01104_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(4)種別>上場企業・大企業

いわゆる上場企業・大企業においては、ファイナンス(財務改善を意識したSPCを用いたファイナンス等)やM&A分野において戦略法務を実践することが多いようです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

これらの分野の戦略法務は、単純な法的知見だけでなく、会計・税務や、先端的な事業戦略が複合したものであり、かつプロジェクト実施のためのファイナンス、さらには金商法の開示規制等も関係するような高度なスキームを構築するものであり、技術的な色彩を強く帯びています。

このような点から、当該分野における戦略法務は、会計専門家や税務専門家、さらにはファイナンスや開示実務に詳しい金融や証券のプロ等を交えたオール・ハンズ・ミーティングを通じて、展開されていくことになります。

これら戦略法務に関しては、
「違法ではないが、あざとく、不当かつ不健全な印象を与え、世間の反発を招く」
という(非法律的)リスクが残ります。

戦略法務を採用するほとんどの企業では、これらのリスクを解消・低減すべく、リリースやIRの際に格段の配慮をし、また、戦略の真の意図が明るみに出ないようにします。

逆に、
「時間外・市場内取引で取得すればTOB規制を回避できる」
という法の盲点を利用してニッポン放送株を大量に取得して一躍筆頭株主に躍り出るという奇策を取ったライブドア元社長の堀江貴文氏は、
「全てに値段がついているということは、お金で買えないものはないということです。
プロ野球の球団だって買えるし、女心だって買える。
だからとにかく社会で力を得たいと思うなら、お金を稼ぐのがいちばん手っ取り早い方法なんです」
などと刺激的なコメントで世間を挑発し、かえって既存秩序からの反感を高めていきました(逆に彼なりの広報戦略であったかもしれませんが)。

同様に、法の盲点を突くアグレッシブな戦略でファンドビジネスを短期間で急成長させてきた村上ファンド代表の村上世彰氏も記者会見で
「カネ儲けすることは悪いことですか」
とコメントするなど世間の反発を招く対応を行いました。

以上のような点が関係したのかどうかは定かではありませんが、両者ともインサイダー取引を行ったとの理由で逮捕・起訴される等の事態に至っています。

いずれにせよ、戦略法務を実施する際には、その過激さ・先鋭さによって社会の反発を招き、全体・実質としての企業価値を低下させたり、当該戦略とは別の理由で報復される危険性があることには十分注意しなければなりません。

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01103_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(4)種別

企業規模によって用いられる戦略法務も異なっています。

以下、上場企業・大企業における戦略法務と、中小企業における戦略法務に分けて、具体的実践例をみていきます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01102_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(3)実態把握が困難な戦略法務

戦略法務は、
「競争相手を出し抜く」
という外間の悪さから、卑劣・不当である等として社会的非難を受けたり、また
「出し抜かれた」
既成秩序側からの強い反感を買うというリスクがあります。

このようなことから、アグレッシブな法活動を実践している企業も、正面からこのような指向の活動を推進することを積極的にアピールしません。

すなわち、戦略法務を積極的・意欲的に活用するどの企業も、戦略の詳細や本来の目的を秘匿するか、IR等で開示する際も本来の意図や狙いとは違った表記によって事実上仮装隠蔽し、社会的な非難・批判をかわそうとするのです。

このような事情から、戦略法務の実態や詳細は、いまだ秘密のベールに包まれており、研究や体系化は進んでいません。

しかし、競争に敏感な各企業の法務政策上の意思決定や行動を観察する限り、戦略法務を実践する企業が増加傾向にあることはまぎれもない事実です。

本書では、採取可能な情報やデータに加え、筆者が様々な事案遂行経験の過程で獲得した知見に基づき、
「戦略法務」
を整理体系化し、その内容を紹介していきたいと思います。

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01101_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(2)負のイメージ

いわば“あざとい”法律の活用法は、ときに(法律的非難とは別次元の)社会的非難を巻き起こし、全体としての企業価値を低下させたり、無用な敵を増やしてしまって事業運営における有形無形の障害・妨害を発生させたり、と思わぬリスクを生じることがあります。

特に、行政機関による運用不備を突くような法務戦略は、
「行政に対してそういう態度をとると“江戸の仇を長崎で討つ”といった報復がされる」
等という理由で忌避されることも多いようです。

また、企業に社会的責任(CSR)や道徳ないし倫理といった非法律的規範の遵守を求める論者等から、否定的な見解が述べられることもあります。

しかしながら、企業は、自由で活発な競争を通じて経済社会の発展に貢献する存在として、憲法によって営業の自由を保障され、また法律上も営利追求を目的とする組織としてその存在が肯定されています。

「生き馬の目を抜く」
が如き競争を勝ち抜くため、明確な法規範に違反しない限り、企業にはあらゆる法的知見を活用する権利が保障されるべきです。

また、実際問題として、意味もなく萎縮的、保守的で消極的な考え方でいたところで、外資系企業や新興ベンチャー企業に先を越されるだけです。

経済がデフレーション基調で、競争も国際化・激化の方向性を辿っていることをふまえても、戦略法務を忌避していると、たちまち競争上劣位に追いやられ、企業としての存続も困難になってしまいます。

したがって、競争力向上の観点からも、日本企業は、犀利な頭脳をもつ外資系企業やベンチャー企業に学び、積極的に戦略法務の検討や採用を行うべきと考えます。

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01100_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(1)定義

「戦略法務」
という法務活動については、論者によって様々な定義が行われているようです。

「戦略法務」

「臨床法務(争訟法務)から予防法務(契約法務)へ」
という法務プラクティス発展経緯の延長線上に位置するものと捉え、前述の
「経営サポート法務(あるいは意思決定支援法務、企画法務、提言法務ないし提案法務)」
の意味に捉える考え方があります(「戦略法務=経営意思決定支援」説)。

また、
「戦略」
という言葉における
「徹底した競争優位を指向し、ときに相手を出し抜くことも辞さない」
というアグレッシブなニュアンスを重視し、
「戦略法務」
を、外資系企業やベンチャー企業が積極的に採用するような、
「『規制不備、すなわち、法の不備や盲点、さらには行政機関による運用不備や特異な業界慣行により生じた事業機会』を俊敏に捉え、法務上の知見を戦略的・意識的に活用して、競争相手を出し抜いたり、ゲリラ的に他業種へ参入したり、従来の暗黙のルールや商慣行を打破する現代型法務活動」
と捉える考え方もあります(「戦略法務=規制不備積極利用」説)。

本書では、
「戦略法務=規制不備積極利用」説
の考え方に立ち、
「戦略法務とは、規制不備状況を積極的に利用するような法律技術」
と定義することとします。

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01099_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>経営サポート法務(フェーズ2A)>(3)実践例

事後において株主による責任追及の可能性が大きい経営上の意思決定(言い換えれば、株主の権利等に影響を及ぼす可能性が大きなプロジェクトであるM&Aや特定のファイナンス等)においては、当該意思決定の合法性・合理性が徹底して確保されるべき必要があります。

このような場合、企業経営陣としては、法務サイド(法務セクションや顧問弁護士)を招聘し、経営意思決定においてどのような規制等が存在するのかを確認させます(法令管理)。

その上で、法務は、
「第三者委員会等の外部の意見を聴取する機関を設置・運営し、特定の経営意思決定の合理性・合法性について意見を徴求すべきである」
「その際は、委員会の独立性に疑義が呈される場合があるので、日弁連のガイドラインや東証の関連規則に配慮しながら設置運営すべきである」
といった知見を提供することになります。

また、例えば、特定の企業と事業パートナーシップを締結し、共同で事業を進めるという場合、法務サイドとしては、
「提携形態について、生産提携、販売提携、ジョイントベンチャー、M&A等がある」
「M&Aを実施する場合、株式買取、合併、事業譲渡等がある」
という形で様々な選択肢があることを情報として提供し、より精緻で合理的な経営判断ができるよう支援していくことになります(もちろん、これにとどまらず、合法性に関しては、独占禁止法上の企業結合規制に関するリスクを提示することも法務による経営サポート法務活動として重要です)。

持株会社の設立、敵対的買収防衛策の導入、ESOP制度(従業員持株制度)構築、新事業立ち上げ、海外進出といった、企業にとって重要な政策意思決定や事業企画については、検討段階から法務セクションが参画し、合法性や合理性確保の観点から、積極的に知見を提供していくことになりますが、これが経営サポート法務といわれる法務活動となります。

以上のほか、SPC(特定目的会社)を用いたオフバランススキームやデット・エクィティ・スワップ、デット・デット・スワップ等、会計技術と会社法とが融合した技術性の高いプロジェクトや、企業組織再編税制の適用を前提としたM&A等、会計と税務と法務とが融合した経営戦略の構築・遂行にあたっても、事業構築早期の段階から法務スタッフや弁護士が討議に参加して進めていくことになりますが、このよう事業の進め方も、経営サポート法務活動の1つと考えられます。

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01098_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>経営サポート法務(フェーズ2A)>(2)法務の登場と発展の経緯その2

前世紀においてもそれなりに企業不祥事が発生しその度に大々的に報道されていましたが、
「コンプライアンス」
という言葉が取り沙汰されることはありませんでした。

これは、護送船団行政と関係があります。

すなわち、20世紀の時代、企業にとっては、監督官庁こそが、法制定者であり、法執行者であり、紛争解決機関であり、神様であったのです。

監督官庁と緊密な関係を保っていれば、そもそも違反自体を逐一指摘されることはなかった(あるいは少なかった)のです。

万が一、違反が明るみになっても、監督官庁が
「何とかしてくれる」
という状況がありました。

企業の
「コンプライアンス戦略」
とは、法令や規制環境を調査することでも、法令遵守を徹底させるための教育体制やマニュアルを整備することでも、困った問題があれば弁護士に相談することでもありません。

前世紀における企業においては、
「何でも監督官庁によく相談する」
ことこそが
「コンプライアンス」
だったのです。

しかしながら、護送船団行政システムが終焉を迎え、徹底した規制緩和が行われました。

その結果、監督官庁の立場・役割は、
「法を制定し、解釈し、運用し、紛争を解決するオールマイティの神様」
から、
「法令を執行するという単純な役割(とはいえ、これが本来の役割ですが)」
に変質することになったのです。

反面、企業の負荷は増えました。

「何でも気軽に相談できる面倒見のいい神様」
がいなくなり、自前で法令を調べ、わからなかったらコストのかかる弁護士や法務部に聞き、さらに心配であれば面倒くさい事前照会制度(ノーアクションレター)を活用しなければなりません。

揉めごとが発生しても、気軽に課長や局長に面会して泣きつくことはできず、費用を支払って弁護士に弁護してもらわなければならなくなったのです。

役所の庇護から離れた企業は、
「法」
と正面から向き合うことが要求されるようになりました。

企業は、自らのコストで法令遵守や法に関連するトラブル一切を取り仕切ることが求められるようになったのです。

ここに至り、日本の産業界は、自らの費用と責任で、経営の合法性・合理性を確保する必要に迫られ、経営上の意思決定を行う上で、法務専門家(社内の法務マネージャー・スタッフや、顧問弁護士)の意見・判断を経由するようなプラクティスが生まれ、発展してきたのです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01097_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>経営サポート法務(フェーズ2A)>(2)法務の登場と発展の経緯その1

コンプライアンスという言葉がありますが、21世紀に入って降って湧いたように登場し、その後、事あるごとに使われるようになってきた法務活動における重要なキーワードです。

「コンプライアンス」
とは日本語に訳すと
「法令遵守」
という意味になりますが、法令を守るのはある意味当たり前といえば当たり前です。

ここで、
「何故、法令遵守を経営課題としてわざわざ認識しなければならないのか」、
「それほど日本の企業は法令を遵守していない不届きなところが多いのか」、
よく考えれば不可思議です。

まず、
「日本の企業は法令を遵守していない不届きなところが多いのか」
という点については、YESと言わざるをえません。

労働白書にて、労働基準監督官による事業所調査を行った際の結果が統計データとして公表されていますが、これによると、国内の事業所において、労働関連法規(労働基準法や労働安全衛生法等)の違反率はだいたい72.2%、業種によっては84.4%もの割合で労働関連法規違反が発見され、指摘されている、とのことです。

日本では、どの会社も労働関連法規を平然と無視して操業している、といえます。

また、金融業界では金融検査なるものが定期的に行われていますが、
「検査をしても違反が一切なかった」
という金融機関はほぼ皆無であり、多かれ少なかれ違反を指摘されているのが実態です。

金融機関というと、いかにも
「法律はきちんと守っています」
等と涼しい顔で営業していますが、結構著名な金融機関が実は悪質な違反行為を行っている、などということは日常茶飯事のようで、これが金融検査で露見し、長期間の業務停止処分を受けることもあるようです。

比較的管理がしっかりしているはずの金融業界がこの状況ですので、その他の業界における業法その他各種法令の遵守状況もだいたい想像がつきます。

以上のとおり、日本の産業界においては、法律を全てきちんと守って健全に経営を行ってきたというよりも、
「見えないところで適当に法令を無視しながら、バレたらバレたでなるべく事が大きくならないようにしながら、日々発展している」、
という一面があるのです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01096_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>経営サポート法務(フェーズ2A)>(1)法務

経営サポート法務(あるいは意思決定支援法務、企画法務、提言法務ないし提案法務)とは、企業経営上の重要な意思決定における立案・審議(経営政策や経営意思決定や重要な事業企画の立案・審議)に参加し、企業の意思形成過程に関わる法律業務を指します。

すなわち、経営政策や経営意思決定、重要な事業企画の立案に際して、法的知見を提供し、各ビジネスジャッジメントに合法性・合理性を確保させることを通じて、経営政策や経営意思決定を支援する法務活動です。

具体的には、法務スタッフや弁護士(社外役員や顧間弁護士あるいは契約法律事務所の担当弁護士等)が経営の企画・立案に参画し、経営上の意思決定に関与して意見を提供し、法務上の知見を経営政策に反映させます。

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01095_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(7)英米法体系における弁護士特権の活用

最後に、英米法(コモンロー)体系の国によっては、弁護士が依頼者から預かった文書についての絶対的な保秘権(attorney-client privilege)を有している場合があり、当該国で紛議に巻き込まれた場合、文書の保秘という点において絶大な威力を発揮します。

この点において、重要な文書は信用できる現地弁護士の保管とするか、コストが安ければ社内弁護士を雇用し、文書保管させることも考えるべきです。

例えばアメリカでは、Eーディスカバリー制度によリデジタルデータの証拠開示も進められていますが、保秘権の活用により、開示から保護することが可能です。

この場合には、開示手続から保護されるべき情報を選別し、その情報のリスト(privilege log)を作成することで、不利な情報等の漏洩を防ぐことが可能となります。

さらに、このような特権の利用を試みる際には、メール等全てについて漏れなく分類をしておかなければ、共通する話題についてのやりとり等について保秘権が放棄されたとみなされることにより、
「開示すべき」
と判断されるおそれがある点に注意が必要です。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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