01174_ガバナンス法務>企業の組織運営・内部統制に関する個別法務課題>ガバナンス法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>会社法

企業組織運営法務における最重要の法令として、会社法が挙げられます。

会社法とは、2005年に成立した会社法をいいますが、それまでの商法、有限会社法等を取り込み、
「会社」
と名のつく法人の設立、組織、運営及び管理のあり方を網羅的に規定しています。

なお、会社法には、株主、債権者等多数の利害関係者が関わることから強行法規とされる部分が多く、また違反した場合に刑事罰が課されることもあり、この点で民法と大きな違いがあります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01173_ガバナンス法務>企業の組織運営・内部統制に関する個別法務課題>ガバナンス法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>民法

企業組織運営法務における基本法令は会社法と思われがちですが、会社法が基礎を置く民法的思考を抜きにしては、会社法をうまく使いこなせません。

例えば、法人という法的技術の基本的思想は民法の組合や法人がベースになっており、取締役の会社に対する責任については民法の委任が前提となって変容が加えられています。

会社法は、民法の特別法として位置づけられていますが、民事間の公平の理念を具現化した民法を、営利追求のためのプロ組織を規律するという目的のために大きな修正を施しています。

そして、会社法において新しい解釈や今まで議論してこなかった分野の解決については、基本に立ち返る必要が生じます。 トラブルが法廷に持ち込まれた場合、裁判官が会社法を公権的に解釈する権限を有するわけですが、裁判官の頭脳には、

「民法=原則・基本、会社法=例外・変容」

という公式が格納されています。

法的トラブルを防ぐ場合、訴訟対応を行う場合、いずれの場面でも、企業組織運営法務を実践する上では、会社法のテクニカルな議論に入る前提として、民法の基本的思考が必要となります。

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01172_ガバナンス法務>企業の組織運営・内部統制に関する個別法務課題>ガバナンス法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本

企業組織は、通常、株式会社として設立され、会社法の規律の下、営利を追求し、その成果をオーナーたる株主に分配します。

本来、株式会社の運営は、オーナーたる株主の意向や会社法の規制に服するものであり、これらへの配慮を抜きにしてはおよそ会社の運営は成立不可能なはずです。

しかしながら、株式会社という組織運営を担う取締役は、売上額や利益額はともかくとして、日常の業務執行において、会社法の規制や株主を強く意識することはありません。

会社の取締役職に就くための資格として、会社法の知識や理解を問う資格試験のようなものは課されていないことからも明らかなとおり、日本の産業社会においては、取締役職は、事業遂行能力こそ要求されますが、会社法の知識が全くなくとも問題とされません。

また、日本企業においては、本来株式会社のオーナーが集まる最高意思決定機関たる株主総会は、
「なるべく手短に終わればありがたい」
と考えられており、極力無機能化・形骸化すべき存在と扱われています。

本来、株主は、株式会社のオーナーであり、経営を受任しているに過ぎない取締役を上位者として指揮・命令をすべき立場にあります。

しかしながら、株主がこのような
「本来の行動」
に出ると、
「モノ言う株主が来た」
ということで、企業組織を挙げて株主の意向を妨害する行動に出ることになります。

以上のとおり、日本の企業組織運営においては、経営幹部に、会社法の基本的素養が期待できず、また、法が本来想定したものと全く逆の理念でオーナーの意向を反映しない組織運営が一般的に行われていました。

これまでの日本の産業社会においては、会社法の詳細なルールを武器に企業経営陣の行動に逐一異議を唱える者はおらず、株主がモノを言うこともなかったため、 上記のような企業組織運営について特段問題とされることはありませんでした。

しかし、21世紀を迎え、敵対的TOBが現実化し、また、株主がオーナーシップを背景に経営陣に様々な注文をつけることが一般化してきました。

敵対的TOBやモノ言う株主に対抗するためには、今までのような感覚で乗り切ることは不可能であり、企業側も会社法を知悉し、これを武器として有効な防御を展開する必要があります。

また、企業組織運営にあたっては、株主に
「モノを言わせない」よう、
これまで以上に会社法を意識した運営が求められます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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そして、
「ビジネスと法令を適正に調和させる」
ということを至上命題とする企業法務スタッフが、企業組織運営に関する法的サポートを実践するにあたっては、
「ビジネスのスピード、効率やダイナミズムを失わせないことを前提にしつつ、法令を理解し、法令知識やリーガルマインドが不足がちな経営幹部に、リスクを伝え、適正なスキームヘの変更を促し、有事に対処する」
という対応が求められることになります。

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01171_ガバナンス法務>企業の組織運営・内部統制に関する個別法務課題>ガバナンス法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説

会社法の施行により、相当程度、自由な機関(組織)設計が可能となり、また、各種法令の整備により、法人の形態自体も様々な選択が可能となっています。

このような状況下において、企業の組織としての取締役、取締役会、株主総会、各種委員会等をいかにして効率よく運営していくか、また、最近、話題になっている子会社等の関係会社による不祥事等をいかに防ぐかなどが問題となります。

ここで対象とする
「ガバナンス法務」
とは、会社組織の組成・運営においてどのような法務課題が発生し、これをどのように対処すべきか、という点を検討するものです。

そして、株式会社等の営利法人の運営においては、

1 誰をトップにするのか(代表機関の選定)
2 どのような経営方針を定めるか(経営方針の策定)
3 どのようにして従業員に経営方針を守らせるか(内部統制)

といったガバナンス法務課題が生じます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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例えば、会社のトップの選定において問題が起きたときには内紛が生じますし、たとえトップがスムーズに選定されたとしても、会社の基本的な方針、経営政策や事業計画が定まらなかったり、あるいは定まったとしてもその手続や内容が違法あるいは不当なものになってしまうケースもあります。

さらに、
「企業の従業員が、法令、定款その他企業の定めるルールを無視ないし軽視することのないような体制構築を行う」、
すなわち内部統制システムの構築・運用に関する法務課題もガバナンス法務の主要テーマを構成します。

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01170_法務活動の各フェーズとのリンクによる課題マトリックスの緻密化

本フレームワーク上の個別プロセスに特有の各法務課題を検討・遂行する場合、法務活動(法務オペレーション)の4つのフェーズごとに議論の方向性が異なってきます。

本フレームワークと法務活動のフェーズ分析を組み合わせることにより、より緻密な法務課題マトリックスを作ることができます。

すなわち、本フレームワーク上の個別プロセス内部において、

0 フェーズ0:課題概要と全体構造
1 フェーズ1:アセスメント・環境整備フェーズ(法令管理や文書管理に関する法務課題)
2 フェーズ2:経営政策・法務戦略構築フェーズ(経営政策、事業方針策定や、法務戦略構築に関する法務課題)
3 フェーズ3:予防対策フェーズ(契約法務や、コンプライアンス法務・内部統制構築に関する法務課題)
4 フェーズ4:有事対応フェーズ(契約事故を処理するための民商事争訟法務や、刑事事件、行政処分、大規模消費者被害あるいはその他企業の存続に影響を及ぼす大規模不祥事に対応するための有事対策法務)
5 その他、特殊な課題・新たな課題

といった形にさらに細分類された法務課題を、各プロセス内のサブカテゴリーとしてあてはめることにより課題マトリックスをより緻密なものとすることができるのです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01169_リーガル・プロセス・チェーン・フレームワーク分析>連鎖型企業法務プロセスモデルによる課題分析法>各企業活動に対応する企業法務活動の抽出・分類

企業活動の整理・分析に対応する形で、各企業活動プロセスから派生する法務課題を抽出・分類し、最終的に、以下のようなフレームワークにまとめることができます。

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以上のようなフレームワークにおける合計15の各プロセスの法務課題を常に意識することにより、企業活動において発生する法務課題を、漏れなく抽出することが可能となるものと考えられます。

なお、本フレームワーク上の各プロセスは、
「あるプロセスと別のプロセスが、連鎖的に、順次依存・連携する中で、企業活動が行われている」
ということに着目したものであり、この連鎖的活動の全てにおいて、各プロセスに特徴的な法規制や法的課題が、常に企業活動の障害として立ちはだかり、あるいはトラブル処理の際の規範として機能しています。

このような状況を常に意識し、企業活動における各プロセスに特徴的な法務課題を事前に効果的に抽出・特定することにより、企業の法務体質・コンプライアンスレベルが格段に向上することになるものと思われます。

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01168_リーガル・プロセス・チェーン・フレームワーク分析>連鎖型企業法務プロセスモデルによる課題分析法>具体的内容

企業法務のニーズに応えるべく、著者は、
「企業内外において生じる法務課題を有機的かつ統一的に捉え、企業が抱える法務課題を効果的に分析するフレームワーク」
として、
「リーガル・プロセス・チェーン・フレームワーク分析(連鎖型企業法務プロセスモデルによる課題分析法/Tetsumaru Hatanaka’s Legal Process Chain Framework)」
構築し、本書の前身である
『企業法務バイブル2009』(弘文堂)
等において提唱しました。

このフレームワークは、
「企業における法務課題が、有機的に相互関連する企業活動の各プロセス毎に生じる」
との認識に立ち、
「同時多発的かつプロセス横断的に発生する法務課題を、理論的かつ効果的に把握する」
とする設計思想に基づき、構築されています。

企業の定常的活動は、一般に、

1 法人として組成して、統治体系を行え、組織体として運営していき、

2 ガバナンスが整った企業は、次に、
(1)ヒト(労働力)
(2)モノ(原材料・製品・商品・設備)
(3)カネ(投資・融資)
(4)チエ(情報、技術、ブランド)
といった各経営資源を調達・活用し、これにより企業内に商品・サービスといった付加価値を在庫等として蓄積します。そして、

3 このように企業内に蓄積された付加価値(商品在庫あるいは未実現収益)を、
(1)コーポレートセールス(法人向営業ホールセール、BtoBセールス
(2)コンシューマーセールス(消費者向営業、小売、BtoCセールス)
といった各営業活動を通じて収益として実現する、

4 営業活動の成果として企業内付加価値(商品在庫あるいは未実現収益)から売掛金債権として転化した債権は、債権管理・回収活動によって、さらに現金へと転化していく、

5 以上の企業の各取引を会計の側面から認識・記録し、さらに一定の会計期間で区切って決算・報告・納税を行う、

という形で整理されます。

また、企業は、以上の定常的活動のほか、異常・特異な状況や事態に直面することがあります。

これについては、

6 企業が破綻状態に陥り、解体・清算したり、あるいは法的手続その他を経て、再生する状況、

7 企業が「ヒト・モノ・カネ・チエの有機的総体である企業そのもの」を取引の対象とするM&Aを行う場合、

8 企業が反社会的勢力からの攻撃を受ける場合、

9 企業がサイバー空間において匿名の第三者から誹謗中傷といった攻撃を受けて企業価値を毀損させられる場合、

10 企業が欧米圏に進出し、あるいは欧米圏の企業等と取引を行う場合、

11 企業が非欧米圏に進出し、あるいは非欧米圏の企業等と取引を行う場合、

という形で整理されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01167_企業法務課題を整理・体系化すべき必要性>(2)企業法務課題整理・体系化の必要性を考えるためのケース・スタディ

さらに具体的な有事状況を考えますと、企業法務の現場においては、例えば、以下のような状況に遭遇することもありえます。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

A社は
「2万円」
という定価実績が全くない宅配形式のおせち料理商品を、
「定価2万円のところを1万円で特別販売」
と銘打って予約販売をした。

プロジェクトは当初、同社取締役会で試験的な実施を決議され、代表取締役が執行担当者となって実施されたが、
「ここは一挙に知名度をあげましょう。
大量のクーポンを発行して集客するので、ガンガン作って売ってください」
との広告代理店の回車に乗せられ、代表取締役は、勝手にプロジェクトの規模を大きくした。

A社は対応し切れないほど大量の注文を受けてしまったため、告知していた高級食材が調達できず、国産鴨肉をフランス産鴨と偽り、鹿児島の豚肉をイベリコ豚と偽って、スカスカのおせちを作った。

また大量注文のため、冷蔵庫のキャパシティがなく、長時間そこら辺に作りおきしておいたため、腐敗の始まった食材もあったが、強引に詰め込んだ。

大晦日に間に合わず、配達が元旦を超え、キャンセルや損害賠償請求が相次いだが、当該請求は拒否した。

トラブルのため大幅な損失が生じ、納入業者に代金減額を要請し、態度の悪いアルバイト数名の給料も減額した。

責任者として連日連夜のクレーム対応で残業続きのため、過労で倒れた店長を解雇した。

その後、マスコミの報道やネットでの誹謗中傷が始まり、被害者弁護団が結成されて内容証明が届き、労働組合からも団体交渉の申し入れがなされた。

労働基準監督署、保健所、消費者庁等様々な官庁が、入れ代わり立ち代わり調査に訪れた。

そして、メインバンクからは、融資の一括返済が求められた。

これと時を同じくして、株主の一人が監査役に対して、取締役全員を提訴するよう求める通知書を送付した。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

このように、現実の企業法務の現場においては、様々な分野・レベルの法務課題が同時多発的に発生する場合が多く見受けられます。

しかし、民法のパンデクテン体系と無秩序に存在する各法律をアドホック に参照していても課題対応をすることはおよそ困難です。

他方、企業法務というビジネス課題を処理する上では、法務データを収集整理し、分析し、ビジネス活動に関するリスクを抽出した上、リスクを無視するか、回避するか、対応するか等といった何らかの行動の選択を、スピーディーに出すことが求められます。

このような状況から、経済現象・ビジネス活動を主軸にして、相互に有機的に関連し、また、ときに同時多発的に発生する法務課題を統一的に把握し、企業活動に即応して的確に課題抽出・課題分析・課題整理をするためのモデルないしフレームワークが必要とされるようになりました。

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01166_企業法務課題を整理・体系化すべき必要性>(1)企業法務課題を合理的に整理・体系化する必要性

「企業法務」
というビジネス課題については、取扱対象の広汎性、ロジックの専門性等から、取り組む以前の問題として、課題をどのように発見し、整理・分析すべきかすらわからず、五里霧中の状態で途方に暮れる企業も少なくありません。

従来、企業法務課題を体系的に捉えることができる整理・分析のためのモデルは存在しませんでした。

既存の法体系を前提とすると、
「総則・物権総論・物権各論・債権総論・債権各論・不当利得・事務管理・不法行為」
というパンデクテン体系に基づく民法が私法体系の根幹をなし、これらの特別法として商法、会社法といったものが存在します。

この上に、金融商品取引法、不正競争防止法、各種PL法、独占禁止法といった企業活動に関連する法体系が、法制定者あるいは法執行者(監督官庁)の都合で、アドホックに散在するだけです。

書店等に行けば法務関連図書を多く見受けますが、上記のとおり、民法、会社法、金融商品取引法といった各法体系に応じてドグマティックに整理されたものがほとんどで、法体系を横断し、ダイナミックに展開する現実のビジネス活動に適合した書籍はないに等しい状態です。

このような状況ですと、例えば、新しい製品を製造して販売するという事業を新たに構築する場合、原材料調達取引や製品販売取引に関しては民法・商法を参照し、新事業開始や工場建設の意思決定に関しては会社法を参照し、環境規制に関しては行政法・条例を、マーケティングに関しては景品表示法を、下請けとの関係構築は下請法を、その他企業間の関係(BtoB)規律については独占禁止法を、また、エンドユーザーたる消費者への製品販売(BtoC)については消費者契約法を、といった具合に
「法制定者の都合でビジネス活動とは無関係に、バラバラに存在する各法体系」
を個別に参照しなければならず、手間と時間が膨大にかかり、現実のビジネスの展開スピードに間に合わず、いわゆる
「漏れ」「抜け」
が出てくる危険性が顕著に存在します。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01165_疑似法務活動の概念整理>倫理課題・CSR等と企業法務との関係整理>(5)まとめ

企業法務として展開されるべきコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)は、大和銀行ニューヨーク支店事件判決を嚆矢とする多くの裁判例の考え方に基づく内部統制システム構築義務の理論に準拠し、法令違反のみを対象とするリスク管理体制を確立・運用すれば足りるものと考えられます。

同時に、企業は、広報やPR・IR上の戦略として、企業法務とは別の専門部署に担わせる方法で
「企業倫理」「誠実な企業行動」「地球環境への配慮」
といった理念への共鳴をアピールし、企業価値向上に役立てることも積極的に行うべきです。

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