代表的なものを含む、国際取引において用いられる貿易条件が計13種類規定されています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

2 信用状統一規則

信用状の取引慣行についての国際的な統一基準であり、国際商業会議所が規定しています。

契約書に
「この規則に従う」
旨記載されることにより、同規則が当事者を拘束することになります。

運営管理コード:CLBP624TO624

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01443_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>EU(欧州連合)

EUにおいては、EU法とEU加盟国の国内法が抵触する場合には、EU法が優先します。

また、EUの規則(Regulation)は、EU域内の各国政府及び民間企業を直接規制するものとされ、直接適用されます。

その他、EUには指令、決定、勧告、見解等の法形式が存在しており、それぞれの適用範囲や効力が異なっており、EU域内でビジネスを行う際には、相手国の法律だけでなく、EU法やその効力範囲や適用の優劣等についても、詳しく調査する必要があります。

運営管理コード:CLBP623TO624

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01442_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>米国

1 連邦制度

米国は連邦制度を採用しており、それぞれの州には、一定の範囲に関する立法権が与えられています。

他方、連邦議会は、米国憲法のArticle I Section 8(第1条8節)などによって定められた範囲においてのみ立法する権限を与えられています。

具体的に言いますと、破産や知的財産に関する法律は、連邦議会による立法権の管轄下にあります。

米国憲法によって連邦に委任されず、また、州に対して禁止されていない権限については、それぞれの州ないし人民に留保されています(米国憲法修正10条)。

したがって、各州において、 日本の民法、会社法、刑法などに相当する法律が決められており、かつ、それぞれの州ごとに最高裁も含む裁判所が存在し、独自に裁判例が積み重ねられています。

2 「連邦制度」が有する意味

米国の実態は、連合国家であり、国際法社会のミニチュア版です。

米国の弁護士が多い、というのは、実は、米国自体では、各州が主権国家並の立法権を有しており、州ごとに法的取扱が異なるからです。

「アメリカは法律先進国」
などと呼称する方もいるようですが、アメリカ法の実態を考えると、状況を正しく表した評価とは思えません。

たとえて言うなら、アメリカは、
「江戸時代の幕藩体制がいまだ続いているような、ある種、統一国家としての近代化がいまだ完了していない国家」
といえます。

すなわち、アメリカの法制度は、国内レベルで中世封建的なモザイク型法社会が絶望的な形で蔓延しており、近代統一国家としてのリフォームが完了した日本と比べると、取引を支える法律インフラが貧弱であり、
「無駄と非効率」
としか評しようがありません。

日本で言えば、鳥取県が鳥取民法をもっており、島根県も島根民法をもっており、それぞれが独自に司法機関(「鳥取県最高裁判所」とか)をもっており、弁護士にも県ごとに資格が定められ
「鳥取県弁護士」

「島根県弁護士」
がいる、という異常な状況を想像していただければ理解いただけるかもしれません。

3 アメリカの法体系の負の側面

日本において、近代国家に至るプロセスにおいて、戊辰戦争や西南戦争といった内戦を経て封建的体制が一掃され、国を貫く統一的な法律インフラが整備されました。

ところが、アメリカは、内戦(南北戦争)を経てもなお、分散した州の権限を合理的に集約し、整備統一化することができませんでした。

そのため、現在のような法制度や裁判制度の統一性における致命的欠陥を抱えた状態になっているのです。

以上のように、
「法律先進国」
どころか、度量衡(アメリカにおいては、10進法に基づかないヤード・ポンド法がいまだに使用されています)や紙の寸法規格(“何回半分に折っても永久に相似形が保たれる”国際的規格であるISO216ではなく、独自のローカル規格を頑なに固持)と並び、アメリカの法体系は、不合理で、時代遅れも甚だしい代物、ということができます。

いずれにせよ、アメリカに進出をしたり、アメリカ法に準拠した取引を実施する場合、アメリカはこのような複雑で非効率ともいえる法令環境を有している、ということを十分理解しておく必要があります。

運営管理コード:CLBP622TO623

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01441_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本

「イスラム諸国などとの比較において」
という留保が付きますが、欧米先進国は、その法令内容が、日本法と大幅に内容が異なるということはありません。

しかし、日本法と異なる法体系や法内容を有する外国も多く存在するところであり、国際取引において
「日本語で表現された契約書をそのまま英文に翻訳しさえすれば、当方の認識した相手方との合意内容が法的に異議なく確立し、取引上のリスクが完全に予防できる」
というものではありません。

したがって、国際取引において契約を取り交わすに際しては、互いに自身に有利な法環境や紛争処理環境を選択する方向で主張し、例えば、
「準拠法(該契約に適用される法律)について、双方自国の法とすることを譲らず、交渉が難航する」
等といったことが日常茶飯事となるのです。

また、国際取引においては、日本人同士あるいは日本企業同士の取引のように、いわゆる
「阿咋の呼吸」(暗黙知に基づく予定調和)
を期待することは一切できず、逆にその種の期待はことごとく裏切られることになります。

国際取引においては、
「法律だけでなく、文化や常識が当然異なり、他人をどこまで信頼するかという基本的部分すらも異なる相手との契約である」
ことを十分に認識して、
「わざわざあえて契約書に明記するまでもないと考えられる事項」
についてであっても逐一文書化し、双方署名することで共通認識とするといった煩瑣な作業が要求されます。

国際取引を遂行する企業法務の現場においては、諸事このような対応が必要となります。

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01440_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説その2

3 国際取引紛争が生じた場合における問題

各国家が主権としての司法権をそれぞれ固有のものとして専有していますので、ある国家の司法機関の判決といっても、当該国家の内部では強制力を有するものの、他の国においては一切強制力をもちえない、ということになります。

例えば、日本の裁判所で、国の人間に対する民事上の債権について請求認容判決を得ても、その判決を用いて、別の国に存在する相手方の財産に対して強制執行をすることは、当然には認められません。

このような状況もあり、万が一国際取引において法的紛争が生じた場合、

・どの国の法律を用いて
・どの国の司法機関で争い
・仮に当方の国の判決を得たとして相手方の国でそれが執行できるか

等、複雑で難解な紛争課題が多数出てくることになるのです。

以上のとおり、国際取引は量的・質的拡大する傾向にあるものの、一旦これが紛争に至ると、解決のための環境ないしインフラは実に貧弱であり、法務上の課題は山積している、というのが国際法務の現状です。

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01439_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説その1

1 活発化する国際取引

冷戦の終了に伴い、製品市場、労働市場、金融市場ともに世界の市場が単一化し、また、インターネットの発達により、大量のヒト・モノ・カネ・情報がスピーデイーに世界を行き来する時代が到来しました。

これにより、国際取引は増加の一途を辿っています。

質の面でも国際取引や国境をまたぐ事業は高度なものに発展しています。

債権や株式に対する国際投資、外国のマーケットでの資金調達、為替や金利差を用いた金融派生商品、ジョイントベンチャー、国際的M&A、クロスライセンスによる技術取引といった技術的に高度な国際取引が、今や日常的に行われるようになっています。

また、古典的な輸出入取引についても、商品や機器の輸出入だけではなく、設備・機器に技術を付加して輸出する取引、これにファイナンスを付加したベンダーフアイナンス取引、さらに複数の金融機関の参加を前提としたシンジケーション方式のプロジェクト・ファイナンスによるプラント輸出など、国際取引は日々発展を続けており、これを支援する企業法務(国際法務)についても高度の知見が要求されるようになってきています。

2  国ごとに全く異なる法の内容

以上のように世界市場は単一化され、国際取引は日々活発化しています。

ビジネスや会計の世界では、ヒト・モノ・カネ・情報の動きが国境をやすやすとまたぎ、言語の問題は別として、マネーや会計という共通言語で国際的なプラットフオームが形成されつつあることも事実です。

このような状況をふまえると、
「法律という分野においても、国境がなくなり、自由に取引できる環境ができるようになったのではないか」
という錯覚が生じます。

実際、法律を全く知らないビジネスパースンは、往々にして、世界に
「“国際所有権”とか“国際登記”とか“国際特許権”といった趣のものが存在し、債権や物権その他の法的関係を全て可視できる共通のプラットフォームがあるはずだ。国際取引における法律は、この種のツールを利用して、一元管理すればいい」
などといった安直な妄想を抱きがちです。

しかしながら、(ビジネスやマネー、会計と異なり)法律に関して、各国は、国際化の動きに一切関知せず、むしろこれに背を向けた姿勢を固持しており、それぞれ主権国家が独自性を貫く状態が続いています。

すなわち、国際社会における法秩序に関しては、主権国家という“巨大な暴力団”が、それぞれ、法律という“ナワバリ”を使って、領土という固有の“シマ”を排他的に堅持する状況が続いているのです。

このようなモザイク的な国際法環境は、世界が単一主権国家によって独裁される状況でも出現しない限り、永遠に続くものと思われます。

ある程度国際法務を経験された方であれば常識以前の話ですが、
「世界のあらゆるところで通用するオールマイテイーな法、としての国際法」
なるものは全く存在せず、一般に
「国際法」
と呼ばれるものの実体は、“シマ”ごとに異なるルールのハーモナイゼーションの手続ないし方法論に過ぎません。

一般的に、欧米先進国においては法律による統治がなされており、法律に従った行動をしていれば、予見不能な事態に陥ることは少ないといえます。

また、欧米先進国においては、日本の法令とその基本的哲学のレベルで異なる法令が存在することも少ないと思われます。

ただし、日本の法令とは大きく異なる制度が海外には存在することも事実であり、民事裁判における陪審制や懲罰的損害賠償の制度など、現地に進出する日本企業としては、その特性を十分に理解しておく必要があります。

したがって、国際法務においては、そもそも
「どの国の法律を用いて、当事者間の関係が規律されるのか」
が重要なポイントとなります。

運営管理コード:CLBP618TO619

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01438_ネットトラブル対策法務>特殊な課題・新たな課題>証券取引等監視委員会等対応

例えば、株式公開企業の主力商品やサービスに関し、
「A社の○○化粧品は、人体に悪影響がある成分が含まれており、アメリカでは販売停止になったらしい」
「B社のレストランチェーンのハンバーグは、実は○○の肉を使っている。あんな気持ち悪いもの食えるか」
といった書込みや、企業価値の変化をともなう企業再編や整理などに関し、
「C社は、大口取引先との契約が解除され、まもなく倒産します」
「D社はE社に吸収されるようだ。それによってD社のサービスは終了するだろう」
といったもの、また、行政作用などに関し、
「今、F社に税務調査が入っているらしいが、相当額の申告漏れを指摘されるだろう」
「ついに、G社の違法営業を理由に、業務停止命令がなされるらしい。G社もこれまでだな」
といった書込みがなされた場合、真実か否かにかかわらず、当該書込は株価に重大な影響を与える可能性があります。

そして、これらの書込みが、株価の操作を目的として行われた場合などには、金融商品取引法違反の問題が生じます。

このような場合、企業としては、適切的確なIRやプレスリリースを行う等して、株価の安定を図ることになりますが、当該事実を証券取引等監視委員会に報告することも重要です。

証券取引等監視委員会では、活動の一環として、市場の公正性・透明性の確保や投資者保護の上で問題があると疑われる情報を随時受け付けており、上記のような書込みがなされた前後に自社の株価に通常想定しえない動きがみられた場合には、速やかに下記相談窓口等に報告・相談するとともに、この点もIRにおいて開示し、企業として
「事態を放置する意思はなく、違反者は相応の処罰を受けてもらう」
という強い意思と姿勢を示すべきです。

このような確固たる企業の姿勢が、不心得者を萎縮させ、企業に対する攻撃を躊躇させることにつながっていくものと考えられます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01437_ネットトラブル対策法務>特殊な課題・新たな課題>マスコミ対応

万が一、インターネット上の掲示板へのネガティブな書込み等が広がって、売上の減少など、日に見える被害が発生した場合、それが事実であろうと、事実に反する情報であろうと、企業として、積極的にプレスリリースを行うべきです。

当該書込み等が事実に反する場合には、

1 当該書込みのどの部分が事実に反するか
2 なぜこのような事実に反する書込み等がなされるに至ったかについての見解
3 刑事手続、民事手続といった法的対応も含めた今後の対応方針

等を正確かつ可能な限り早急に発表するべきです。

このような迅速かつ確固たる対応を取ることを通じて、
「企業として、インターネットを利用した違法不当な攻撃に対し断固たる態度をとる」
という姿勢をアピールできますし、便乗する書込みをしようとする者に対して萎縮効果を与え、さらなる攻撃を抑止することも期待できます。

また、たとえ書込み等の内容が真実であったとしても、秘匿するようなことはせず、新商品の欠陥等に関する書込み等であれば、それを真摯に受け止めて改良に努めるべきです。

商品の改良に成功し当初のものより優れた商品が完成したならばその旨も積極的にリリースすべきです。

賢明な消費者は、企業も完全な存在でないことは理解しており、むしろ、企業が想定外の状況に遭遇した際、スピーディーにこれに対応して問題を効果的に解決できるか否かを冷静に観察しています。

企業にとって不愉快な書き込みやこれを行った者に過剰に執着せず、以上のような賢明な消費者に対して、きっちりとしたアピールをすることが、企業信用の回復への早道である、といえます。

運営管理コード:CLBP615TO616

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01436_ネットトラブル対策法務>特殊な課題・新たな課題>企業内関与者の処分

インターネット上の掲示板に新商品や新サービスの欠陥を書込むなどして情報を漏洩させたり、企業、企業関係者への誹謗中傷を書込むなどしたりした者が、実は、企業内部の従業員であった場合、

・当該人物を処分するか否か
・処分するとしてどのような処分が適切か

という点が問題となります。

この問題は、労働法務における懲戒(解雇含む)問題となりますが、当該従業員の情報漏洩行為が新商品や新サービスの欠陥を書込むなど、
「公益通報」
の要件を満たす場合には、当該行為は公益通報者保護法によって保護される場合があり、解雇等を行えない可能性があるので、この点も注意が必要です。

運営管理コード:CLBP615TO615

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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