00017_社運を賭けた大型提携契約交渉を行う場合に、事前に締結すべき契約書の内容

社運を賭け、大規模な資源投入を前提に行う大型提携交渉を行う場合、相手が途中で翻意して、いきなり破談にされると、企業としては、当然ながら、体面のみならず、大きな経済的損害を蒙ります。 「そんなことは起こるはずがない」「あり得ない仮想事例」と思われがちですが、実際、2004年に、UFJ信託銀行を含むUFJグループが、当時交...

00016_現代ビジネス社会では、日本流の「信頼関係」に依存する取引スタイルは命取りになる

これまで、多くの日本企業は、約束事の文書化を避け、「信頼関係」を唯一の基礎として、取引関係を処理してきました。 ですが、「信頼関係」の認識は、取引がうまくいっていて両方がハッピーに儲けている間は完全に一致していますが、トラブルが生じると、全く違ったものになってしまう、きわめて脆弱なものです。 例えば、大きな契約交渉中に...

00015_企業法務ケーススタディ(No.0001):提携交渉中に交渉相手が突然態度を豹変し、一方的に破談を申し渡された

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。 相談者プロフィール:ナニワ信託銀行 取締役 梅田 虎男(うめだ とらお、58歳) 相談内容:先生、ちょっと聞いとくれやす。わてらナニワ信託銀行は、業界大手の東海信託銀行さんと「業務提携しまひょか」ゆうことになりましてな、先...

00014_企業法務部門の規模格差と、中小企業・ベンチャー企業における法務体制充実に向けた取り組み

わが国最大の企業横断的法務担当者組織である経営法友会(会員会社数は1200社超)の会社法務部実態調査においては、調査基準として、企業法務部門を規模別に、1~4名を「小規模法務」、5~10名を「中規模法務」、11~30名を「大規模法務」、31名以上を「メガクラス法務」として分類しています。 経営法友会の実態調査をみる限り...

00013_「コンプライアンス的に問題です」という応答は、企業法務的に大問題であり、法務部員の職責放棄と同じ

企業内の法務部員が、経営陣からの法的諮問や依頼部署からの法律相談に対して、「コンプライアンス的に問題です」という応答をする場合があります。 この応答は、社外の顧問弁護士においてもみられる場合があります。 私としては、この「コンプライアンス的に問題です」という応答は、法務戦略としての思考を放棄したことを示しており、法務部...

00012_トップマネジメント直属の法務関連諮問機関(コンプライアンス委員会等)の立場と役割(機能)

企業によっては、経営意思決定を補完すべきものとして、社外専門家を招聘し独立委員会を組織し、経営上の助言や勧告を行わせる場合があります。 典型的な例としては、企業内部で不祥事が生じたため、不祥事に関する調査を行う場合に、独立委員会を立ち上げることで、調査の遂行及び結果の報告を求める場面が挙げられます。 その他、一定の買い...

00011_トップマネジメント直属の法務関連諮問機関(コンプライアンス委員会等)の法的位置づけ

トップマネジメント直属の法務関連諮問機関(コンプライアンス委員会等)の位置づけですが、会社法に特段根拠を持つものではなく、代表取締役や取締役会の私的な諮問機関です。 無論、定款変更により、当該機関の設置根拠を定款に記載すれば、会社の私的自治による任意の法的機関となることもありえます。 この委員会は、高度に専門的な法的論...

00010_第三者委員会

第三者委員会の設置は増加する傾向にあります。 2010年9月6日付日経新聞の調べによると、日興コーデイアル証券が有価証券報告書の虚偽記載問題で2006年末に弁護士らで構成する特別調査委員会を設置したことが契機となって、第三者委員会の設置は、2007年を境に急増し、社外の専門家で構成する調査委員会を設置した会社は2006...

00009_文書管理業務の概要

「法務活動の前提環境を整備する」という法務活動の中には、法令管理に加え、文書管理というものもあります。 契約書等が適正に保存管理されるべきことは当然として、定款、議事録、株主名簿、許可証、登録証などの重要法務文書の管理も重要な法務活動の一環です。 すなわち、これら法務文書は、処分証書であれ、報告証書であれ、「紛争発生時...

00008_企業法務活動を担う社内外の関係当事者

企業法務組織を構築にあたり、企業法務活動を担う社内外の当事者について整理しておきます。 「企業法務」という企業における法務上の安全保障や有事対応といった活動を担当するのは、法務部や法規室等の企業内法務セクションと顧問弁護士だけと思われがちですが、企業法務を担うのはこれらの部門・人員だけに限りません。 企業法務は、企業の...