01475_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>法令スタディー

非欧米圏において各種取引を行う際、準拠法を日本に引っ張り込むことができればリスクを大幅に低減させることが可能ですが、交渉環境上そのような相手に契約条件を呑ませることができない場合や、現地に進出する場合(現地法人の設立、現地企業の買収を行う場合)には、進出当事国の民商事法に準拠することになります。

他方、非欧米諸国においては、法令の内容や運用の実態に関する情報が乏しいため、法的リスクの解析が難しく、予防対策が難航しがちです。

とはいえ、法令の内容や運用の実態に関する情報全てを入手しようとしても、コストが膨大なものとなってしまいます。

そこで、法令環境に関する情報が乏しい国において各種取引構築を実施する際、ある程度ポイントを絞って予防法務上のケアを行っていくことになります。

以下、ポイントとなるべき項目を紹介しておきます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01474_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>シンガポール

世界有数の貿易港、国際的ハブ空港を保有するシンガポールですが、先般のリーマンショックにもかかわらず、2009年4月頃から経済が回復基調にあるようです。

シンガポールでは、他のアジア諸国と異なり、原則として、外国資本による全額出資が認められており、また、一部の国家の安全保障に関わる企業の場合を除き、産業ごとに限定的な制限があるだけです(例:新聞社やテレビ局等の放送会社の株式保有は5%以内)。

次に、シンガポールにおける上場環境ですが、現在、シンガポールの証券取引所であるSGX(Singapore Exchange Ltd.)には、2012年時点で308社の外国企業が上場している(実に、上場企業の約40%近くを占める)ことからも明らかなとおり、税制面、地政面等の点において、外国の銀行、証券会社その他の金融関連会社等にとって極めて魅力的な上場環境を提供しています。

SGXは、
「メイン・ボード(メジャーマーケット)」

「カタリスト(新興市場)」
と呼ばれる市場があり、
「メイン・ボード」
では、株式の取引市場のほか、債券、預託証券、不動産投資信託等の取引市場もあります。

それぞれの上場審査基準(抜粋)は次の図のとおりとなっています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01473_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>香港の資本市場

日本企業の中には、低迷が続く日本の資本市場に限界を感じ、
「近隣の、より整備が進んだ資本市場において株式を公開し、資金調達の前提を整える」
といったことを具体的に検討する企業が増えています。

そこで、本節では、先進的金融マーケットを有する香港やシンガポールの資本市場への参入を検討する場合における企業法務(経営サポート法務)上のポイントを概説していきます。

香港の資本市場

イギリス軍による1841年の占領以降、イギリス資本主義の下、世界貿易の中心地として発展してきた香港ですが、資本市場の特徴として、
1 会計帳簿、監査報告書の強固な信頼性、
2 経験豊かなアドバイザーが多く、各種プロセスに透明性があること、
といったことが挙げられます。

香港における株式公開状況ですが、2013年4月時点において、その取扱い株式の時価総額はいまだ東京証券取引所の70%程度に留まります。

しかしながら、外国企業の上場数、機関投資家や個人投資家の質、数、取引所に占める外国企業株式の時価総額の比率等を考えれば、遠くない将来、低迷する日本市場を追い抜くとも考えられています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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香港の証券取引所は、チャイナ・モバイル、香港上海銀行、中国石油といった大企業が上場する
「メイン・ボード」
と呼ばれる
「大規模かつ安定事業基盤を有する企業(日本でいう一部上場企業に相当)」
向けの市場と、GEMと呼ばれる
「それ以外の企業(日本でいう二部上場企業等に相当)」
向けの市場があります。

GEMにおける上場基準は以下の図のとおりであり、スポンサーと呼ばれる香港証券取引所から認定された証券会社が審査して上場適格と判断し、これに香港証券取引所が異議を述べなければ、上場することができます。

日本の上場手続と比較しても短期間で実施することも可能です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01472_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理

1 中国その他アジア諸国の法域に関する法令管理

中国の法務上の知見・情報を収集できる書籍として、
『最新中国ビジネス法の理論と実務』(田中信行編・弘文堂)
『そこが知りたい中国法務』(射手矢好雄著・時事通信社)
『中国ビジネス法務の基本がよ~くわかる本』(遠藤誠著・秀和システム)『「中国ビジネス法務」実務ガイド』(企業研究会)
『中国ビジネスの法務戦略』(范云涛著・日本評論社)
が推奨されます。

さらには、日本貿易振興機構も、経済の動向、貿易・投資制度の紹介から、海外進出のための手引き、現地コーディネーターや専門家の手配等、ビジネスに役立つ様々なサービスを提供していますので、こういったものも積極的に利用すべきです。

特に、中国の知的財産関連の法令であれば、日本貿易振興機構等が日本語訳とともに無償で公開しています。

2 イスラム圏の法令管理

イスラム圏の法務上の知見・情報を収集できる書籍として、
『イスラム金融』(イスラム金融検討会編著・日本経済新聞出版社)
『イスラーム私法・公法概説』(中田考・日本サウディアラビア協会)
等が挙げられます。

また、前記同様、日本貿易振興機構を利用することでイスラム圏の法務上の知見その他必要な情報を取得することが可能です。

3 その他の地域

その他新興国の法務上の知見・情報の収集方法として、当該国の大使館の利用が考えられます。

特に、企業誘致に積極的な国や地域の大使館では、現地のコーディネーターや弁護士を紹介したり、物産展等への招待等を通じ、様々な情報を開示してくれます。

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01471_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>その他の地域

アフリカ諸国は、独立後間もない国々もあり、十分な法整備がなされていない地域も多数存在します。

植民地時代はイギリス、フランス、オランダ、スペイン等の旧宗主国の法体系をそのまま導入していたところも多く存在しますが、独立後に植民地時代以前の古くからの慣習法や法文化を採り入れて法体系を再整備した国や、エジプト、アルジェリア等、国教としてイスラム教を取り入れたことに伴い、前記のようなイスラム教教義に基づく法の整備を行った国・地域もあります。

なお、新興国一般にいえるのは、法一般に対する考え方が未熟で、行政執行の現場においては、運用が属人的に変化するといったことが日常的に存在します。

したがって、以上のように、法制度一般を客観的に調査・検討するのみならず、様々な
「公式には明らかにされない、運用の実際」
について現地に詳しい者から直接をヒアリングするなどして、法にまつわるリスクを総合的に管理することが必要になってきます。

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01470_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>イスラム圏

1 イスラム教教義

イスラム圏における法律は、イスラム法(シャリア法)、イスラム聖法などと総称されており、全てイスラム教の教義によって定められているという特徴があります。

もっとも、イスラム教の教義に基づくとはいえ、宗教的な規定のほか、民事関連法、刑事関連法、訴訟関連法、行政関連法、戦争法等、極めて幅広く制定されています。

イスラム法のうち、イスラム教に関わる規範部分がイバーダート(儀礼的規範)と呼ばれ、世俗における生活様式に関わる部分がムアーマラート(法的規範)と呼ばれています。

2 法の適用における属人主義

また、イスラム法における特徴の一つとして法律の適用ルールが挙げられます。

欧米の法体系においては、いわゆる属地主義を採用しているところが多く、当該法律が制定された国内の出来事や居住者に対してのみ当該法律が適用されることとなります。

しかしながら、イスラム法においては、ムスリム(イスラム教徒)であることを法律適用の要件とする属人主義を採用しており、ムスリムであれば世界のどこへ行ってもイスラム法が適用され、一方、非ムスリムであれば、たとえイスラム圏に滞在・居住していたとしても、原則として、イスラム法が直接適用されることはありません(非ムスリムに対しては法が差別的に適用されたり、非ムスリムとムスリムの間に生じた事案に関してイスラム法が直接適用される結果、非ムスリムがイスラム法の適用を受けるということはあります)。

3 法の差別的適用

また、イスラム法は、宗教や性別によって法規定を差別的に適用する、という仕組みを内包しています。

例えば、イスラム法における不法行為法は、被害者がムスリムの男性で死亡した場合、損害賠償額は10万サウジアラビアリアル(約220万円(2011年4月26日現在))と定められており、キリスト教徒、ユダヤ教徒の場合は5万サウジアラビアリアル、女性の場合はさらに低額に定めています。

4 イスラム金融

最後に、イスラム圏における国際取引法務の課題として、イスラム金融を概観します。

イスラム金融とは、イスラム法に則った金融取引の総称をいい、イスラム教の教典であるコーランが利息の受取りを禁止していることから、
「金利」
という概念を用いない点に大きな特徴があります。

イスラム金融における
「金利」
という概念を用いない欧米からみてユニークな取引モデルとして、以下のような、ムラバハと呼ばれる商品売買契約や、バイ・アル・イナと呼ばれる売買同時契約、ムダラバと呼ばれる信託金融といったものがあります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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イスラム金融においては、このような各取引の構築を行うことによって、利息の受取りを禁止したコーランの抵触を回避しながら、実質的なローンビジネスが行われています。

以上のように欧米からみるとユニークな取引もありますが、イスラム法に基づく金融取引としては、通常の預金取引、保険事業、リース事業が存在するほか、プロジェクト・ファイナンスやアセット・ファイナンス、さらには集団投資スキームといったものまで存在するなど、欧米における先端的な金融取引と同様のメニューが整備されています。

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01469_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>中国

中国における法体系としては、まず、日本の国会にあたる全国人民代表大会が制定する
「法律」
があり、
「法律」
の下位規範として、
「行政性法規」
と呼ばれる国務院(中央政府の機関の1つ)が施行する法令が存在します。

「行政性法規」
は法律よりも圧倒的に多くかつ詳細にわたっており、具体的で私人に直接作用する規範として機能しています。

次に、国務院に所属する委員会や部が、それぞれ公布する法令が
「部門規則」
と呼ばれており、これらも法規範としての性格を有します。

2001年のWTO加盟により、輸出入の規制緩和、知的財産制度の改革、市場参入における自由化等がスピーディーに進められました。

その結果、中国における法律の制定。改正は目まぐるしく行われ、急速に整備が進んでいます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

ガバナンス法務に直接関係する会社法(「公司法」)ですが、2005年10月、2006年1月の大改正を経て現代的な法体系を確立するに至っています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

製品市場に関する規律のトピックとしては、2009年に制定された不法行為法において製造物責任に関する特例が設けられ、
「製品に欠陥が存在することを明らかに知りながら製造・販売を続け、死亡又は健康に対する重大な損害をもたらした場合」
には、
「相応の懲罰的賠償」
の支払いをしなければならない(不法行為法第5章47条等)と規定されました。

2010年7月からすでに施行されていますので、今後、中国国内で製品の製造、販売を行う場合には、このような懲罰的賠償リスクに対する注意と警戒が必要になります。

中国進出にあたり、M&Aにより中国企業を買収し、大幅な時間短縮を図る企業も多いかと思われるので、M&Aの法令環境を概説しておきます。

中国企業とのM&A一般に関しては、以下のとおり、多数の法規が同時に関係することになるなど、複雑な規制課題が発生することになります。

また、外国企業が、買収等の方法で中国企業の経営権を支配する場合には、競争的観点及び国家安全保障による観点からの規制が働きます。

すなわち、外資による中国企業買収の際
1 国における戦略上の重要産業である場合 
2 国家経済の安定性に影響を与える場合
3 対象会社が中国における著名商標や伝統的標章を保有する等の場合
には、中国政府当局に対して当該取引の報告が義務づけられます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

報告を憚怠した場合、中国政府によって、当該買収等を
「国家安全に対する害悪」
と判断し、該当取引を中止させられたり、関係資産を強制的に譲渡させられたりといった強権的なペナルティを受ける可能性があります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01468_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本

1 中国を中心とするアジア圏を対象法域とする国際法務実践上の課題と対応の基本

近年、中国における経済環境、法令環境は目まぐるしく変化しています。

そして、日本企業が、中国企業と提携したり、中国市場に直接乗り込み製品やサービスを提供したり、その他中国企業への投資を行ったり、といった活発な国際取引を開始しています。

このような中国に関係する国際取引を実施する場合には、中国契約法をはじめ、知的財産法、競争法、通商法、製造物責任法など複雑化・多様化する各種法令の精査、理解に加え、中国政府との関係構築などの非法律的対応も必要となります。

また、中国は
「法の支配ではなく、人の支配がいまだ色濃く残る法環境である」
といわれますので、中国に現地法人を設立したり、合弁・合作会社を設立する日本企業は、
「中国のファジーな法環境において、どのようにして、法的合理性に基づく緻密な内部統制を構築するか」
という課題にも直面します。

さらに、中国でのビジネスでは、中央政府や地方政府の役人達とのリレーションが欠かせません。

これは、決して、不正競争防止法において禁止される外国公務員贈賄行為を意味するものではありません。

日本企業が持ち込む事業が成功すれば、その地方に与える経済効果は大きく、担当者にとっては、中央の人事当局における成績評価を改善する絶好のチャンスとなります。

したがって、事業の意義や成功した場合における地域経済や労働市場に与える影響等をしっかり説明すれば、地方の行政当局の積極的な協力を得ることも不可能ではありません。

このように、
「属人的に物事が進む法文化」
を持つ中国の実態を見極めることで柔軟に対応しながら、日本及び現地の法令を確実に遵守していく、というところが、中国に進出する際の国際法務実践上の要諦となります。

2 イスラム圏を対象法域とする国際法務実践上の課題と対応の基本

他方、中東等のイスラム諸国では、イスラム教という信条、理念に基づいて制定されたイスラム法の理解、また、イスラム圏特有のイスラム金融やスクークと呼ばれるイスラム債券の理解が必要不可欠となります。

中東特有の政治リスク(政情不安、政府による強権発動等)にも対応しなければなりません。

3 その他の地域を対象法域とする国際法務実践上の課題と対応の基本

その他の地域の国際法務を実践していく上では、旧宗主国であった欧米諸国の法環境を想定し、これがその後の歴史的・政治的経緯によりどのように変容してきたか、という点を折り込みつつ、的確に現地の法体系や法文化の特徴をつかみながら、法務対応していくことになります。

運営管理コード:CLBP665TO666

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01467_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説

日本国内では、低迷する経済状況と、少子高齢化を原因とする内需の縮小により企業の成長が鈍化してきています。

他方、近隣のアジア諸国をみると、10億人超の市場を持つといわれる中国には世界中から投資マネーや工業用資材が流入していますし、韓国製家電の世界進出や、シンガポールや香港の証券取引所の発展等、どの国も目覚ましく成長を続けています。

また、中東の新興国も潤沢なオイルマネーを背景に成長が期待されます。

以上のような状況をふまえ、日本企業は、これまでのような欧米諸国との取引に依存することなく、このような新興国市場への進出を開始しています。

とはいえ、非欧米諸国の企業や法人との取引を企業法務の観点から考察する場合、“法文化の違い”以前に、そもそも“法文化”が存在しない国も多く、欧米以上に法的トラブルが多発することを想定しなければなりません。

また、一括りに
「非欧米国際法務」
といっても、様々な国や法体系が無数に存在するため、その一般的傾向を抽出し、これを統一的に整理し把握することは非常に困難です。

とはいえ、“非欧米諸国における国際取引一般についてのリスク発見と対策の勘どころ”のようなものをまとめることは可能だと思われますので、以下、非欧米諸国を、おおまかに
1 中国を中心とするアジア圏を対象法域とする国際法務
2 イスラム圏を対象法域とする国際法務
3 その他の地域を対象法域とする国際法務
と3つに区分します。

運営管理コード:CLBP664TO664

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01466_欧米国際法務>特殊な課題・新たな課題>外国消費者からのクレーム対応

コンシューマー市場の国際化に伴い、外国の消費者が日本企業の製品に対してクレーム(プロダクトクレームやセールスクレーム)を主張してくるケースも想定されるところです。

このような事例においては、事案解決基準となる準拠法をどのように定めるかが問題となります。

このような国際的なコンシューマーセールスにおける準拠法問題については、2007年1月から施行された
「法の適用に関する通則法」
に解決のための基準が定められています。

この法律は、消費者保護を徹底する観点から、消費者と事業者の間の契約(消費者契約)については、極力、消費者の居住国の法律が準拠法となる形の取扱いがなされています。

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