法令や定款や規則が定められ、これらのルールが遵守されるようコンプライアンス教育や研修が実施され、ルールの意味と遵守の価値と意義、さらにはルール違反をした場合の制裁措置も含めて、役職員全員きっちり理解しました。
にもかかわらず、内部監査や内部通報を通じて、ルール違反が検知され、不祥事が発覚し、適切な調査の上、違反に対する制裁等が実施されました。
内部統制構築・運営の実務としては、以上の事件が発生した後、再発防止策が検討されることになります。
この場合、まず事件の性質が検証されます。
すなわち、
1 特定個人の暴走による、属人的で一過性的で偶発的で特殊な事例で、今回発覚し、制裁等のしかるべき措置が取られたことで、完全に終息したものと見得るか、
あるいは、
2 事件の端緒となったミスやエラーは偶発的・一過性的・属人的なものとは言えず、普遍的に発生し得る土壌が形成され、組織的・構造的に違反等が発生する状況にまで至っているとみるべきか、
という事件の総括評価です。
この点、1の前者であれば、再発防止策としては、ルールを明確化して、警告・告知で十分です。
他方、2の後者であれば、ルール自体、あるいはルールを遵守する組織の環境や構造自体として、機能不全に陥っているわけですから、新たなルールや運用や検知方法(監査強化等)といった、別のアプローチによる再発防止策が検討し、策定されるべき、となります。
そして、この
「別のアプローチによる再発防止策」
が新たなルールを構成する場合、また、ルールの教育・研修から始まるプロセスを踏襲して、ルールの実効性を担保する仕組みを策定し運用することになるのです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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