00169_企業法務ケーススタディ(No.0124):データベースをパクられた!

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
株式会社みきみき 代表取締役 藤本 正司(ふじもと しょうじ、35歳)

相談内容: 
先生~、ひどいんですよ。
ほら、俺、結婚したてじゃん? 嫁さんに格好つけたくってさ、最近結構仕事頑張ってんのよ。
仕事? あれだよ、
「車のデータベース」事業。
車って毎年のようにモデルが変わるし、マイナーチェンジも多いじゃん。
ずっと前から、年式や車種から、排気量や走行距離、装備、車の色、外見なんかをサクッと検索できるようなデータベースがあったら便利だろうな、と考えて作ったやつだよ。
今じゃ、普通に中古車販売店なんかはさ、俺の作ったデータベースを利用して、瞬時に客の要望に応えられる仕組みを整えちゃったりして、結構世の中に役立ってんだよね。
相談は、俺のデータベースを導入していないくせに、そっくりなものを使ってる会社が存在するってことさ! もちろん
「どこから導入した?」
って問い詰めたよ。
で、データベースの提供元を探り当てて、やめるようにっていったのに、あいつら・・・。
あいつら、
「誰でも思いつくようなデータベースじゃないですか。
お前には何の権利もねぇよ。
こんなものパクってなにが悪いんすか?」
みたいな開き直りしやがって。
凄まじいまでの単純作業を経て作り上げたデータベース、俺の筋肉のようにビルドアップしたってのに、先生、俺には本当に何の権利もないってのかい? 助けてくれよ。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:データベースの著作物
「情報」
を法的に保護するのが知的財産法といわれる一連の分野です。
今回まず問題になるのは
「著作権法」
であり、その中で、データベースは
「データベースの著作物」
として保護されると規定されています。
しかし、著作権法は、
「創作的表現」
を保護するものであり、すべてのデータベースが平等に保護されるわけではありません。
同法によれば、
「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するもの」
のみが保護されるとされています(同法12条の2)。
条文の文言から明らかなように、
「情報の選択」

「体系的な構成」
に独自の表現が存在することが、著作権法上保護されるための要件となっているわけです。
もう少し砕いていえば、たとえば、車に関するデータベースを考えてみると、
「実際に乗ってみた場合の主観的な乗り心地」
とか
「購入者の職業・家族構成」
のように、車に関するデータとして通常収集される年式・車種等を超えて独自性が認められる指標が存在する場合には、
「情報の選択」
に創作性が存在すると判断される余地があります。
また、
「ある車を検索すると似たフォルムの車が、お勧めとして自動でツリーのように表示される機能」
があったりすると、検索の利便性を独自に高度化しているために、
「体系的な構成」
に創作性が存在するとして、
「データベースの著作物」
と認められる可能性もあるものと考えられます。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:額に汗の法理
ところが、著作権法は、上記のようにあくまでも
「創作的な表現」
を保護するものであり、人の努力の程度によって保護する、保護しないを決するわけではありません。
すなわち、ピカソが5秒でなぐり書きをしたスケッチは独創的な絵画としてもちろん著作物とされるものの、本件のように、車についてありふれた条件を収集し、ありふれた体系に整えることに何年時間をかけたとしても著作物とはならず、たとえ、データの個数が100万個を超えていようが保護されないものはされないのです。
この点、
「額に汗をかくぐらい、お金と労力をつぎ込んだものについては、著作物として保護すべき」
という
「額に汗の法理」
が諸外国では唱えられることがあります。
このような法理は、EU諸国では比較的認められることもあるといわれていますが、日本や米国では、著作権法の趣旨に合わないことから残念ながら採用されていません。

モデル助言: 
データベース構築の努力には敬服いたします。
しかし、筋肉のように鍛えれば応えてくれるものとは違い、どれだけデータを収集したとしても、本件では著作権法上の保護を受けることは困難でしょう。
もちろん事業を行う上で、このようなデータベースが高い価値を有していることもわかるのですが、現状では、不正競争防止法による保護を求めることも困難といわれています。
立法論的には、この検索の時代にデータベースの保護にかけること甚だしいと思うのですが、立法が追いついていないという状況にあります。
しかし、本件のように、データベースを勝手に複製していた業者に対しては
「不公正な手段を用いて営業活動上の利益を侵害する」
として、不法行為に基づく損害賠償が認められた例もあり、裁判所も、フリーライドをする者に厳しい姿勢を見せ始めています。
データベースを構築するに当たって費やした人足や外注費等の開発費用、毎年の維持管理に要する維持費用等を精密に算定することで損害額を積み上げ、金をせしめるとしましょうか。
相手方も御社のデータベースを盗用したこと自体は認めていますし、痛い目を見てもらうのも、後進への教育ですよ。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00168_企業法務ケーススタディ(No.0123):優越的地位の濫用に対するペナルティ

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
株式会社ヨシダ電機 代表取締役社長 吉田 新太(よしだ あらた、45歳)

相談内容: 
友人から紹介されて、独禁法のご相談に参りました。
ウチは家電量販店を約70店舗展開していて、年商1千億円程度の、業界では、中堅程度の規模の企業です。
この不況で小売業界も大変ですから、納入業者さんたちとは、毎回、ハードな交渉を繰り広げています。
まあ、納入業者さんたちとしても、ウチと取引するからこそ、この不況の中でモノが売れるわけで、もちつもたれつといったところですよ。
ウチだって、コストを掛けて消費者の動向を調べた上で最適の場所に店舗を構え、消費者が喜ぶような催事とかをいっつもやっているんです。
ちょっとぐらい納入業者さんに協力してもらってもいいじゃないですか。
だから、バーゲンとかがあれば、納入業者さんに従業員を派遣してもらったり、売れ残りを引き取ってもらってるんですよ。
以前、ウチの法務部長が
「納入業者さんに販売員派遣を強要したり、売れ残りの在庫を引き取らせたりするのは、優越的地位の乱用です。
コンプライアンス上よろしくありませんから、そろそろおやめになるべきです」
とか戯言いっていました。
バカいってんじゃねえよ、って感じですよ。
儲けさせてやっている納入業者に協力させることくらい、まったく問題ないはずです。
公取委に見つかっても、イヤミいわれるだけですよね?

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:優越的地位の濫用に対する規制
経済の発展のためには、市場のプレーヤーたる契約当事者らが競争を続けることが必要であり、そのために、自由な契約交渉を行い、自由に契約を締結できるのが原則となっています。
ところが、弱肉強食の経済体制を放置すれば、かえって強者のみが勝ち続けて競争がなくなり、経済が発展しなくなります。
そこで、独占禁止法は、
「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」
「正常な商慣習」
に照らし不当な取引をすることを禁止しています。
具体的には、優越的な地位を利用して、取引の相手方に従業員を派遣させたり、経済上の利益を提供させることや、在庫品を引き取らせることなどが、
「優越的地位の濫用」
として禁止されています。
公取委は
「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」
というガイドラインを作成しています。
これによると、
「取引の継続が困難になることから、著しく不利益な要請を受けても受け入れざるを得ない場合」
であれば
「優越的地位」
に当たるとされ、公正な競争秩序の維持から是認されるものが
「正常な商慣習」
であるとされています。
本件では、70店舗、年商1千億円と結構な規模の会社であり、納入業者としては言いなりにならざるを得ず、公正な競争秩序が維持できないことから、優越的地位の濫用と判断される可能性があるといえます。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:独禁法2009年改正の中身
従前、独占禁止法は、優越的地位の濫用については、
「排除措置命令」(独禁法違反の行為を排除するために公取委が事業者に対して発令する措置)
のみを規定していたので、事業者は、当該行為を公取委の命令に従って改めさえすればよかったのです。
ところが、このような法律の下では、優越的地位の濫用を防ぐことができなかったため、独占禁止法は2009年に改正され、公取委は、優越的地位の濫用について、
「排除措置命令」
だけではなく、
「課徴金納付命令」
すなわち、課徴金を納付させる措置ができるようになりました。
これによって、優越的地位の濫用をした事業者は、優越的地位の濫用をした相手方との間の取引額の1%を、課徴金として国庫に収めることになりましたので、
「お叱りを受ける」
「謝れば済む」
わけではなくなりました。
改正独禁法は、
「優越的地位の濫用は割に合わない」
とすることで、優越的地位の濫用を、今までに増して強く禁止するようになったわけですので、従前の
「優越的地位の濫用は、大したことがない行為である」
との認識は改める必要があります。

モデル助言: 
今までは、
「契約自由の世の中、当事者が納得していれば、何の問題もない」
「優越的地位の濫用? そんなの、公取委に怒られたら、やめれば済む話でしょ?」
などと、軽く考える経営者の方々が多かったようにも思われます。
しかし、11年6月、関西地方の中堅スーパーが、優越的地位を濫用して、納入業者に特売品在庫の返品や特売時の繁忙期に従業員の派遣をさせていたなどとして、公取委から、
「2億円」
もの課徴金納付命令を受けることになりました。
09年改正独禁法の施行は10年1月1日からですが、同事件については、施行直後の1月から4月の行為について処分がなされており、公取委による厳しい姿勢が表れています。
「今まで、優越的地位の濫用については、課徴金制度なんてなかったじゃないか? 2億円なんて払えないよ」
などといっても後の祭りです。
御社が行っている行為のうち、優越的地位の濫用と判断される行為については、即刻、中止しましょう。
公取委が万一やって来たら、再発防止体制が整っていることをアピールして、何とか課徴金は勘弁してもらえるように説得できる材料を作っておくべきです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00167_企業法務ケーススタディ(No.0122):希少商品の倉庫内在庫が全部消失してしまった!

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
ピース缶詰株式会社 販売部長 吉俣 尚樹(よしまた なおき、30才)

相談内容: 
先生、
「想像してごらん、辛くなく、茶色くもない白いカレーを」
そうです、この度、当社は、新商品として、辛くなく、茶色くもない白いカレーの缶詰を販売したんです。
しかも、今回は特別に、
「辛くなく、茶色くもない白いカレー」
というシールを剥がすと、
「シチューだろ!」
ってツッコミが書かれた缶詰なんです。
とはいっても、実は、ピカリフーズから安価で大量に仕入れた缶詰で、中身もふつーのシチューと何も変わりないんですけどね。
先日、スーパー・アヤベが、当社の倉庫に保管中の缶詰のうち3000個分をいつものように安値で買いたたいて、いや買ってくれたんで、さっそく、倉庫に行って、3000個分に
「出荷待在庫(スーパー・アヤベ様購入済)」
ってラベリングをしたところ、その夜、倉庫に落雷があって、保管中の缶詰が落雷で発生した火事で全部溶けちゃったんですよ。
その後、スーパー・アヤベの競合先のスーパー・ノブシコブシに、別の倉庫に残ってた缶詰を売り込んだところ、担当者の吉村が
「これはイケる!」
って大量に発注してくれて、今では半年先まで品薄状態確定なんです。
そしたら、スーパー・アヤベも突然やる気になったのか、
「おいおい、こっち契約はまだ履行してねえだろ。
すぐに耳を揃えて持ってこい! 約束した値段で買ってやっからよ。
納品日に1日でも遅れたら損害賠償請求するぞ」
ってすごい剣幕で脅すんですよ。
ですが、スーパー・アヤベはバカみたいに値切ってくるし、正直付き合いたくないんですよ。
「注文した缶詰は全部溶けちゃったんだから許してね」
って言ってカンベンしてもらいたいんですけどね。
どうでしょうか、先生。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:特定物と種類物
不動産や骨董品のように、その物自体の個性に着目し、世の中に1個しか存在しない物を取引の対象とする場合、その物を
「特定物」
といい、当該特定物の引き渡しを受ける権利のことを
「特定物債権」
といいます。
次に、フランスの赤ワイン12本、といったように、一定量の同じ種類の物を売買等の引き渡しの対象とする場合、その物を
「種類物」
といい、当該種類物の引き渡しを受ける権利のことを
「種類債権」
といいます。
なぜこのような分類がされるかといいますと、地震や台風といった誰のせいにもできない出来事により取引の対象となる物が滅失してしまった場合に、物の引き渡しを受ける権利はなくなってしまうのか、また、物の代金等はどうなるのかといった問題を、物の性質に応じて予め取り決めておく必要があるからです。
すなわち、
「特定物」
であれば世の中に1個しか存在しないので、滅失してしまえばその物の引き渡しを受ける権利は消滅することとなりますが、
「種類債権」
であれば、世の中に同じ種類の物が存在する限り、引き渡しを受ける権利は消滅しません。
この場合、物の引き渡し義務を負う側は、依然として同じ種類の物を引き渡さなければなりません。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:種類債権の「特定」とその効果
もっとも、取引が一定程度進行すると、
「種類物」
を引き渡すための準備として、物を梱包したり、
「〇〇社宛」
といった名札を付けたり、といった作業を行い、最終的に引き渡す物を限定していくことになります。
その結果、実際に引き渡すものが確定することになりますが、この状態を
「種類債権の特定」
といいます。
では、どのような行為をすれば
「種類物」

「特定」
するのかが問題となりますが、
「家具屋で購入したベッドを自宅まで届けてもらう場合」
など、契約上、引渡先まで持参することになっている場合には、当然、持参先まで届けなければ
「特定」
はしません。
他方、契約上、
「ワインを倉庫まで取りに来る」
ことになっている等の場合は、
1 「種類物」を他の物と分離し
2 これを権利者に通知することで「特定」する
と考えられています。
そして、
「特定」
した後に当該
「種類物」
が滅失してしまった場合には、もはや同じ種類の物を引き渡す義務は消滅し、他方で、原則として、物の代金を請求する権利は存続することになります(債権者主義。民法534条2項)。

モデル助言: 
ピース缶詰さんの場合、今回の缶詰は
「特定物」
ではなく
「制限物」
と考えられ、いまだ
「特定」
もしていないようですので、世界に同じ種類の缶詰がある限り、死に物狂いで準備しなければ債務不履行として損害賠償責任を負う危険があります。
もっとも、今回の缶詰は、
「倉庫に保管中の缶詰」
と限定されているようですので、
「物の性質上、あるいは契約上、当初から一定の範囲に目的物を限定した種類物」
である
「制限種類債権」
と考えることもできますね。
「制限種類債権」
と認められれば、倉庫内の缶詰が全て滅失してしまった場合、ピース缶詰株式会社は、もはや同じ種類の缶詰を準備する必要がありませんし、滅失に責任がないのであれば、損害賠償責任を負うこともありません。
これで納得してくれなかったら、優越的地位の濫用とかなんとかで公取委に訴えれば引き下がりますよ・・・。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00166_企業法務ケーススタディ(No.0121):内定斬り!?

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
羽田モバイルソリューション株式会社 社長 羽田 章(はねだ あきら、35才)

相談内容: 
先生先生、ちょっと面倒なことになっちゃってさ。
いやいや、単純な話なんだよ。
うちの会社で内定出してた奴がいたんだけどさ、やっぱ採用を止めようと思ってるってだけ。
理由は何かって?
まぁ、一言でいえば
「陰鬱な印象」、
横文字でいえばグルーミーって感じ?
もちろんね、ペーパーテストもしたし、面接もクリアしてる。
俺が会ったのは最終面接の1回だけだけどさ、ピンと来なかったから、内定出すかどうか悩んでたんだよ。
そしたら専務がさ、
「社長面接までの選考の成績は十分ですし、暗い印象というのも緊張してただけですよ。
体操部のマネージャーをしてたくらいですし、就職が決まったら明るくなりますって」
なんていうから、そういうものかもしれないな、と思って内定出すことにしたんだよ。
でもね、内定後に会ってみて、やっぱりあいつは変わらずグルーミー。
このご時世じゃん?
天井の電灯も間引きして節電に励んで、職場は実際問題暗いわけよ。
雰囲気だけでも明るく頑張ろう!
ってときに、ああいう奴がいたら雰囲気まで暗くなっちまう。
うちみたいに勢いだけでのし上がってきた会社には、雰囲気が一番大事なんだ。
だからさ、仕方なく、内定取消しをさせてもらうことにしたんだよ。
そしたら、いきなり
「従業員としての地位を確認する」
とかいう裁判起こされてさぁ。
なぁ、先生、内定通知なんてあくまで採用予定だし、取り消しするかどうかなんて会社の自由だろ?
言ってやってくれよ、
「でもアンタ、グルーミーですから!
残念!!
内定斬り!!」ってさ!

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:「採用は易し、解雇は成り難し」
「人を雇う」
という契約は、いったん成立すると、解消は大変困難です。
雇用と婚姻とは取引としては酷似しており、
「結婚は簡単だが、離婚は大変」
なのと同様、
「採用は安易にできるが、採用した人間を辞めさせるのは極めてハードルが高い」
といえます。
すなわち、解雇は
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法16条)
とされていますが、労働者がよほどのこと、それこそ横領・背任等の犯罪行為やこれに準じるような非違行為でもやらかさない限り、要件の充足は困難と考えられています。
では、
「採用内定を出したが、やっぱ気に入らないから、採用やーんぺ!」
としたい場合はどうでしょうか。
結婚になぞらえると、
「婚約したが、やっぱり婚約解消します」
ということになりますが、これもカンタンに解消できる、というものではなく、それなりに苦労が待ち構えています。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:採用内定の法的性質
そもそも採用内定の法的性質はどういうものでしょうか?
一般に、採用内定とは
「始期付解約権留保付労働契約」
といわれます。
なんだか、難解な漢文みたいですので、カンタンな日本語に翻訳しますと、
「一応ちゃんとした契約なんだけど、開始時期が4月になっていて、企業側にキャンセルする権利が保持されている、そんな感じの契約」
というものです。
解約権留保付契約、すなわち航空券の予約の様に
「3日前までキャンセルしてもOK」
みたいな契約になっているので、字義通り解釈すると、企業は、
「気が変わったから、やっぱ採用や~んぺ!」
といえそうな感じがします。
しかしながら、最高裁は、採用内定の取消事由は
「採用内定当時知ることができないような事実で、かつ、客観的に合理的と認められ社会通念上相当なものに限られる」
と判断しました(昭和54年7月20日最高裁判決『大日本印刷事件』)。
すなわち、始期や解約権が付いているといっても労働契約には変わりないので、なんでもかんでもキャンセルできるというものではなく、解雇権濫用法理によって厳しく合法性が判断されることになるのです。

モデル助言: 
羽田さんだって、娘さんの婚約相手が
「あんたの娘さん、イマイチですから、婚約ヤメ。
残念!」
とか勝手に婚約解消してきたら、殺したくなるでしょう。
婚約の解消と同様、採用内定もそう簡単にぶった斬るわけにいかないんですよ。
前述の最高裁ですが、企業側に留保されている解約権は自由に行使できるものではなく、内定取消事由を明確に定めておき、事前に知らせておけば、
「客観的に合理的で社会通念上相当なものに限」って
当該事由に基づく内定取消しも可能だが、それ以外の企業都合による内定取消は、解約権の濫用で違法無効としています。
恐らく、御社は、
「その陰鬱な雰囲気が直らなかったら採用内定取消し」
なんて事前に告知してないばかりか、そもそもそんな取消事由が合理的だとも思えませんし、完全に解約権の濫用ですよ。
社長は
「内定を出す」
という行為を軽く考え過ぎでしたね。
ま、件の内定者については、いろいろ説得して、詫び料支払って内定を辞退してもらうか、そのまま採用するんでしょうね。
まぁ、仕事の適性は実際やってもらわないとわかりませんし、意外とよく働いてくれるかもしれませんよ。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00165_企業法務ケーススタディ(No.0120):小売業者も安全確認が必要?

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
日浦スーパー株式会社 代表取締役社長 日浦 勇吉(ひうら ゆうきち、38歳)

相談内容: 
ウチの系列のスーパーマーケットは、品揃え豊富な上に、同じ種類の品物でも、安いモノから高級品まで幅広く揃えることで、お客様のニーズに最大限応えてまいりました。
お陰さまで、全国の中都市に最低一店舗は展開する有名店となっています。
ところで、このあいだ、ウチの店舗から電気ストーブを買ったお客様から、
「このストーブを使っていたら、異臭がした、電気ストーブだから換気しないで使っていたら気分も悪くなって、しばらく入院することになってしまった。
入院費用くらいは損害賠償として払ってもらえないか?」
という苦情が入ったのです。
どうやらストーブの設計に問題があって、有毒なガスが発生したようなのですが、ウチの業態としては、ものすごく沢山の種類の商品を扱う関係上、商品をいちいち検査するなんてことはやる余裕もありません。
ウチとしても、業界の安全試験をクリアした商品かどうかは確認しているところですので、やれることはやっており、それなのに損害賠償を求められるなんて、ちょっと納得がいかないところです。
これって、ウチは払わなくてもいいですよね?

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:過失責任の原則
わが国においては私的自治の原則が支配しており、私人間の法律関係は、それぞれの個人が自由意思に基づいて形成できるとされています。
この原則を支えるものとして、過失責任の原則というものがあり、自分の意思に基づく行為(故意)や、あるいはミスによって(過失で)行ってしまった行為以外については、なんら責任を問われないという原則が採用されています。
過失責任の原則が存在することで、人々は、自由に行動することが保証されるわけです。
そこで、不法行為に基づく損害賠償責任を定める民法709条は、
「故意又は過失」
の存在を要求しています。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:「過失」の内容
それでは、
「過失」
とは具体的にどのようなものを意味するのでしょうか。
この点については、数多くの裁判例の積み重ねによって、
「損害の発生について予見できるとともに、予見する義務があった」
といえる場合であって、
「損害の発生を回避する義務があった」
のに、これを怠った場合には、過失がある、とされているところです。
交通事故に例えていえば、
「四つ角で、出会い頭に衝突する可能性を予測すべきであったし、予測することもできただろう、それなら、衝突を避けるために、ブレーキを踏んで、衝突を回避する義務があった。
それにもかかわらず、ブレーキを踏む義務を怠ったから、過失がある」
ということになります。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3:小売業者の過失の有無
それでは、小売業者が販売した製品で事故が発生したケースでは、どのような場合に、小売店に過失があるとされるのでしょうか。
この点については、本件と類似の裁判例(東京高裁2006年8月31日判決)は、多種多様な製品を大量に仕入れて販売する小売業者の業態に配慮しつつ、
「その商品の性質、販売の形態、その他当該商品の販売に関する諸事情を総合して、個別、具体的に判断すべき」
としました。
問題となったストーブを5千台以上販売していた点や、ストーブの臭いについての苦情が20件以上あった点などを重視し同型のストーブが化学物質を発生させることが予見可能であるとともに予見義務があり、かつ、化学物質による健康被害の発生を防ぐ義務があったとして、スーパーマーケット側に過失があったと判断。
ストーブから発生した化学物質によって化学物質過敏症となった被害者への約555万円の損害賠償の支払を命じました(イトーヨーカドー事件)。

モデル助言: 
確かに、多種多様な種類の商品を大量に仕入れる小売業で、いちいち製品の安全試験を行うなんてやっていたら、商売になりません。
しかし、消費者から同一の苦情が複数入るような商品については、小売店の側においてもチェックを実施して、必要であれば販売停止などの処置をすることが、裁判所からは求められているわけです。
とはいうものの、消費者からのクレームが、お客様相談室などの当方が意図するところへくるとは限らず、例えば各店舗のレジや店長にクレームが来ると、その場限りで処理されてしまうことも考えられます。
今後は、消費者からの製品に関するクレーム情報については、忙しい現場でも一応の報告を本社に対して実施できるような、定型的な報告書式を作って配布した上で、クレーム内容を本社に報告するフローに関するマニュアルを作成するべきです。
その上で、本社のしかるべき部署でクレームの全てを管理する体制にして、製品の納入業者との情報交換や販売の一時中止、さらにはリコールの実施の決断等、事故発生の予防を積極的に行える体制の整備をしていきましょう。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00164_企業法務ケーススタディ(No.0119):ライセンス契約の許諾?

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
株式会社加野デザインラボ 代表取締役 加野 信吾(かの しんご、32歳)

相談内容: 
うちの会社で使っている服飾デザイン関係のソフトウェアがあるの。
まぁ、バカみたいに高額のライセンス契約なんだけど、これ使わないと商売できないからしょうがないわ。
服、靴、帽子とかのデザインに使うんだけど、
「デザインのための各基本データは、モジュール形式で別売りです」
なんていうわけ。
つまり、基本ソフトの契約はもちろん、服のデザインのためには服の基本データを買わないといけないし、帽子をデザインしたけりゃまた買い足さないといけないのよ!
そりゃね、技術的に高度なら私も買い足すわよ。
けど、
「どんなデータがあるのかな?」
ってちら見してみたら、ライセンス管理のためのファイルが邪魔してただけで、もう全モジュール揃ってるわけ。
要するに、停電対策でローソクを買ったんだけど、余ったローソクを他の楽しい用途に使おうとしたら、
「“そんな妙な使い方”をするなんて知らん。
別料金よこせ」
みたいな感じじゃない。
ったくアコギよね。
私、ソフト自体はきちんと購入してるし、購入したソフトをどう使おうと勝手でしょ。
でね、買ったソフトを、ちょちょいといじって使ったわけ。
そしたら、クビにした企画部長が、腹いせにタレ込んで、先週、ソフト屋が
「そんな改変行為は許していません。
16億円お支払いください」
なんて請求をしてきたのよ。
仮に全部ライセンス受けてもこんな額にならないのに、何よこれ。
ヤクザじゃない。
こうなったら、こっちも先生に委任して、
「このドドスコいんちきソフト屋、バグ注入よ!」
ってカマしてやるわ。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:プログラムの著作物性
著作権法は、特許のようにアイデアを直接に保護するものではなく、人の心を揺さぶる創作的な表現を保護することを目的としています。
したがって、著作権法が保護する著作物というと、絵画や小説といったものが思い浮かびますが、
「0」と「1」
の無個性の記号の羅列であるコンピュータプログラムにも著作物性が認められることがあります。
すなわち、ハードウェアに依存・規制されるものや、コンピュータの機能上誰でもそこに想到するような類のものではなく、プログラム上の表現に作成者の個性が発揮され創作性が看取できるものであれば、プログラムであっても
「著作物」
として保護されることになります。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:プログラムの使用許諾契約
加野さんは、服飾デザインソフトウェアを
「買った」
と認識しておりますが、厳密にいえば、
「ソフトウェアを開発・販売している会社(ベンダー)とソフトウェア使用許諾契約を締結し、当該契約に基づいて使用を許されている立場」
と考えられます。
もちろん、プログラムを利用する際には、利用者においてカスタマイズをする必要もあるため、ライセンス契約で多少の改変を行うことを許容している場合もあります。
しかし、その場合でも、当該ソフトウェアを
「煮て食おうが、焼いて食おうが自由」
等ということにはなりません。
ローソクという
「物」
を購入したのであれば、動産の所有権者として、
「購入したローソクを停電対策に使おうがイケナイことに使おうが自由である」
ということになりますが、これとは事情が異なります。
ソフトウェアのベンダー側としては、プログラムをライセンスするときには、値段によりユーザー数や機能の制限等を行うのが通常であり、ライセンス契約において、改変行為等を禁じています。
また、ユーザーが、プログラムの改変行為を行うことは、契約違反云々の問題とは別に、ベンダー側の著作権に対する侵害行為にもなります。
以上のとおり、ユーザーが、使用許諾を受けているソフトウェアを勝手にいじくることは、契約違反に加え、ベンダーが専有する著作権侵害行為に該当する危険があるのです。
この点、類似の裁判例では、ライセンスの管理プログラムを改変し、全モジュールを無断で利用できるようにした事例について、約16億円もの損害賠償の支払が命じています(東京地判2007年3月16日)。

モデル助言: 
御社は特定のモジュールを使えるように無断で改変をしています。
これは、ライセンス契約違反に加え、制限されていた当該ソフトウェアの客観的価値を無断で変更した行為であり、ベンダーの
「翻案」権
を侵害したものと解釈されます。
本件改変行為に対する損害額の算定ですが、前述の裁判例では
「支払うべき損害額は、せめて無断利用したモジュールの利用料相当分」
という被告主張について、裁判所は、
「著作権法上の損害は、侵害の瞬間に発生し、侵害後の利用態様などは一切考慮しない」
と一蹴し、
「翻案権侵害の対象となった元の著作物は、追加的な個々のモジュールではなく、ライセンスの対象となった高額なソフトウェアそのもの」
として、前記莫大な損害額を導きました。
事態を甘く見すぎていましたね。
「バグ注入!」
なんてふざけている場合じゃないですよ。
ま、
「そもそも、こんな創作性のないプログラムは著作権法上保護されない」
「ソフトウェアの価値が変わったわけではないので改変とはいえない」
等、理論的なケチをつけまくって、粘って合理的な金額での和解に持ち込みましょうかねえ。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00163_企業法務ケーススタディ(No.0118):製造委託先へのボリュームディスカウント要求の問題点

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
大三和土(オオタタキ)商事株式会社 代表取締役 大三和土 修治(おおたたき しゅうじ、85歳)

相談内容: 
わが社が社名にちなんで開発した、腹をペシペシ叩いて脂肪の燃焼を促進するという
「おおたたきスティック」
なんじゃが。
そんなに売れないと思っていたこの製品、テレビ通販で宣伝したら、ブームになって、今では、作れば作るだけ、飛ぶように売れていきます。
欠品なんて事態はあってはいけない、ということで、製造委託していた業者に、ガンガン追加発注をかけているというわけですじゃ。
発注先の製造業者は、どこも中小企業で、生産ラインを稼働休止として死にそうになっていた連中ばかりで、予定を上回る注文を受けて、そこそこ潤っているはずです。
もともと、製造業者に発注した単価は、テキトーに設定したものです。
こーんなにたくさん発注するのだったら、ボリュームディスカウントで値引いてもらわないとワリに合いませんわな。
そこで、今まで発注していた分も合わせて、単価を下げてもらおうと思って、下請業者からは、
「販売促進費」
とかの名目でキックバックをもらおうと思っとります。
ギャーギャー反対するんだったら、そんな業者ぶったぎってやりますわいな。
どこでも作れる単純な製品ですからな。
この製品は私の花道を飾る事業です。
あとは業界団体の会長やらせてもらって、念願の勲章もらって引退ですわ。
はーははははは。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:知らないと違反しがちな下請法
市場において価格と品質を自由に競わせる原理(自由競争原理)は、資本主義経済体制を採用するわが国において、国是ともいうべき重要なドクトリンです。
とはいえ、自由競争も、度が過ぎれば
「一部の強大なプレーヤーが市場を勝手に操り、自由競争の基盤を破壊して、かえって経済の発展を困難にする」
という弊害を招きます。
そこで、法は、
「市場における一部の強大なプレーヤー」
が自由競争の基盤を破壊するような横暴な行為を、取引社会の健全な発展のため、例外的に禁止しています。
このような規制は、独禁法
「不公正取引の禁止」
が有名ですが、独禁法違反で処理をするには時間を要します。
そこで、
「強大な発注者側企業が、下請業者に対して、無理難題・暴虐の限りを尽くし、能率競争に基づく経済の健全な発展を害するような事態が生じる」
と一般的に想定される事例を類型化し、簡易迅速な手続でこのような事態を適正化することを盛り込んだ
「下請代金支払遅延等防止法」(いわゆる「下請法」)
が制定されています。
下請法では、下請業者に対して従前要求されがちであった11種類の不公正取引行為を禁止しており、これに違反すると、公取委から是正勧告がなされ、違反内容等とともに会社名が公表されます。
同法4条1項3号は
「下請代金の減額」
を禁止しており、下請業者にキックバックを支払わせる等の行為も、この
「下請代金の減額」
となるとされていますので、下請法違反となるのが大原則です。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:ボリュームディスカウントの要件
ところで、下請業者に対する発注数量が、当初の予定よりも増えた場合には、その分価格を下げてもらう(ボリュームディスカウント)ことにも合理性が存在するところです。
そこで、公取委は、
「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」
において、例外的に、ボリュームディスカウントについて以下のような要件を定め、これらを充足する場合には、割戻金を下請業者に払わせても、代金減額禁止に当らないとしています。
「1 ボリュームディスカウント等合理的理由に基づく割戻金であって、
2 あらかじめ、当該割戻金の内容を取引条件とすることについて合意がなされ、その内容が書面化されており、
3 当該書面における記載と発注書面に記載されている下請代金の額とを合わせて実際の下請代金の額とすることが合意されており、かつ、
4 発注書面と割戻金の内容が記載されている書面との関連付けがなされている場合には、
当該割戻金は下請代金の減額には当たらない。」

モデル助言: 
今回のケースは、運用基準の要件のひとつである、
「2 あらかじめ、割戻金についての合意が書面化されている」
という部分を満たしていないですね。
さらに、キックバックの計算方法によっては、
「1 合理的理由に基づく割戻金」
にあたらない可能性もあります。
下請法で禁止されている事項については、公取委が定めた例外要件をきちんと満たしていないと、あとから公取委にお叱りを受け、社名公表され
「公開羞恥プレー」
の憂き目に遭います。
実際、2007年の6月、下請業者と覚書を締結した上で、下請業者に割戻金を支払わせていた冷凍食品会社のマルハニチロ食品が、下請代金減額禁止に違反したとして勧告を受け、社名を公表されています。
ちなみに、
「社名公表ぐらい、屁でもないわ」
と思っておられるかもしれませんが、この種の社名公表措置を食らうと、“勲章行政”運用上、まず勲章がもらえなくなりますので、勲章をもらって人生の花道を飾りたいのであれば、まあ、あまりエゲツナイことは止めた方がいいですね。
下請法で禁止されている事項は、文字通り原則禁止であり、公取委の運用基準を厳格に守ったケースのみが許される、という運用になっていますから、下請法に触れそうな行為を行う際は、事前に運用基準をしっかりと調べておく必要があります。
さっそく、公取委の運用基準を充足する契約書を作成しましょう。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00162_企業法務ケーススタディ(No.0117):OEM先の従業員が大ケガをした!

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
吉岡製菓株式会社 総務課長 吉岡 隆英(よしおか たかひで、40歳)

相談内容: 
先生、ウチの富良野市にある工場では、ウチが設置した製造ラインを地元の業者さんに一括で貸して、そこでウチの大ヒット商品
「キタ━(゚∀゚)━の国のチョコ(以下、「キタ国チョコ」)」
を製造してもらっているんです。
ちょっと洒落た言い方をすると、OEMってヤツですか。
でも、業者さんとウチとの関係は単なる請負の関係だから、ウチは請負代金を払って
「キタ国チョコ」
を受領するだけで労働者のシフト管理とかそういった面倒なことは考えなくてもいいし、ニーズがなくなったら、単に業者さんとの契約を解除してラインを停止すればいいだけだから、解雇とか頭の痛いこともやらなくていいから万々歳だったはずなんですよ。
そしたら、先日、中島さんっていうパートさんが足を滑らせてチョコレートのタンクに落ちて怪我しちゃったんです。
聞くと、最近、1カ月くらい休みなしで毎日12時間働いてたらしく、相当疲れがたまってたんですって。
でも、中島さんの雇い主はあくまで倉本総業だし、ウチは関係ないって思ってたら、この中島さん、いきなり、ウチの会社に
「ムチャなシフトで働かせたんだから治療費や慰謝料を払え。
じゃないと訴えてやる」
ってものすごい剣幕で怒鳴り込んできたんです。
先生、ウチは雇い主じゃないし、こんなのほっといていいですよね。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:職場における安全配慮義務
雇用契約では、雇用主は、
「賃金さえしっかり支払ってさえいれば、それ以外の義務は特段負う必要はない」
と考えるのが自然かつ素直な理屈といえます。
しかし、世の中には、労働者の生命や身体に危険を及ぼす可能性のある危険が伴う労働があることから、雇用主はこのような危険から労働者の生命や身体を保護すべきである、との考え方が広まっていました。
このような中、自動車整備作業中に車両に轢かれて死亡した自衛隊員の遺族が国に対し損害賠償などを請求した事件において、1975年2月25日、最高裁判所は、
「国は、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解すべきであり、このような安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として信義則上負う義務として一般的に認められるべきものである」
旨判示し、国に対し損害の賠償を命じました。前記最高裁判例以降、雇用主は、
「賃金を支払う義務」
だけではなく、
「契約信義則から派生する付随義務として、労働者の生命及び健康等を危険から保護すべき義務(安全配慮義務)」
をも尽くさなければならない、という考えが定着しました。
その後、2007年に施行された労働契約法は第5条において
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」
と規定し、雇用主の法律上の義務として明示するに至りました。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:安全配慮義務の更なる拡大
このような安全配慮義務は、長らく労働者と直接の雇用主の間にのみ発生する義務であると考えられてきました。
ところが、近年、
「注文者が、単に請負人から仕事の成果を受領する」
だけでなく、設例のように
「実質的にみて、注文者が、請負人所属の労働者から、直接労働の提供を受けているのと同視できる」
形式の契約も登場するようになりました。
このような産業社会の動きに対して、裁判例は、労働者保護の観点から、安全配慮義務を負担すべき主体を拡大して解釈しつつあるようです。
実際、東京地裁平成20年2月23日判決は
「1 注文者が有する設備などを用いて、
2 注文者の指示のもとに労務の提供を行う等、
『注文者』と『請負人の雇用する労働者』との間に実質的に使用従属の関係が生じていると認められる場合には、信義則上、当該労働者に対し、使用者が負う安全配慮義務と同様の安全配慮義務を負うべきである」
旨判示し、安全配慮義務を負う責任の主体を拡大しています。

モデル助言: 
吉岡製菓さんの場合、自社工場内の、自社で設置した製造ラインで中島さんを働かせていたのですから、前記の裁判例によれば、生命や身体などの安全を確保しつつ労働することができるような環境を整えるべきであったとされる可能性もあります。
具体的にいえば、チョコレートのタンクに落下防止措置を講じていたか、倉本総業のシフトをチェックして無理がないか確認していたか、ということになりますが、どうせ
「労働者に対する義務を免れるため」
の措置としてこのようなOEMをやっていたわけですから期待できないですよね。
まぁ、先方も、御社に怒鳴り込んでくるくらい元気なわけですから、たいした怪我じゃなさそうですし、早々に示談しちゃうべきですね。
金額面の折り合いがついたら、示談の当事者はあくまで倉本総業として、倉本総業経由で示談金を渡す形で和解をすればいいんじゃないでしょうか。
その際、示談の条件として、
「吉岡製菓は、法律上、道義上の責任は一切ないことを了解し、債権・債務が存在しないことを確認する」
という旨の念書を要求しておけば完璧です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00161_企業法務ケーススタディ(No.0116):ネガティブオプション販売の問題点

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
株式会社ウオゴコロ 代表取締役 光嶋 裕男(みつじま ひろお、26歳)

相談内容: 
華やかだったころは良かったよな。
覚えてるかい?
俺が発明して爆発的にヒットしたダイエットサプリ
「カゲロウ」。
どれだけたくさん飲み食いをしたとしても、これを前もって飲んでおけば、後につくであろう脂肪がカゲロウのように消えちまうってやつさ。
市場で一定のプレゼンスを得て購入者が増えたからかな、もちろん、ウチの製品に不満を抱くやつも出てきたさ。
「高い金を出したのに、全く効かない!」
とか、
「オイオイ、効果までカゲロウかよ」
みたいなね。
でもさ、販売数が減っていなかったこともあって、クレーム対処を甘くみちゃったんだよね。
先生からのアドバイスも無視して。
結局、効果効能をうたった点や消費者対応の点について監督行政庁に叱られてからは、まったく売れなくて。
一気に売れた製品ってのは、しぼむのも急激なんだな。
継続的に売り続けるという困難さ、本当に勉強になったと思ってるよ。
でもさ、俺だって会社を引っ張って従業員を食わせていかなきゃならないじゃん。
売れる製品を頑張って開発してるけど、未だに訴求力ある商品は
「カゲロウ」
くらいしかないんだよね。
で、
「カゲロウseason2」
みたいなのを販売するんだけど、広告を大きく出す余裕もないから、手っとり早く、これまでの顧客名簿に基づいて商品を送りつけようと思うんだ。
「不要の場合は返品を。
返品ないときは承諾したとみなします」
って文言をつけることで売り上げをガンガン延ばして、もう一度復活したいんだよ。
大丈夫だよな?

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:ネガティブ・オプション商法(送りつけ商法)の契約法上の問題
このように一方的に商品を送りつけて消費者に購入をさせることを、
「送りつけ商法」
とか
「ネガティブオプション」
とかいい、少し前に流行りました。
ここでは、売買契約が成立しているのかどうかがまずは問題になります。
この点、民法上の契約は
「申し込み&承諾」
という当事者の意思の合致によって成立するのが大原則のため、商品を送りつけた段階で、契約が成立することはありません。
こうはいっても、
「承諾したとみなす」
なんて書いてあるし、
「返品しなかった」
という事実によって
「承諾」
したのと同じといえ、売買契約はやはり成立しているのではないのか?
などと考える方がいるかもしれません。
しかしながら、法律上、一方当事者の意思を
「みなす」
なんてことはよほどのこと(通常は法律に具体的に明定されています)がなければあり得ませんから、送りつけられた商品の注意事項を破ったからといって
「承諾」
の意思表示がみなされることはありません。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:商品を費消されてしまったら?
それでは、消費者が気ままに商品を使ってしまった場合も、契約が成立することはなく、会社は常に代金を求めることができないことになるのかといえば、そうでもありません。
この点、消費者の中には、気に入った製品がたまたま送られてきたと思い、満足して利用する者もいるでしょうし、そこまでいかなくとも、少し怪しいけれど使ってみたらなかなか良くて買ってもいいと考える者もいることでしょう。
そこで、このような事態を想定し、民法526条2項は
「契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する」
と定めています。
ここにいう
「承諾の意思表示と認めるべき事実」
とは、消費者に
「送られてきた商品を認識しながらあえて使用した」
などを指し、要するに、
「普通、そのような事実があるのであれば、商品を購入するつもりがあったのだろう」
と考えられ、契約成立の余地があるということになります。
以上からすると、消費者は、
「勝手に送りつけられたものだから、契約が成立しているわけでもなく支払義務はないが、かといって商品を使用することもできず預かっておく」
という中途半端状態に陥ります。
そこで、特定商取引法59条は、
「14日間預かっておけばその後は処分しても大丈夫」
と、中途半端な状態に期限をもうけ、それ以降は、返品すべき義務がないのはもちろん、使おうが売ろうが自由と定め、消費者を手厚く保護しています。
すなわち、その反面、事業者としては、売買契約が締結できないどころか、商品を失うだけという事態が多く生じることが想定されるわけです。

モデル助言: 
「貧すれば鈍す」
とはよくいったものです。
そんな商法で業績の回復を見込もうっていったって、続々と売買契約が成立して売上げが伸びるなんてことがありえないことは説明のとおりです。
この商法は、いかにも
「契約が成立した」
かのように消費者に思い込ませ、支払義務があるかと錯覚させることで金を巻き上げており、批判も大きなものでした。
そこで、特定商取引法により消費者保護がなされたわけですが、消費者の誤解につけ込んで商売をしようなんて考えは、このご時世御法度ですよ。
商品には自信があるのですから、リーガルリスクをしっかりとクリアして、真っ当にいきましょうよ。
売り上げが落ちたのは行政等への対処不足です。
そうと決まれば忙しいですよ。
当事務所がリーガルリスクを洗い出し、対処方法を考え出しますから、御社では、行政に叱られた点を精査して、IRを発表し、消費者をないがしろにしない体制等の整備を急いでください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00160_企業法務ケーススタディ(No.0115):うっかりインサイダーに気をつけろ!

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
株式会社ヒゲツルツルプロジェクト 代表取締役 宮朔 博幸(みやさく ひろゆき、40歳)

相談内容: 
わが社が開発した
「ヒゲが永久脱毛される石鹸」、
爆発的人気で、笑いが止まりませんわ。
新興市場に上場したものの、その後鳴かず飛ばずで、株主の皆さんにはエライ心配かけましたが、もうこれからはイケイケで突っ走りますわ。
で、昨日、経営戦略会議を開きました。
名前は大層ですが、ゆうてみたら、ワンマン経営者である私が仕切っているもので、わが社の実質的な意思決定機関ですわ。
そこで、6月の定時総会で決定する株主への配当を、株主の皆さんへの恩返しとわが社の知名度向上を狙って、ドーンと50%増しの増配をするぞ、ということを決めました。
社外取締役に、大阪に住んどる大学の教授と、軽井沢に引っ込んで庭いじりやっとる銀行OBのおっさんがおって、こういうややこしい連中呼ばなあかん関係で、正式な取締役会決議は2週間後になってしまうんですが、ま、これがシャンシャンで終わったら、すぐに増配を公表するつもりです。
それと、手元資金も相当厚くなっており、株価低迷状況ということもありますので、財務部の連中には、併せて自社株買いの準備をさせております。
証券会社の連中は、
「インサイダーの問題があるから、自社株買するんやったら、投資一任方式でやった方がええ」
とかいうんですが、こんなもん、完璧手数料ボりよるだけでしょ。
財務部長には
「適当に安いとこで市価で拾とけ」
と指示しておきました。
ま、そんなんで、わが社はバラ色ですわ。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:インサイダー取引規制の趣旨
金融商品取引法(以下、金商法)は、ある会社の株価の評価に重要な影響を与える重要事実については、その重要事実が金商法に従った方法で公表された後でなければ、その会社の関係者(インサイダー)は、その株式の売買ができないと定めています。
この規制の理由ですが、
「財の効率的な配分の実現にあたっては、市場に参加する者全員が正確な情報を知っている状態が前提となるが、インサイダー取引はこの前提を破壊し、市場の機能不全を招くので、健全な資本市場を守るため、規制が必要だ」
等といわれます。
わかりやすくいうと、
「特定の内部情報を利用した者による抜け駆け的なズルの投資を容認すると、内部情報を持たない一般の投資家は、そんな歪んだマーケットに誰もあほらしくて参加しなくなり、結果、市場が機能しなくなり、みんなが迷惑する」
というわけです。
ところで、インサイダー取引というと、
「金儲けに異常に執着する犯罪的人格の所有者が暗い情熱と周到な計画の下に犯罪を実現する」
というイメージがあるかもしれません。
しかしながら、会社において
「重要事実が発生した」
との自覚がないため、連携不足のまま、財務部門がせっせと自社株の購入を行ってしまい、結果、インサイダー取引規制に違反してお叱りを受けるような事例も存在します(うっかりインサイダー取引)。
こういうチョンボを防ぐには、会社内部の重要事実をとっとと公表しておけばいい、ということがいえます。
すなわちインサイダー取引とは未公表の重要事実を知って取引することですから、重要事実を内部にため込まず、タイムリーに開示しておけば
「ズル」
だの
「抜け駆け」
だのといわれることがなくなる、というわけです。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:重要事実発生時期
金商法166条2項1号では
「業務執行を決定する機関が次に掲げる事項を行うことについての決定をしたこと」
と規定されているため、ややもすると、
「取締役会で正式に決議した」
時点で重要事項が
「発生」
したと考えがちです。
この点、旧証券取引法に関する判断ですが、最高裁平成11年6月10日判決は、
「業務執行を決定する機関」
とは、法律上所定の決定権限がある機関(取締役会)等に限られず、実質的に会社の意思決定と同視されるような意思決定を行うことのできる機関であれば足りるとの判断をしていますので、注意が必要です。
実際、2007年5月、O(オー)家具が、増配を行う事実の公表前に自社株を購入した事例について、約3千万円あまりの課徴金納付命令が下されましたが、この件では、同社において
「重要事実の発生」

「取締役会における増配決議」
の時点であると誤解していた可能性が指摘されています。

モデル助言: 
御社では、
「社内で正式に決定しても、取締役会決議が未了だから、増配は未定だ」
等と認識しておられる節がありますが、前述の最高裁判例に従えば、取締役会で正式に決議される前であっても、代表取締役社長が、各取締役から実質的な決定を行う権限を与えられているような場合に、社長が
「増配する」
ことを決定した場合には、その時点で、
「増配をする」
という
「重要事実」
が発生したことになり得ます。
増配について社内で内定したのであれば、さっさと正式に取締役会で決議してしまったほうが、社内的にも対応が明確になってやりやすいと思いますよ。
御社の定款では、取締役会は電話会議でもできるのですから、社外取締役に電話口まで引っ張ればすぐに、決議できるわけですから、造作ないでしょう。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所