基本的に、有事事態対処の状況評価・状況解釈・展開予測・ゴール設定・課題定義・方法論策定抽出と選択・ゲームチェンジ、という一連の選択課題を決定する総大将(トップあるいはプロジェクトオーナー)は、一人です。
すなわち、社長をトップとする経営上の指揮命令系統は整備されているものです。
しかし、企業によっては、それ以外の役員も作戦について自由な論評をしている企業があります。
さて、ミリタリーの常識は、シビリアンの常識とは異なります。
そして、(シビリアン空間とはまったく異質の)ミリタリー空間における事態対処は、ミリタリーの常識で対処すべきですが、その際、必ず、シビリアンが、シビリアンの常識による批判や反発が生じます。
もちろん、論評は自由です。
ただ、責任ある論評以外の無責任の情緒的論評は、混乱を招き、利敵に失します。
責任ある論評とは、
1 軍事作戦の結果について責任をもつ覚悟がある。すなわち、
01654_クライアント(プロジェクト・オーナー)の義務や役割や責任(1)_勝敗・成功失敗・首尾不首尾というものが観念され、結果が蓋然性に依存する事件(争訟事件)の場合
2 軍事作戦協議のすべてにおいて出席し、ミリタリーの面前で、しっかりと自分の意見を述べる
3 作戦を批判するのは自由だが、批判する場合、より高度で現実的で達成蓋然性の高い代案を提示する
これら、すべての要素を実装した意見です。
反対に、
1’ 軍事作戦の成否に責任を負担しない立場で、
2’ 軍事作戦協議には出席を忌避し、出席しても、自分の意見を述べずに、陰口を陰湿に叩き、
3’ 批判はするが、対案を述べないか、対案を述べても、「証拠はないが気合で勝つべき」「証言や陳述書作成は断るが、証言や陳述書がなくても裁判官がわかってくれるはず」「相手を叩きのめすために必要な状況のミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化は面倒でやらないか、言語化知性や事務的資源がないのでできないが、正義はこちらにあるので当然勝てる」という愚劣な精神論レベルのものである
というような論評を許すことは、戦う前から、負けています。
企業によっては、有事対処のためのミリタリー体制が未熟で、総大将(トップあるいはプロジェクトオーナー)一人が責任をもつ、というよりも、ろくでもないシビリアンが跳梁跋扈して、内部秩序や統制が崩壊しているところもあります。
逆に、トップ(プロジェクトオーナー)が、作戦協議への参加を拒否するのであれば、そのトップは、作戦遂行の上では、部外者です。
部外者が、無責任な論評をすることは、明らかに内部秩序の崩壊をもたらし、利敵に失します。
弁護士は、ミリタリーとして、企業の利益と軍事作戦の合理的遂行のため、無責任なデマを戒め、責任ある言論を歓迎します。
ステークホールドしている関係者は何人でも弁護士と対話すべきです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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