00577_「訴訟上の和解」の条件設計テクニック

訴訟上の和解の機運が高まり、和解プロセスが前に進むようであれば、具体的にどのような和解の条件設計を行うか、という点が大きな課題となります。

どのように和解の条件を設計していけばいいのでしょうか?
和解条件を設計する上で、何か決まりはあるのでしょうか?
ということについて説明してまいります。

そもそも和解とは何か、というと、これは一種の契約です。

そして、契約には
「契約自由の原則」
が働きます。

「契約自由の原則」
とは、契約の内容として、どのような権利や義務を盛り込むかはまったく当事者の自由であり、権利や義務の内容がきちんと特定してあるにもかかわらずこれが守られない場合、裁判所という国家権力がその実現を助けるというルールです(麻薬の売買や殺人の依頼契約や賭博に関わる合意や愛人契約・奴隷契約の類は公序良俗に反するという理由で無効になりますが)。

すなわち、和解が契約である以上、その内容は、当事者間の自由、交渉によって決まったらその内容は何だっていい、ということです。

このように、和解内容を勝手に設計するのは自由です。

しかしながら、契約である以上相手の承諾が必要ですので、相手方がNOといえば和解契約としては成立しません。

また、訴訟の行く末や場の空気を読めず、あまり不当な条件に固執していると裁判所の不興を被り、和解交渉を打ち切られ、そのまま判決に移行されてしまいます。

したがって、
「『裁判所の共感を呼び、相手方が同意してくれる』という範囲において、いかに自分にとって有利な和解条件を設計するか」
が和解の具体的条件を作る上でのポイントになります。

ここで、被告代理人弁護士(訴訟の被告となってカネを支払わされる側)の立場を例に取りますと、和解条件設計の上では

1 和解金の支払は分割か、一括の場合は値切交渉を
2 和解金の支払名目
3 守秘義務
4 清算条項

といったポイントに注意すべき、ということになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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