00349_外国人雇用等の際に知っておくべき、旅券(パスポート)と在留資格(ビザ)の違い

まず、旅券(パスポート)とは、その国の国籍を有している者に対して、その国が発行し、交付するものです。

例えば、日本の国籍保有者には、日本国が日本の旅券を、米国の国籍保有者には米国が、米国の旅券を発行することになります。

これに対し、在留資格(ビザ)は、外国人に対して、つまり、入国を認める側の国が、入国を求める外国人に対して発行するものです。

したがって、日本人が米国へ行くときは、短期の観光などで行く場合など在留資格が免除される場合は別として、原則として米国政府が在留資格を認めるが必要となります。

ちなみに、在留資格を付与するか否か等については、当該国の主権の本質的なものとして、入管当局の広汎な裁量に属します。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00348_「企業法務」の具体的内容>法務オペレーションの分析・整理

各法務活動(法務オペレーション)の概要を総括すると、次のようになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP26TO26

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00347_「企業法務」の具体的内容>有事対応フェーズ(フェーズ4)>有事対応その2・不祥事等対応法務(企業の法令違反行為に起因する有事対応法務)(フェーズ4B)

有事対応法務のうち、企業の法令違反行為に起因する不祥事の発生等、コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)にて予防に努めるも、意に反して不祥事が起こってしまった場合における裁判内外の各種対応(監督行政機関への対応や報道機関対応、被害者が提起する訴訟対策等)も重要な法務活動を構成します。

これらは、不祥事等対応法務(企業の法令違反行為に起因する有事対応法務)として整理されるべきものと考えられます。

予防対策フェーズ(フェーズ3)と有事対応フェーズ(フェーズ4)相互間において、それぞれどういう関係に立つのかを整理すると、次のようになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

なお、企業によっては、法分野を基準として、次のように、整理の上、特定の専門的法領域を法務部以外のセクションに担当させるケースもあります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP24TO25

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00346_「企業法務」の具体的内容>有事対応フェーズ(フェーズ4)>有事対応その1・民商事争訟法務(契約事故・企業間紛争対応法務)(フェーズ4A)

古典的ながら、いまだに企業法務活動の中核的な位置を占める活動として、トラブル(契約上の事故や、企業の法令違反行為に起因する不祥事)が発生した場合に対応するための企業法務活動があります。

同じく争訟法務であっても、純然たる民事紛争である契約事故・企業間紛争対応法務では、危機状況や対応方針等が著しく異なりますので、まず、前者を民商事争訟法務(契約事故・企業間紛争対応法務)として整理します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP24TO24

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00345_比較広告が違法とされるリスクその2:不正競争防止法違反リスク

不正競争防止法2条1項14号は、比較広告でよく問題となる景品表示法とは別個に、
「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、または流布する行為」
を不正競争と定義し、被害者は、違反者に対しては当該行為の差し止めや損害賠償を求め得るものとしています。

これは、
「虚偽の事実を告げるなどして他社(商品を含む)の信用を害する営業行為は自由競争としての保護に値しない」
との趣旨によるもので、
景表法が独禁法・反競争規制とすれば、
本規定は
「やり方が汚い、えげつない競争活動」
への規制として、
別個に規律されるているものです。

最近でも、
「ある企業の自社商品の説明会などで他社商品の材質や品質に関し虚偽の事実を告げて自社商品をアピールした行為」
が、不正競争防止法2条1項14号に該当するとして、東京地裁は、当該行為の差し止めと損害賠償の一部が認容するとともに、信用回復措置として当該説明会に出席した業者に対する訂正文の送付などを命じました。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00344_比較広告が違法とされるリスクその1:景表法違反リスク

日本では、憲法21条で表現の自由が保障されていることもあり、名誉棄損罪や侮辱罪といった犯罪に該当する場合を別として、キャッチコピーにどのような文句を使用したとしても、使用差し止めや損害賠償を請求されるいわれはないとも考えられます。

しかしながら、景表法(景品表示法)第4条は、
「自己の供給する商品等の内容や取引条件について、実際のものまたは競争事業者のものよりも、著しく優良または有利であると一般消費者に誤認される表示」
を不当表示として禁止し、公正取引委員会は、これに違反する行為の差し止めなどの命令を行うことができると規定しております。

この規定ゆえ、日本では、長年、競合する他社商品と比較して自社商品の優位性をアピールするいわゆる比較広告の手法については忌避されてきました。

しかしながら、昭和62年4月21日に公表された公正取引委員会の比較広告に関するガイドラインにより、
1 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
2 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
3 比較の方法が公正であること
といった3つの要件を満たすことを条件として、行政解釈により、比較広告が許容されるようになりました。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00343_国立大学医学部教授へ贈り物や接待をした場合の法的リスク

刑法198条は、
「賄賂を供与し、またはその申込みもしくは約束をした者は、3年以下の懲役または250万円以下の罰金に処する」
と規定し、公務員に公権力の行使に関して何らかの便宜をはかってもらうために、金品などを提供したりする行為を
「贈賄罪」
としています。

そして、ここでいう
「公務員」
について、刑法は、
「この法律において公務員とは、国または地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう」
と定義しています。

このように、公務員に対し、公権力の行使に関して何らかの便宜をはかってもらうために、金品などを提供したりすることは厳罰をもって禁止されています。

ところで、一口に公務員といっても、霞が関の中央省庁に勤務している一見して明らかな公務員から、かつての旧国鉄、旧電信電話公社のように、民間の鉄道会社や電話会社と変わらない業務を行っている公務員もいます。

その後、このような民間企業と同様の業務を行っていた公務員などは、所属先が民営化したり、また、行政改革推進法の施行など、一連の行政改革などによりその所属先が独立行政法人として組織改変などが行われたことなどによりその身分を失うこととなりました。

その一方で、独立行政法人造幣局など、一部の
「業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められる」
業務を行う独立行政法人の役職員は、公務員としての身分を保持することとされる場合があります。

国立大学は、かつては、その名のとおり国が運営する大学でしたが、一連の行政改革等により、その運営主体が国から国立大学法人に移行することとなり、これまで公務員の地位を有していた国立大学の教授や職員は、その地位を失うこととなりました。

国立大学医学部教授といっても、もはや公務員ではない以上、例えば
「インフルエンザ新薬開発のプロジェクトに参加するための便宜を図ってもらうこと」
を目的にゴルフ接待をしても収賄罪は成立しないようにも考えられます。

しかしながら、国立大学法人法19条は、
「国立大学法人の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」
とし、刑法などの罰則が適用される限りにおいて、国立大学の教授や職員は、公務員とみなされますので、高中社長の行為は贈賄罪に該当する可能性があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00342_消費者団体訴訟リスクの本質

民事訴訟においては、争いを解決するための手段である
「判決」
に実効性を持たせるために、自分の権利の実現を求める者本人が
「原告」
となり訴えを起こす必要があります。

すなわち、可哀そうで見ていられないという理由で、見ず知らずの第三者が
「原告」
となり、民事訴訟を提起するということは原則としてできません。

民事訴訟法においては、これを
「当事者適格」
と言い、民事訴訟を適法に進めるための条件のひとつとされていますので、
当事者適格を有さない者が
「原告」
となったり、
当事者適格を有さない者を
「被告」
として
訴訟を提起した場合、当該訴訟は、
不適法なものとして
「却下」
される
ことになるのが原則です。

しかしながら、社会的強者である企業と社会的弱者である消費者との格差が顕著となった現代社会において、このような民事訴訟上の原理原則を形式的に貫くことによる不都合が生じました。

すなわち、企業などが消費者契約法に違反する営業行為を行い、これによって被害を受けた個々の消費者が個別に解決を図ろうとしても、情報力や交渉力に圧倒的な差があるため、また、このような営業行為の被害者となる消費者にはお年寄りなど、訴訟遂行費用すら賄えない社会的弱者が多いということもあり、泣き寝入りしてしまうケースが常態化したのです。

そこで、消費者問題に関し、当事者適格に対する例外が設けられるようになりました。

これが、消費者契約法に基づき設けられた消費者団体訴訟制度と呼ばれるものです。

この制度は、消費者全体の利益を守ることを目的として、
「消費者のことをよく理解し、利益を代弁することが客観的に期待でき、かつ、組織的にも堅実と認定された消費者団体」
に対し、
1 消費者契約法に違反する営業行為に対して、書面にてそのような営業行為をやめるよう請求する権利と、
2 当該書面でも是正されない場合に、民事訴訟の例外として、消費者に代わって、消費者契約法に違反する営業行為をやめることを求めて訴えを提起する権利を、
それぞれ付与しているのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00341_個人情報保護における侵害論と損害論:たとえ重篤な違法行為をしても、損害がなければ賠償義務は生じない

個人情報は、個人情報保護法により法律上保護されるべき権利であることが明記されているところ、これを違法に第三者に売り渡しますと、当該行為者は権利侵害行為を行ったことになります。

そして、この行為者が所属する企業についても、個人情報保護法に基づく監督義務違反による社固有の不法行為(民法709条)として、あるいは使用者としての責任(民法715条)として、個人情報を漏洩された被害者各人に対して損害賠償責任を負うことになります。

しかしながら、権利侵害行為があれば常に賠償義務を負うというものではなく、権利侵害行為が明らかであっても具体的に発生した損害が不明な場合等には、損害賠償義務が生じないということもあり得ます。

法的解決の場面においては、権利侵害の議論(侵害論)と発生した損害に関する議論(損害論)とは明確に区別されるからです。

すなわち、個人情報の漏洩により現実に被った経済的損害や精神的苦痛といったものは被害者各人で異なるでしょうし、そもそも被害者が賠償請求の主張すらしていない段階において、具体的に損害賠償の議論をするのは、拙速に過ぎる場合もあり得ます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00340_個人情報保護法の制定背景:努力指針から法的義務へ

一昔前であれば、個人情報の保護など全く意識されず、各種学校の名簿なんかがごく普通に名簿業者に売買されていました。

会社の従業員も、カネに困ったら、小遣い稼ぎのために会社の顧客名簿を売りさばき、バレたところで、ちょっとお叱りを受ける程度で済んだ牧歌的な時代もありました。

しかし、高度情報化社会が到来した現代にでは、各種企業が保有する顧客データなどの膨大な個人情報は、情報処理技術などの発達により、その蓄積、加工、編集などが簡単に行えるようになり、一旦漏洩すると、インターネットなどを通じて、これら個人情報が一瞬で世界中を駆け巡りました。

さらに漏洩した個人情報は、オレオレ詐欺やフィッシング詐欺といった、個人情報を用いた新手の犯罪に使われるようになってきました。

そこで、2005(平成17)年に個人情報保護法が全面的に施行され、個人情報などを扱う企業は、従業員に個人情報などを扱わせるに当たり、個人情報の安全管理のための必要な監督義務が課されるようになりました。

その結果、個人情報の保護は単なる努力指針ではなく、法律問題・経営課題として意識されるとともに、個人情報を漏洩させた企業に対しては厳しい責任追及がなされるようになってきています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所