01094_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(6)英文文書の管理

企業によっては、英文を取り扱うところもありますが、一般に英文契約等は、そのままの状態で管理される場合がほとんどです。

無論、担当者が英語に堪能であれば特段問題はありません。

しかし、後任者や上司・担当役員等の英語読解力に難があったりすると、契約問題が発生した場合など、社内でのスピーディーなコミュニケーションや対策検討のための議論の早期着手に困難を来します。

そのような場合を想定し、英文契約等重要な英文文書については、必ず対訳を付し、管理しておくことが推奨されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01093_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(5)印紙と印鑑

文書に関しては、作成意思を明確にするため、押印が必要な場合があります。

この点、中小企業等で全ての押印を実印(登録印)で処理するところもあるようですが、契約書に押印すべき印鑑には法律上特段規制がなく(偽造等が争われる民事訴訟の場面では立証課題に差が出てきますが)、実印を用いて印影を明かすことにより偽造等のリスクも出てきます。

したがって、公的手続等実印が絶対必要な場合を除き、取引印(認め印や角印)と呼ばれるものを別途作成し、日常の取引や契約には実印以外の印鑑を用いることが推奨されます。

文書が複数枚にわたる場合や、袋とじされた書類に関しては、契印をすべきです。

また、訂正印(捨て印)については、トラブルのもとですので、弁護士や司法書士の委任状や銀行手続書類などの場合を除き、やたらと訂正印を押印することは差し控えるべきです。

文書の内容や取引の種類によっては、印紙を貼付しておくことも必要です。

この点、所定の印紙を貼付せずに税務調査で発覚した場合、後日、所定の印紙代の3倍額の金銭を納付させられることになりますので、注意すべきです。

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01092_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(4)文書の保存期間

文書の保存期間を定めるにあたっては、利用可能性を完全に喪失した時期を基準にすべきです。

一般に税務上の時効を基準として文書保存期間を定める企業が多いようですが、例えば不法行為の消滅時効の最も長い期間は不法行為時から20年にも及びます。

したがって、処分証書や重要な報告証書は、税務上の時効に基づき形式的に保存期間を定めるのではなく、後日の法的紛争も視野に入れてしかるべき期間まで保存しておくべきです。

なお、文書を廃棄する場合であっても、最近では、高性能のスキャナー機器が安価で人手でき、また、膨大な情報を記録できる電子的な記憶装置も廉価となっていますので、電子情報として永久保管しておくことも検討すべきと思われます。

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01091_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(3)文書の種類

なお、文書の種類についてですが、法律の世界で重要な分類は、
1 原本か写しか、
2 処分証書か報告証書か、
という点です。

裁判手続における適式な証拠とは原則として原本を指し、写し(コピー)については記載された事実を立証するための証拠として信用性がないものとして扱われるリスクがあります。

その意味では、原本と写しとは明確に区別されなければなりませんし、原本は厳重に保管される必要があります。

また、契約書等の権利や義務に関わる文書は
「処分証書」
として訴訟等の手続で決定的な証拠となりますが、体験した事実を述べたに過ぎない文書(報告証書)は法的に争いのある事実を間接的・補助的に裏付ける意味しかありません。

その意味では、前者(処分証書)は記載内容をシビアに確認するとともに、保管についても適正になされなければなりません。

ところで、日本では、日頭によるものであれ、文書を取り交わすものであれ、当事者の意思が合致していれば契約の成立を認める法制(意思主義)を採用していることから、契約書は原則として契約成立の要件ではなく、契約成立を示す証拠書類の1つとして扱われます。

すなわち契約書は、当事者が任意に作る合意形成の証拠に過ぎず、方式等は特段定められておらず、体裁や記載内容は作成者の完全な裁量に委ねられています。その意味では、題名に
「契約書」
と書いていない
「覚書」「確認書」「意向表明書」「承諾書」「通知書」「連絡」等
といったタイトルの文書であっても、その記載内容が一定の法的合意を示すものであれば、契約成立を直接示す証拠書類、すなわち、上記
「処分証書」
と取り扱われることもあります。

したがって、
「処分証書」

「報告証書」
との区別については、タイトルだけで判断せず、内容まで吟味して整理する必要がありますし、
「契約書というタイトルがないから、それほど重要でない」等
といった安易な気持ちで、契約に関連する内容が記された文書に押印する態度は危険です。

また、株券や手形、小切手は、有価証券として、文書そのものが権利を表章しますので、小日現金と同等の管理が必要です。

ゴルフ会員権証書や機器保証書は有価証券ではありませんが、紛失の場合には譲渡が煩瑣となりますので、やはり有価証券に準じた管理が必要と思われます。

許可証・免許証等の行政文書や、判決・決定・公正証書等の司法関連文書も、立場や地位を確実なものとし、権利を実行するのに必須のものですので、こちらも厳重な管理が必要です。

株主総会議事録や取締役会議事録、株主名簿や会計帳簿については、会社法上、本店保管が義務づけられていますので、保管面のコンプライアンスも意識する必要があります。

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01090_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(2)文書の体裁

まず、企業活動を記録する文書は、体裁面で適正なものでなければなりませんが、手形や議事録など法律上形式が定まっているものを除き、5W2H(When, Who, Where, What, Why, How, and How much)に従って、事態を客観的に示したものであれば、企業にとって簡便な体裁を採用して差し支えありません。

無論、作成日付、タイトル、作成者の記載も必須ですし、改竄や機密保持対策の点から、作成者と保管者の区別、文書アクセス権者の制限等を決めておくとなお役立ちます。

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01089_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(1)文書管理の重要性

文書の整理・体系化・管理も企業活動の重要な業務の1つです。

何か事件が発生し、企業が自己の立場の正当性を主張立証しなければならない場合、司法・行政の別を問わず、およそ公的手続といわれる場においては、文書こそがモノをいいます。

例えば、体裁も多様で、時系列もバラバラで、記録としての即時性も継続性も一貫性もなく、保管場所も定まっていない、といった文書管理状態を例として考えてみます。

このような場合、当然必要なときに必要な文書を探し出すことは困難であり、有事の状況において、企業は自らの立場の正当性を立証しうる証拠が発見できず、非常に困難な状況に陥ります。

仮に、長時間のドキュメントマイニング(資料発掘)の結果、ようやく重要な証拠書類がみつかり、契約違反や法令違反が問われている手続の終盤になって突如提出したとしても、裁判官や審判官に
「どうして今頃提出してくるのだ? 紛争になってから作ったのではないか?」
と不信感を持たれかねません。

適切な文書による記録を各担当部門に励行させることは、有事の際に力を発揮するほか、記録を適正に残すことにより、活動に自己検証機能が働き、不当な企業活動やいい加減な行動が激減します。

さらに、所属従業員の働きぶりや成果の確認もしやすくなり経営管理にも役立つなど、一石二鳥、三鳥の効果があります。

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01088_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>法令管理(フェーズ1A)>(4)ノーアクションレター制度

企業が特定の事業や取引の法令適合性を調査する場合、行政機関に対して法令解釈を照会する方法(ノーアクションレターの採取)も有益です。

企業が新商品を販売したり、新事業を立ち上げたりする際、当該企業活動の法令抵触の有無が明らかでないため、行政処分や刑事処罰をおそれて必要以上に萎縮する場合があります。

特に、日本の場合、これまで裁量行政が多く活用されてきたこともあり、監督行政機関が突然、思いもよらぬ形での異議を出すことがありえ、企業に萎縮効果(チリング・エフェクト)が働きます。

ノーアクションレター制度とは、アメリカ証券取引委員会の法令適用事前確認手続を参考に作られた制度で、企業が検討している事業活動がはらむ許認可等の取得の必要性や行政処分・罰則等の適用可能性について、監督行政機関に事前に見解を求める手続であり、実施のガイドラインは、各省庁ごとに個別に定められています。

正式な事前確認の照会があれば、行政機関は一定期間内に回答をすべき義務を負います。

ただ、回答については、行政機関のウェブサイトに公表されますので、企業としては事業の保秘が困難になるという点に注意が必要です。

当該照会に関して必要となる
「照会書」
の様式について次に掲げておきます。

例えば、
「ある規制法令の適用を受けないこと」
についてノーアクションレターを得ておきたいというときには、
「当該適用法令」
を記載し、次に、
「自社が将来自ら行おうとする行為」
についてなるべく具体的に(必要ならば図表等を用いて)記載を行います。

行政機関は当該照会書に表れた事実だけを前提事実として判断を行うため、判断の基礎とすべき事情は多い方が正確な意見が得られることになります。

その上で、
「自社の行為には当該法令の規制が及ばないこと」
について自分の意見を論理的に述べることが必要です。

これらの記載方法については、様々な企業による照会書が各省庁のウェブサイト上に公表されていますから、これらを参照しながら、作成していくことになります。

照会書の記載例は、次のようなものです。

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01087_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>法令管理(フェーズ1A)>(3)法令動向や規制環境の調査

企業を取り巻く法的リスク状況を把握する上では、業界誌情報や業界団体のセミナー等で情報収集に努め、常に業界全体の問題意識や業界内の法務対応水準を把握しておくべきです。

監督行政機関には不祥事や法令情報が集中しますので、このような点からも各種プレスリリースや違反事実・ガイドラインの公表等にはよく目を配るべきです。

また、顧問弁護士(契約法律事務所)を情報源として積極的に活用することも推奨されます。

すなわち、弁護士が、先端的な事案への関与を通じて、一般では知りえない産業社会の最新動向に通じている場合があります。

無論、弁護士は守秘義務を負う関係上、職務上知り得た事実を漏洩することは禁じられますが、執務活動を通じて体験したことを抽象化・一般化し、このような知見をふまえて、企業へのコンサルティングを行うことは許されています。

すなわち、顧問弁護士(契約法律事務所)に特別の事案が生じたときにのみ助言を求めるだけでなく、企業動向の一般的見解を求める形で知見やヒントを引き出すような活用も考えるべきです。

また、銀行や証券会社も豊富な情報を有しており、企業の置かれた状況を客観的に分析するための情報や視点の提供を求めるといった使い方もするべきです。

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01086_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>法令管理(フェーズ1A)>(2)企業活動実態調査

法的リスク管理を行うに際し、法務スタッフとしては、まず、企業全体の法務リスク環境を把握しておかなければなりませんが、法律上の課題は
「一定の事実関係に法を適用し、所定の法的効果を導き出す」
というロジックにより発見されます。

このような課題発生の構造上、企業の法的リスクの発見には、まず、前提たる事実関係、すなわち、現状の企業の事業内容等の企業活動実態の把握が必須の前提となります。

企業活動の広がりは企業規模に比例し、大企業になればなるほど、トップマネジメントですら全容を把握できないほど広汎にわたります。

また、現在の企業活動のみならず、今後進出・展開していく事業構想も整理しておかなければタイムリーな企業法務支援が困難になります。

この点は、経営企画室や社長室等企画部門の中枢と連携し、効率的な情報収集を図るべきです。

また、あまりにも状況が複雑で手に余る場合、監査法人・会計士や内部統制コンサルタント、弁護士とチームを組成し、企業活動の全容把握に努めるべきです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01085_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>法令管理(フェーズ1A)>(1)法務関連情報の収集・整理その2

今日の法務関連情報の調査活動においては、インターネットこそが、情報量、速報性、検索性・利便性・コストといった多くの面において、最も重要なツールとなっていると言っても過言ではありません。

こうしたユーザー側のニーズに応えるかたちで、近年、インターネット上の各種の法務関連情報サービスは目覚ましい進化を遂げており、これらを活用できるかどうかが企業の法務能力格差の拡大につながっているようです。主要な
「ウェブ上の法務調査活動ツール」
については次のようなものがあります。

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