01254_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>特殊な課題・新たな課題>デット・エクイティ・スワップ(DES)とデット・デット・スワップ(DDS)

ファイナンス関連法務における個別法務課題として、デット・エクイティ・スワップ(DES)に加え、最近、デット・デット・スワップ(DDS)と呼ばれるものも誕生しました。

DDSとは、既存の債務の一部を、劣後負債(融資先企業が倒産に至った場合に一般の無担保債務よりさらに返済順位が低い負債)に変更することをいいます。

大企業の負債圧縮による再生手法として開発されてきた手法ですが、中小企業にも利用できるものであり、注目されています。

金融機関にとっては、金融検査において劣後負債が貸付先企業の純資産とみなされることになり(2004年2月の金融検査マニュアル別冊〈中小企業融資編〉改訂に伴う措置)、DDSには債務者区分処理上のメリットがあるといわれます。

とはいえ、金融機関・企業双方にデメリットもありますので活用において注意すべきです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01253_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>金融商品取引規制違反事案への対応>終結戦略

最も重要なのは事件を教訓化し、さらなるコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)の強化に向けて改善を実施することです。

関係者の処分だけで、事件を終結させ、内部統制システムを従前のまま放置すると、また同種同一の法令違反が再発してしまうことになります。

今回発覚したリスクを重大なリスクとして、同種類似のリスクに対する有効なアプローチとなる管理体制を構築する、業務報告や監査の頻度を増やす、今後再発した法令違反行為に対してはより厳しい処分運用を行う旨、 トップが表明する等の対応が必要となります。

また、
「トレーダーの昇給や賞与査定の点において、故意によらざるものであっても内部統制上のルールに違反した者の昇給を見合わせ、査定上の不利益を与える」
等のソフトな解決も必要に応じ検討すべきです。

無論、以上の措置は、監督当局宛報告書
「今後のコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)における改善」
に盛り込むべき事柄です。

金融庁による処分が非公開ベースで行われた場合は、広報活動は不要ですが、処分が公表された場合には、企業として投資家や取引先・顧客等に向け、違反事実を正確に報告し、これに対する関係者の処分や再発防止のための措置を講じたことを知らせ、イメージ回復を行うことが必要になってきます。

無論、この手の広報は早ければ早い方が望ましいものです。

しかし、だからといって、後に予想される被害者との訴訟や行政訴訟や不服審査における対応、さらには株主代表訴訟等も予測しておかなければなりません。

したがって、
「全てを漏れなく、正直に」
という原則があてはまるとは限りません。

この点も、法務関係者や弁護士との連携を行い、訴訟等の正確な展開予測の下、事後の訴訟対応リスクと広報価値の調査を十分行った上で、実行する必要が出てきます。

また、処分には営業停止○日間といった場合もあるので、この間に発生する顧客の解約についての問い合わせへの対応やその方法の告知等のマネジメントも重要となります。

これらのマネジメントの巧拙により、企業価値の再浮上の可否が決まるといっても過言ではありません。

有事においては企業のトップの役割は非常に重要性を帯びます。

すなわち、企業のトップとして、以上の様々な有事対応課題に対し、社内一丸となって全力で取り組めるよう、企業内従業者を鼓舞し、士気の維持に努めることが求められるのです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01252_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>金融商品取引規制違反事案への対応>報告書

調査(事実調査・法令調査)をもとに、監督当局への報告書を作成することになりますが、報告書のスタイルは、以下の流れになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

この報告書は、当局に対し企業側にとって有利な判断を行わしめる環境を作るための積極的資料となるべきものです。

言うまでもなく、監督当局は
「法律に基づく行政」
という原理で動く組織であり、事実とルールがその活動の基礎となります。

この
「ルール運用」
場面においては、
「安定した行政運営」
という目的のため、制度及び組織運営理念上、先例拘束という考え方が強く働きます。

報告書作成にあたり、事前規制と行政による業界保護・育成が広く行われていた前世紀流の
「御説ごもっとも」
「おそれいりました」
「今回限りにしますのでご勘弁を」
という対応は、現代では全く無意味です。

むしろ、精度の高い事実調査を行い、これに基づき、法令解釈の結果をあてはめ、情状事実を積極的に主張して、先例と均衡する処分の発動を要請するという形での主張を整然と行うことが推奨されます。

無論、以上のような対応をとっても、監督当局が、不適正・過大な事実認定を行ったり、必要以上に不均衡な処分を行う可能性があります。

その場合は、行政不服審査手続や行政訴訟の提起により、処分を取消しあるいは緩和させることも必要になってきます。

このような対応をすることについては、
「お上に楯突くと『江戸の仇を長崎で討たれる』というような危険が現実に存在するのでは」
と危惧する企業も多いかと思われます。

しかし、このような不透明で曖味な対応はかえってファジーな行政運用を増長させるだけです。

さらに言えば、
「株主が、そのように曖味な危惧を根拠に、争うべきことを控えて企業信用がある程度低下してもかまわないと考えるかどうか」
という視点も考えると、争うべきことはきちんと争うという態度は当然必要ということになります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01251_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>金融商品取引規制違反事案への対応>関係者の処分

法令違反行為を自認していたり、客観証拠から明らかに当該行為を行ったと認められる関係者等に関しては、懲戒処分等も迅速に行うべきです。

この点、
「自ら早急に処分を行うよりも当局の対応をみてから当局の認定事実を基礎に関係者処分を行う方が、判断リスクを回避できるのではないか」、
と考える企業も多いかと思われますが、この姿勢は根本的に間違っています。

そもそも、就業規則等の社内懲戒処分は、その企業が独自の調査と認定事実に基づき、独自のリスクと判断で行うものです。

「当局の判断を待って」
という姿勢は、ある意味、違反事件についての責任感の欠如と主体性の放棄の姿勢と捉えられかねず、調査責任を全うしていないのではないか、との疑念さえ呼びかねません。

このような姿勢は、
「企業としては、コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)を徹底し、各種啓発活動を行い、社内規程・業務マニュアルを整備し、リスク・アプローチに基づき違反が起きやすい行為については科学的なリスク管理体制(業務フローやチェックシステム)を整え、内部通報制度等により違反や違反の萌茅の検知に努めていたにもかかわらず、従業員が独自の考えで法令違反行為に及んだ」
という企業弁護シナリオを弱め、かえって組織ぐるみでやっていたのではないか、との疑いさえ生じせしめる危険があります。

なお、不当な懲戒処分は逆に労働者側から争われる場合もありますので、迅速とはいえ、正確な事実に基づきバランス感を失わない適正な処分を下す必要があることはいうまでもありません。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01250_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>金融商品取引規制違反事案への対応>調査

ファイナンス関連法務における争訟法務の実践的な対応のあり方として、証券会社において金融商品取引規制違反事例が発覚したケースを用いて検討します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

まず、調査チームを結成し、事実を調査し違反の全容を解明することが重要となります。

調査チームは、訴訟運営・尋問術に長けた社外の弁護士に委託することとし、法務スタッフを補佐役として、チーム組成することが望ましいでしよう。

調査にあたっては、5W2Hに従って、違反事実の全てを洗いざらい調べ上げ整理することになります。

ただ、一言に事実といっても闇雲に範囲を拡大しても無駄ですので、違反に該当しそうな関係規制を調べ、これらの要件事実を整理し、当該要件事実に該当する事実及びこれに関連する事実を調査範囲とすべきです。

ある規制違反取引が同時に相場操縦行為となる、といった具合に、複数の規制違反にまたがる取引というものも存在するので、調査範囲を不必要にしぼりすぎないよう注意すべきです。

調査によっては、廃棄されずに記録として残っているダンボール何十箱分ものプリントアウトデータを解析することが必要になる状況もありますが、ルーティンをかかえた社内の人員だけでは、このような調査に対応できない場合もあります。

このような場合、データ解析をタスク分解して、外部の派遣要員にアウトソースするような必要も出てきますが、その際、派遣元のセキュリティーレベルを確認し、適切な守秘義務契約をきちんと結び、情報遺漏がないような形でデータ・セキュリテイを実施する必要が出てきます。

事実関係が解明された後あるいはこれと並行して、法令解釈とその適用の是非もつぶさに調べる必要があります。

時効が成立している違反事実や、法改正前には問題となっていない違反事実については、そもそも報告には及ばない場合もありますし、当局の公表するガイドライン等に問題となる形式的な違反行為を状況により適法なものとして扱う旨の記載が存在していたという可能性もあります。

さらに言えば、報告範囲についても、
「報告義務自体が新設されたもので、一定の時期以前の行為については、そもそも法律上の報告義務を基礎付ける根拠がない」
といった場合もありえます。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01249_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>インサイダー取引規制

1 インサイダー取引規制

株式公開企業については、自社内部にある未公表の重要事実が株価に大きく影響することがありえます。

ファイナンス関連法務における予防法務課題として、未公表の重要事実を利用した違法な自社株取引(インサイダー取引)が行われないようしかるべき対応を行うことが必要となります。

インサイダー取引とは、株式公開企業の関係者等が、当該会社に関する未公表の重要事実(当該会社の株価の騰落を左右しうるなど、一般の投資家の投資判断に著しい影響を及ぼしうる情報。会社の意思決定に基づく情報か否かは問わない)を利用して行う株式取引のことをいいます。

金融商品取引法により規制されるインサイダー取引は、

・会社関係者がインサイダーとなる場合に関する規定(金融商品取引法166条以下)
・株式公開買付け等の関係者がインサイダーになる場合に関する規定(金融商品取引法167条)

に分類して規制されています。

前者は典型的なインサイダー取引ですが、後者は、例えばある企業がTOBを行うことを知って、当該TOB対象企業の株式を購入するような場合です。

インサイダー取引規制に違反した場合、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金(その双方が科せられる場合もある)のほか、課徴金が課せられることになります。

なお、証券取引等監視委員会が金融庁に提出したインサイダー取引関連の課徴金納付命令勧告は、2009年度において、前年比にして2.2倍の38件となっており、過去最高件数を記録していましたが、2012年度では10件にとどまっています。

インサイダー取引に関与した者で、最も多いのは、企業関係者から直接情報を受領した
「第1次情報受領者」
で8件、従業員が2件であり、企業内部の者が直接インサイダー取引を行わなくても、不用意に情報を伝達してしまうことで発生するインサイダー取引が増えていることを物語っています。

インサイダー取引規制の概要や重要事実の具体的内容等に関しては、東京証券取引所が発行する
こんぷらくんのインサイダー取引規制Q&A
にわかりやすく記載されており、参考になります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

2 課徴金

インサイダー取引事件として調査される件数及びその結果は、告発件数は減少傾向にあるものの、課徴金納付命令件数は増加傾向にあります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

課徴金賦課手続は、刑事裁判ではなく行政審判であり、行政審判の立証水準は一般に民事裁判と同等のもの(民事裁判の立証の程度は刑事の有罪立証水準より低い)とされています。

すなわち、訴追側(不利益を課す側)は厳格な証明責任を負担することなく、スピーディーに事件を解決できるメリットがありますが、反面、企業にとっては、安易にペナルティを課される危険が存在することを意味します。

企業としては、このような状況をふまえ、課徴金納付命令の発令リスクに対して十全な予防体制を構築する必要があります。

3 インサイダー取引を予防する体制

インサイダー取引規制の予防策としては、まず、社員教育を徹底し、法規制を認識させるとともに、違反した場合に大きな法律的・社会的制裁が科せられることを知らしめるべきです。

さらには、
(1)重要事実に関わる範囲の人数を限定する
(2)社内で入手した情報の不当な利用をしない旨の誓約書を徴求する
という対策も考えられます。

また、視点を変えた対策としては、そもそもインサイダー取引は
「未」公表の重要事実
を社内にためこむから発生するのであり、公表できる情報をタイムリーに公表してしまえばインサイダー取引発生リスクはなくなります。

ディスクロージャーの充実という意味でも適時の情報開示が最も本格的な予防策といえます。

運営管理コード:CLBP315TO317

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01248_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>予防法務

ファイナンス法務における予防法務についてですが、資金調達・資金運用に関しては、助言・構築を業とする各種専門家が多数存在するので、信頼のおける専門家を擁し、適切な助言を得ることが効果的な紛争予防につながります。

なお、その際、気をつけるべき点は、当該専門家が誰の利益を代弁しているか、という点です。

すなわち、助言採取にあたっては法律ないし契約は、立場が変われば解釈が変わる、ということをふまえておくべきです。

例えば、特殊な金融商品を販売する事案の場合、販売する側の専門的助言者はリスクを全面的に購入者に転嫁するため(商品リスクが顕在化しても賠償等には一切応じないといった取扱い)に知恵を絞りますし、購入する側の専門的助言者はあらゆるリスクを洗い出し商品価格や期待利益とのバランスを図ろうとします。

このように1つの取引事案において、専門的助言者が甲乙2つの立場を同時に併有することはできません。

弁護士にとっては、利益相反はバッジを失いかねない非違行為であり、常にどのクライアントのために働くかということを明確にしますが、金融取引にまつわる様々なプロフェッショナルの中には、利益相反ということに頓着しない専門家がいます。

中小企業の経営者で
「自前の専門家を雇う費用をケチって、利益が相反する相手方のアドバイザーの言うことを鵜呑みにしたため、失敗する」
という方もいますが、このような失敗をしないためには、利益相反する状況において目の前のアドバイザーが誰の利益のために働いているか、を常に意識する必要があります。

いずれにせよ、
「窓口販売している銀行が言っているから大文夫」
とか
「取引相手側の優秀そうな弁護士をみて安心した」
等ということはリスクの発見・予防においては全く無意味であることを肝に命じ、自ら、主体的に予防法務の手間と時間とコストをかけることが必要です。

運営管理コード:CLBP314TO314

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01247_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>ファンド化、証券化、社債発行市場

企業が有する特定の事業について、当該事業が将来にわたって産み出すキャッシュフローを根拠に証券化する資金調達の手法があります。

実態としては、証券化とコーポレート・ファイナンスの中間的な性格を持ちます。

具体例としては、ソフトバンクモバイル株式会社の携帯電話事業の証券化や、ゴルフ場事業、ワイン事業、レジャーホテル、インターネット事業等でファンド化や証券化の事例があります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

東京証券取引所が設立した
「TOKYO PRO Market」
が2011年4月に開設した社債発行市場
「東京プロボンドマーケット」
は、金融商品取引法が定義する適格機関投資家などを中心に活用されることが期待されています。

当該市場では、社債等発行時に必要となる開示書類を省略化、簡素化することとしていますので、柔軟かつ起動的な社債等の発行が可能となります。

運営管理コード:CLBP311TO313

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01246_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>SPVの活用

ファイナンスの手段として、特別目的事業体(Special Purpose Vehicle)を活用する場合があります。

これは、プロジェクト・ファイナンス等において、信託や特定目的会社等のように自らは利益を追求することなく、単に投資家からの資金調達のためや、資産を小日化するために利用する道具、又は母体(Vehicle)を指します。

このようなSPVのうち、資産流動化法に基づき法人格を有するものは特定目的会社と呼ばれます。

信託型のSPVとしては、資産流動化法に基づく特定目的信託や、投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資信託など、組合型のSPVとしては、民法上の任意組合や投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づく投資事業有限責任組合、組合類似の企業形態として、例えば英領ケイマン諸島のリミテッドパートナーシップ、法人格のあるSPVとして、資産流動化法に基づく特定目的会社、投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資法人などがあります。

そして、これらの組合、法人へ出資した者の多くは、出資した以上の金銭を後から徴収されたり、金銭債務を負担させられたりすることはない責任、すなわち
「無責任」
とされていますので、まさに美味しいところだらけともいえます。

もっとも、このようなSPVには大きなメリットがある一方で、生半可な知識で臨むと、税務上の大きな失敗をするリスクもあります。

運営管理コード:CLBP310TO310

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01245_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理

ファイナンス法務については関係法令が多岐にわたるため、ファイナンス関連法務に関する法務上の知見・情報の収集のポイントについては、代表的なものについて述べておくこととします。

まず、金融商品取引法をはじめとした投資関連の法令の解釈運用に関しては、技術的な色彩が強く、また、政省令等の下位規範に委ねられているものが多く、
『証券六法』(証券関係法令研究会編・新日本法規出版)
を丹念に読み込むほかありません。

取引所のルール等に関しては、各証券取引所のウェブサイトや取引所発行のパンフレット等がわかりやすく作られています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

会社法(合同会社)、有限責任事業組合契約に関する法律、商法(匿名組合)、民法(組合)、資産の流動化に関する法律を用いるような特殊な投資事案に関しては、高度な法技術を用いていることや会計や税務が融合していることもあり、一般の弁護士ですら全く刃が立たないほど難易度が高い法分野といえます。

無論、会計士・税理士等で、ある程度法務面を研究している方もいますが、ルーティンな条文操作だけでなく、解釈や応用になってくると、法律専門家による知見が必要になります。

この分野の課題発見・解決のためには、弁護士、会計士、税理士といったチームを編成し、オール・ハンズ・ミーティング形式で多面的に法令調査を行うことが推奨されます。

債権管理上のリスクとして、時効に注意しておく必要があります。

時効には取得時効(一定期間の経過により所有権等を取得する類型の時効)と消滅時効(債権を取立等しないまま一定期経過することにより債権が消滅してしまう類型の時効)とがあります。

ビジネス活動において重要なのは後者の消滅時効であり、企業の取引に関する債権は商事時効が適用され、一般に5年で消滅します。

しかしながら、下記のとおり、企業が関わる事業活動や取引の種類によっては5年より短期の時効も多数ありますので、債権管理上のリスクとして正しく把握しておかなければなりません。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP307TO309

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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