02073_「初手の設計」と戦略的リスクの見極め

プロジェクトにおいて、目的軸の設計、課題の抽出、そしてシナリオ(仮説)や実施上の問題について、まだ明確な責任者が決まっていない時点で、「弁護士が出る必要はない」という判断をくだすのは、早計に失するといえましょう。 この「弁護士が出る必要はない」という判断が、適切であるかについて一考する必要があります。 具体的には、“「...

02072_請求放棄は裁判における実質的な「敗訴判決」

「請求放棄」という訴訟手続きの終わり方は、表面上は自ら裁判を取り下げる形を取っていますが、実質的には「敗訴」に等しいといえます。 これは、裁判に負けたという事実を暗に認める行為であり、「勝ち目がない」「もう戦い続ける意味がない」との判断から行われる場合がほとんどです。 ですから、請求放棄は単なる裁判からの「手引き」では...

02071_企業法務ケーススタディ:弁護士のつかいかた_弁護士に対する明確な指示の重要性

<事例/質問> ある交渉案件について、「当方が多少の条件面での不利を我慢しても、時間優先で早期に講和したい」という方針のもと、弁護士をつかって、すすめてきました。 そうしたところ、相手方が折れてきました。 そこで、社内で強気にすすめることにしようかと、弁護士に相談したところ、弁護士は、何やら不満顔です。 こ...

02069_弁護士として、リスクの特定と初期対応の基本的な考え方

リスクとは何かを正確に把握し、その性質や大きさを特定・提案することが重要です。 その上で、そのリスクが顕現しないようにするための予防ないし改善する合理的方策を、クライアントに提示して、実施することになります。 リスクや目的をどう捉えるかによって、選択肢は変わってきます。 たとえば、「道義的なリスク」と「法的なリスク」 ...

00059_ブラックジャーナリストの特性と撃退法

ブラックジャーナリストという言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、これは「本や記事を書いたことはおろか、マスコミに勤めたこともないが、取材活動と称し、相手方に対して、金銭を要求することを生業とする方々」のことを指します。 たまに、「公表されるといろいろ都合の悪いことを嗅ぎ回っている」という理由で、通常の取材活動をし...

00039_事件や事故を起こしても、そう簡単に“法的”責任を負担させられることはない

企業が大きな事件や事故を起こしてしまえば、マスコミやネットでは、理由や背景を問わず、すぐさま、バッシングをはじめ、その結果、当事者企業は、大きな社会的非難や道義的非難が加えられます。 ところで、道義的責任や、社会的責任はさておき、“法的”責任というレベルでは、どうなるのでしょう? 企業が何らかの事件や事故を引き起こした...

00038_危機対応においては、道義的責任と法的責任を峻別し、冷静に臨むべき

ある事件や事故がおこり、これに対して何らかの責任がある企業に対しては、事故当初、世間やマスコミから大きな非難が寄せられます。 ですが、社会的・道義的非難が大きいからといって、当該企業が負担する法的責任が当然のように発生し企業が崩壊するか、というと、そうはなりません。 日本を含む資本主義・自由主義体制の国家においては、企...

00013_「コンプライアンス的に問題です」という応答は、企業法務的に大問題であり、法務部員の職責放棄と同じ

企業内の法務部員が、経営陣からの法的諮問や依頼部署からの法律相談に対して、「コンプライアンス的に問題です」という応答をする場合があります。 この応答は、社外の顧問弁護士においてもみられる場合があります。 私としては、この「コンプライアンス的に問題です」という応答は、法務戦略としての思考を放棄したことを示しており、法務部...