01426_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>刑法(名誉棄損罪)

名誉棄損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する罪であり、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が科されます。

なお、ここでいう
「人」
は、自然人に限らず、企業や団体等の法人も含まれます。

次に、
「公然と」
とは、多数又は不特定のものが認識しうる状態をいいます。

例えば、多数人が集合している場で誹謗中傷を行うのが一般的ですが、会議室やトイレ内での会話のような少人数に対する発言であっても、それらの者がさらに別の者に伝達する可能性があれば、
「公然と」
に該当する場合があります。

企業ネットトラブル対策法務に関して言えば、インターネット上の掲示板への書込み等が
「公然と」
に該当するかが問題となりますが、インターネット上の掲示板は、インターネットに接続している者であれば誰でも常時間覧することができますし、またインターネットという性質上、潜在的には世界中の人が閲覧することも可能ですので、
「公然と」
に該当すると考えることができます。

また、
「事実を摘示(する)」
とは、人の社会的評価を害するに足りる
「事実」
を指摘することを言い、当該事実が真実であるかどうかは関係がありません。

したがって、単に
「Aはバカだ」
「C社はむかつく」
といった発言だけでは名誉棄損罪は成立しません。

真実であるか否かは別として、例えば
「Aは、試験に10回連続落ちるほど幼稚園児レベルの頭脳だ」
「C社は社長の愛人に支配されており、取締役会は全く機能していない」
等のように、具体的事実が記載されていることが名誉棄損罪の成立には必要とされるのです。

なお、憲法21条が保障する
「表現の自由」
と、人の
「名誉権」
の保護との調整を図るため、刑法230条の2は、名誉毀損行為が
「公共の利害」
に関する事実に係るもので、専ら
「公益を図る目的」
であった場合には、摘示した事実が真実であることを証明させることで免責とする旨定めています(この証明に成功すれば、たとえ名誉棄損行為を行った場合であっても、無罪となります)。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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