01264_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>特許権・実用新案権・商標権・意匠権の具体例

携帯電話を例にとって、特許権・実用新案権・商標権・意匠権を具体的に示したのが下記の図です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP342TO342

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01263_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>商標法

「商標」
とは、企業の提供する商品やサービスに付される目印(文字、図形、記号、立体的形状あるいはこれらのコンビネーション等)、すなわち、いわゆるブランドネームやロゴといわれるものです。

商標権とは、
「商標」
を一定の手続により権利化したことで得られる、当該
「商標」
を一定期間独占的に利用できる権利をいいます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

企業が保有するブランドやロゴには、
1 商品やサービスを提供している企業がどこかということ(出所)を表示する機能
2 企業が提供する商品やサービスの品質を保証する機能
3 企業が顧客を引き寄せる機能
があるといわれており、商標法は、ブランドやロゴを権利として保護することにより、企業のビジネス活動や信用を維持し、また消費者のブランドやロゴに対する信頼を守ろうとしています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

商標法による商標権取得手続は次のようになっています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP340TO341

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01262_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>意匠法

「意匠」
とは、見た目に美感を生じるような、物の形状、模様若しくは色彩(これらのコンビネーションを含む)をいいます。

意匠権とは、
「意匠」
を一定の手続により権利化したことで得られる権利であり、この権利を持つ者は、当該
「意匠」
を一定期間独占的に利用できます。

なお、電子機器や電子機器搭載製品における画面デザインも
「意匠」
に含まれます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

特許法・実用新案法も意匠法も、工業製品等に関する創作行為を保護しようとするものですが、特許法・実用新案法が構造面・機能面における創作性を保護しようとするのに対して、意匠法は外観面・美観面から創作性の保護を図っています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

意匠権取得手続は次のようになっています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP338TO339

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01261_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>特許法・実用新案法

「発明」
とは、
「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」
をいいます。

特許権とは、
「発明」
をした者が、一定の手続により権利化することで得られるもので、当該
「発明」
を一定期間独占的に利用できる権利をいいます。

この特許権の権利化の要件・手続と権利化が成功した後の効力等について定めたものが特許法です。

なお、新規性喪失の例外要件については、2011年特許法改正によって
「特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会」等
といった発表態様に関する限定が取り払われており、
「発明者として、新規性を維持しつつ、発明完成後、適時にかつ自由に、発明内容を世間に公表したい」
というニーズが充足されるようになっています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

「考案」
とは、
「自然法則を利用した、物品に関する技術的思想」
をいいます。

実用新案権とは、
「考案」
を一定の手続により権利化したことで得られるもので、当該
「考案」
を一定期間独占的に利用できる権利をいいます。

この実用新案権の権利化の要件・手続と権利化が成功した後の効力等について定めたものが実用新案法です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

特許が高度な発明であるのに対して、実用新案はちょっとした便利なアイデアを保護するもの、ということもできます。

特許法と実用新案法との違いは次のとおりです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP334TO338

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01260_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本

知的財産法務の特色としては、その権利の対象を、客観的に観察することができない点が挙げられます。

知的財産は、世にあふれる商品のように形があるわけではありませんが、市場に出る最終的な商品やサービスに何らかの形で寄与しています。

そこで、まずは、主張する知的財産がどのような法律によってどの程度保護されるのか、という点を正確に把握する必要があります。

数多く存在する知的財産関連の法令を把握することで、例えば当該知的財産権の利用権許諾の契約を締結する際に、その特質に合わせた契約とすることができます。

一方で、理由もなく権利侵害である、との通告を受けるような場合もあることでしょう。

そのような場合には、各知的財産関連法令に特有の防御方法等を念頭に置きながら、対処していく必要があります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP331TO332

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01259_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説

かつての産業経済は、一定の規格のモノを安価かつ大量に生産し、これを大量に消費することにより成り立っていました。

しかし、農業における
「豊作貧乏」
という事態のように、社会にはモノがあふれ、逆に過剰となったモノは地球環境にとって有害であるとすらいわれ、企業の責任として
「無駄なゴミを作り出すな。廃棄物の回収に責任をもて」
ということまで要求されるようになって来ました。

現代の企業活動においては、
「モノを大量に作り出す」
ことから、
「高度な研究開発の成果を蓄積・活用し、ブランドカを高める」
ことが、競争力の維持・向上。企業の生き残りとして必須の課題と認識されるようになりました。

このように、現代では、多くの企業において、重視すべき経営資源が
「モノやサービス」
から
「アイデアやブランド」
にシフトしていくようになっており、また、世界的にも、競争力を高めるためにはアイデアやブランドを保護し、強力なインセンティブの下にこれらの創造を後押しすることが重視され、知的財産権の強化が叫ばれるようになってきています。

日本においても、
「知的財産立国」
を目指した知的財産戦略会議が立ち上げられ、知的財産戦略大綱の決定を経て、知的財産基本法が施行され、一貫して知的財産権保護強化の政策が取られてきました。

ところで、そもそも産業文明は模倣と改良により発展してきたものであるため、知的財産権を必要以上に強化することは、産業社会の発展を妨げることになります。

知的財産保護の法制度も
「一定の要件を満たす高度でユニークな知的成果で、社会にとって有用なものに限定して法的保護を与える」
ということを大前提としています。

ところが、このような趣旨を誤解し、
「高度な知的成果とは言い難い、ありふれた思いつき」

「知的財産」
と称し、正常なビジネス活動を行う企業を知的財産権保護の名の下に威嚇するなどして、社会に混乱を与えるケースも存在しますが、無論、このような動きに対しては合理的な制限が加えられることになります。

知的財産権は物権のように強力な権利を第三者に及ぼすことができる反面、権利範囲は物権と比べて曖味模糊としており、知的財産権が及ぶ範囲と及ばない範囲や、類似の知的財産権相互間の権利範囲の境界は極めて漠然としています。

このため、
「土地の境界争い」
が如き知的財産権紛争も増加の一途をたどっています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

一括りに知的財産権といっても、多くの権利を含み、また、それぞれの権利ごとに、権利が発生するための要件や登録の要否、権利侵害が生じた場合の救済手続が異なります。

また、所管する行政機関が知的財産権の種類ごとに異なるほか、権利としての成立の是非を巡る訴訟に至った場合、
「特許庁の登録という判断(行政判断)を裁判所の司法判断として採用するか異議を唱えるか」
という司法権対行政権という問題もはらむ、極めて複雑な法律問題に発展します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

このため、法律の専門家である弁護士ですら
「知的財産紛争は一切取り扱わない」
というスタンスをとる者も出るほど、取扱いが厄介な企業法務分野であることも確かです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

企業法務分野としては、理解及び運用が極めて困難な知的財産法務ですが、知的財産が今後の企業活動にとってますます重要となることを考えれば、知的財産法を正しく理解し、情報・技術・ブランドに関し正しく法的武装を行っていくことが企業法務にとって必須となることは、間違いありません。

運営管理コード:CLBP329TO332

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01258_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>特殊な課題・新たな課題>通貨オプション問題

昨今、円高・ドル安が進んだことなどが原因で、保有するデリバティブ(金融派生商品)に損失が発生し、経営難に陥る中小企業が増えています(金融庁の調べでは、2011年2月時点で、約1万9,000社に及ぶ企業が、デリバティブ取引で多くの損失を被っているようです)。

その中でも、企業がドルなどの外貨を有利な条件で購入するのに利用した長期為替契約(通貨オプション契約)が大きな問題となっています。

例えば、
1ドル=120円
のレートの時に、以後の5年間、
1ドル=100円
でドルを購入することができる契約をしたとします。

120円のレートが続けば、企業は20円安くドルを購入することができます。

しかしながら、いわゆるリーマン・ショックの後、
1ドル=80円前後
の円高が続いたことにより、
1ドル=100円
でドルを購入しなければならない企業は、逆に20円高くドルを購入しなければならないことになり、そのリスクが浮き彫りになりました。

このような事態を重くみた金融庁は、2011年1月、金融機関向けの監督指針を改正し、デリバティブ(金融派生商品)など、高いリスクの商品販売に関する自主規制を遵守しているか重点的に検証する方針を打ち立てました。

また、一般社団法人全国銀行協会の奥正之会長(三井住友銀行頭取)も、同月25日の記者会見で
「各金融機関が、企業などの顧客とのトラブルを具体的に解決できないケースについては、金融ADR(裁判以外の紛争解決)を活用することになる」
旨述べるなどしており、この問題の深さを物語っています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP326TO328

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01257_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>特殊な課題・新たな課題>情報開示方法の規制緩和

長く低迷する証券市場の活性化を図るべく、金融庁は、これまで外国企業が日本国内で資金調達する際に義務付けられていた日本語の有価証券届出書の作成・開示を、英語でも可能とすべく、金融商品取引法の改正作業に入りました。

現在でも、株式等の発行後に継続的に作成・開示する有価証券報告書については、一定の要件を満たせば英語による作成・開示を認めていますが、今般の改正により、株式等の発行時の有価証券届出書も英語による作成・開示が可能となります。

これまで
「日本語翻訳版の有価証券届出書の作成には1件1,000万円かかる場合もある(金融庁談)」
といわれ、外国企業にとって費用がネックでしたが、改正により、外国企業の資金調達を後押しし、日本に限らず、アジア地域全体の活性化を期待することができます。

運営管理コード:CLBP326TO326

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01256_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>特殊な課題・新たな課題>不公正ファイナンス

2009年頃より、増資によって得られた資金が企業の運営のために使用されずに社外に流出してしまう
「不公正ファイナンス」
が横行しています。

2009年6月以降、証券取引等監視委員会は、3件の不公正ファイナンスを告発するなど、取り締まりの強化を図るとともに、未然に防止するため、内閣府令を改正し、有価証券届出書の開示内容を拡充したり、各証券取引所との連携により監視を強めるなどしています。

それにもかかわらず、不公正ファイナンスの手回は年々巧妙化しており、最近では、現物出資を利用した不公正ファイナンスもみられます。

現物出資とは、金銭の代わりに不動産や工場用機械等といった物の提供を受け、対価として株式を発行する手続をいいます。

不動産の評価額を実際より高く設定すれば、より多くの株式数を取得できますし、株式を市場で売却すれば、当該現物出資による株式の割当先に不当な利益を取得させることができます。

このように、不公正ファイナンスの手口は年々変化しつつありますが、
「特定の者にだけ株式を不当に安価に入手させ、その後、市場等で売却させることで不当な利益を与える」
という基本は変わらず、証券取引等監視委員は警戒を強めているところです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP324TO326

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

01255_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>特殊な課題・新たな課題>DIPファイナンス

ファイナンス関連法務における個別テーマとして、DIPファイナンスとは、米国で普及しているファイナンス手法で、本来連邦倒産法上の倒産処理手続が開始された企業(「法的再建手続を申立てた後も、引き続き現経営陣が当該企業の経営にあたる」という意味で、DIP〔Debtor ln Possession〕と呼ばれます)に対する融資のことをいいます。

日本においては、民事再生開始手続を開始した企業に対する融資や再生債務者(企業)からM&A等により事業承継する企業に対する融資を広くDIPファイナンスと呼んでいます。

金融機関が貸し手となったDIPファイナンス案件でいくつか成功した例もありますが、もともと破綻している企業に貸し付けるという点で、極めてリスキーなファイナンス手法であるため、弁済の確実性の検証に加え、モラルハザード防止のための仕組みや、返済計画の履行や信用状況の厳密なモニタリングが必要であり、高度な信用管理技術を有する金融機関であるからこそ実施できる手法といえます。

民事再生申立直前に、スポンサーを打診された事業会社が、限られた時間の中で、デューディリジェンスも満足にできず、乏しい情報の中、DIPファイナンスの提供を含む支援表明を求められるケースもありますが、こういうケースでは二次破綻リスクを被る可能性が非常に高いといえます。

いずれにせよ、事業会社がDIPファイナンスを含む支援表明(支援契約)を行う際には、DIPファイナンスの危険性をよく理解した上で、豊富な情報と緻密な検討の上、慎重な判断をなすべきことが推奨されます。

運営管理コード:CLBP324TO324

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所