01204_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>残業代不払・管理監督者

残業とは、 1日8時間の法定労働時間を超えて労働させることをいいます。

原則として、企業は残業代を支払う義務を負いますが、経営と一体となって稼働する幹部職員等(管理監督者)に対しては、残業代を支払う義務が免除されます。

企業は、従業員側との所定の協定(労働基準法36条に基づく協定。俗に「36協定」といわれます)を締結した上でないと残業自体させることができませんし、また、その他所定の残業代を支払わない場合、賃金不払いとして労働基準法24条違反の問題も生じます。

残業代不払いを巡る法務トラブルは増加傾向にあります。

これはトラブルが急激に増加したというより、
「厚生労働省が調査を強化した結果、それまで間に眠っていた法令違反が摘発され明るみになった」
という方が適切です。

なお、残業代を巡る法務トラブルの契機についてですが、特段従業員とのトラブルがなくても、労働基準監督官の調査により発覚する場合もあります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

残業代不払問題についての法務対応上のポイントとしては、まずは、36協定の締結確認です。

この協定は、企業内に労働組合がない場合であっても、職場代表との間で締結する必要があります。

「ウチは絶対残業させない」
という企業であれば格別、通常の企業で
「全く残業がない」
というところは現実問題としてありえないわけですから、業種を問わず整備しておかなければならないものです。

企業の中には、
「今まで残業代込みで相場より高い給料を払ってきたので、残業代は払わない」
と主張するところもありますが、
「残業代込の給料」
というもの自体が法律上は
「みなし労働時間制(労働基準法38条の2)」
などの厳しい規制の下でしか存在できないものであり、結局、いざトラブルになった場合、
「相場より高い給料」
に加え
「相場より高い給料を基礎に算定した残業代」
を付加して遡及払いさせられることもあります。

つまるところ、
「相場より高い残業代込の給料」
を支払うのであれば、
「相場並の給料を支払って、残業代を別途支払い、支給総額として相場より高い給料を支払う」
という形にするほかありません。

そのためには、基本給の見直しをして、残業時間管理と残業代支払いを適正に行って、法が本来予定する運営に修正するほかありません。

なお、基本給を見直す場合、就業規則の不利益変更の問題が生じますので、この点も注意が必要となります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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最後に管理監督者に関しては、 定義と運用をしっかり見直しておかないと、
「名ばかり管理職」
として、危険があります。

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01203_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>解雇

解雇とは、企業側からの、一方的に従業員との雇用契約を将来にわたって解約する意思表示をいいます。

解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効と扱われます(労働契約法16条)。

採用には特段制限はありませんが、解雇は自由にできません。

婚姻になぞらえるならば、
「結婚は自由だが離婚は不自由であるのと同様、採用は自由だが解雇は不自由」
ということになります。

解雇に関しては、古い事件ですと、政治的信条を理由に行った解雇が東京高裁で無効とされた川崎重工業事件(1963年)があります。

比較的新しいところでは抑うつ病罹患を理由とした解雇が東京地裁で無効とされた東芝抑うつ病解雇無効事件(2005年)、整理解雇が大阪地裁で無効とされたネスレ事件(2005年)等があります。

また、経営感覚と裁判例の大きなギャップを示す事件として、高知放送事件(最高裁昭和52年1月31日判決)というものが挙げられます。

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「無断遅刻・無断欠勤などした従業員は解雇が当然」
と考えている経営者も多いかと思いますが、同事件(最高裁昭和52年1月31日判決)では、
「2週間の間に2度、宿直勤務の際に寝過ごし、定時ラジオニュースの放送事故を起こし、放送が10分間ないし5分間中断されることとなり、2度目の放送事故を直ちに上司に報告せず、後に事故報告を提出した際に、事実と異なる報告をしたアナウンサー」
に対する普通解雇について、
「解雇をもってのぞむことはいささか過酷に過ぎ、合理性を欠くうらみなしとせず、必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできない」
として解雇を無効としています。

解雇問題についての法務対応ですが、解雇とは企業側から一方的に申し入れる場合を指しますので、従業員からの申し出による雇用解消(退職)には解雇規制が及びません。

なお、会社が存亡の危機にあるような場合には、一定の要件を満たせば、従業員側に非がなくても解雇が有効なものとして認められる場合もあります(整理解雇の法理)。

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01202_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>アウトソーシング

取締法規が関係する法務課題に関しては、クレバーに対応したつもりが、後から監督行政機関側から法令違反と指摘され、大きな問題に発展することがあります。

例えば、雇用にまつわる様々なコストや負担を回避すべく、請負等のアウトソーシングという手法が採用されることがあります。

しかし、アウトソーシングが雇用回避策としてうまく機能するためには、
「発注企業が請負会社の労働者に直接、指揮命令してはならない」
という前提が必要であるところ、例えばラインが稼働している工場現場において
「ラインの責任者が請負会社の労働者に直接指示しない」
というルールがいかに非現実的であることは明白です。

また、派遣先で労働災害が生じた場合に、指揮命令のあり方や安全配慮義務の履行をめぐって通常の労働災害以上の大きなトラブルになることも十分予測できます。

「雇用にまつわるコストや負担を効果的に回避する優れた戦略」
と考えられた代物は、最終的には偽装請負として、社会問題にまで発展しました。

このように、規制回避策としての戦略法務は、社会的視点や監督行政機関の考えを無視して、机上のアイデアと独善的な条文解釈だけで乗り切ろうとすると大火傷を負うことにつながりかねないので、慎重に進めていく必要があります。

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01201_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>解雇のルール

労働法務における戦略法務(企画型法務)については、企業と従業員との間の純粋な民事上の関係規律面において、知恵を絞る点がいくつか存在します。

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例えば、非違行為を行った従業員との雇用関係を解消することに関しては、解雇にまつわる

1 解雇理由の存在
2 解雇の相当性
3 解雇予告手当

といった大きな法的ハードルをクリアしなければなりませんが、これを戦略的に回避する方法として、解雇対象の従業員が自主的に退職する方向で誘導する方法があります。

幹部職員をヘッドハンティングして中途採用した場合の
「地位を特定した雇用契約における解雇」
の判例法理を活用することが考えられます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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すなわち、途中で雇い入れた幹部職員が期待に反して全く仕事ができなかった場合に備えて、ゆるやかな要件の下、スムーズに解雇しうる手段を保持していくのです。

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01200_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理

労働法務に関し、多くの法律家が利用するスタンダードな専門書としては、
『法律学講座双書 労働法(第10版)』(菅野和夫著・弘文堂)
が挙げられます。

この本は労働法に関する論点が総括的に書かれており、また判例に準拠した説を展開しており、実務にも安心して使えます。

ただ、頻繁に改版がなされるので、最新のものを購入する必要があります。

基本書式を含むマニュアルとしては、
『新労働事件実務マニュアル(第2版)』(東京弁護士会労働法制特別委員会著・ぎょうせい)
が挙げられます。

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」(孫子)
の言葉のとおり、企業の法務部にとって、敵ともいうべき労働者徹底保護の立場に立つ労働弁護団の闘争的な弁護手法を知ることは、予防・紛争両面の戦略構築上、大変役に立つはずです。

この
「敵の戦略を知る」
という意味では、
『労働相談実践マニュアルVer.6-労働契約法対応―』(日本労働弁護団)
もお薦めします。

その他専門誌としては
『労働基準広報』
『人事総務サポート』(旧『旬刊労働実務』)
『月刊人事労務』
『人事管理』
等がありますが(詳細に関しては「人事労務・判例・労働経済・安全衛生関係雑誌一覧」、情報のベースは2013年10月労務安全情報センター調査によるもの)、専門的な論点に関しては、専門誌を読み込むより、専門家と顧問契約を締結した上で、データバンク・ナレッジバンクとして利用し、オン・デマンドベースで必要な情報を入手する形で活用した方がよいのではないかと思われます。

その際、活用が想定される労務専門家として社労士と弁護士の機能・役割の違いをふまえておいた方がよいかと思います。

すなわち、弁護士は、解雇処分や、労働組合との団体交渉や訴訟・仮処分・労働審判等の訴訟対応を含む紛争解決や、機密保護・競業対策のための就業規則改訂や誓約書の作成等に長けていますが、社会保険や労働時間や給与額の計算には慣れていません。

他方、社労士は、紛争対応やその予防に関しては弁護士に譲る点もありますが、細かい法令の知識とこれに対応する書面の整備・運用には圧倒的な情報量を誇ります。

したがって、それぞれの役割・機能に応じて、併用することが勧奨されます。

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01199_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境

企業経営を進める上で、ヒトという経営資源の調達・運用に関し、意識・遵守すべき法律をみていきます。

1 労働契約に関する法令

まず、労働契約に関するものとして民法(雇用)とその特別法たる労働契約法が、労働条件の最低限を定めた取締法規として労働基準法、最低賃金法、家内労働法等があります。

次に、労働者が団体を結成して企業と対抗できる権利について定めた憲法28条と労働組合法があります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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2 労働災害に関する法令

労働災害に関し、まず予防面として、企業に対して職場における災害防止のための措置を命じた労働安全衛生法があります。

事故が発生した場合におけるルールとしては、民法(安全配慮義務の債務不履行責任)や労働者災害補償保険法があります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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3 公益通報に関する法令

企業に内部通報制度の設置を求め、また、企業不祥事の存在を認知した従業員が企業外部の監督行政機関や報道機関に不祥事を通知する行為(内部告発)を保護するものとして、公益通報者保護法があります。

4 企業再編における法令

特殊な状況におけるものとしては、企業再編・グループ再編の戦略として会社分割が実施された場合における労働契約の承継のルールを定めたものとして、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)があります。

5 差別防止に関する法令

雇用の場面における男女差別、年齢差別、障害者差別等を解消しようとするための法律として、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(通称「男女雇用機会均等法」)、男女共同参画社会基本法、高年齢者雇用安定法、障害者の雇用の促進等に関する法律 (通称「障害者雇用促進法」)があります。

6 保険に関する法令

社会保険制度において企業が一定の役割を担うことになっている関係で、社会保険に関する法律、健康保険法、国民健康保険法、確定拠出年金法、確定給付企業年金法等も、企業法務活動に際し把握しておくべき法律です。

労働契約に関する民事紛争に関しては、通常の民事訴訟(仮処分等を含む)のほか、労働審判法に基づき、労働審判という特別な手続による解決が可能となっています。

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01198_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本

1 労働法違反の実態

厚生労働省のまとめによる2012年度の定期監督実施結果のように企業の7割強が労働法違反を行っている実態からすると、企業のトップマネジメントあるいは人事責任者のほとんどが法を知らず、損益計算という視点のみで
「ヒト」
という経営資源の調達・運用を行っている姿が浮かび上がってきます。

このように、労働法務については、 トップマネジメントが
「損益計算だけでは大きな失敗をする」
ことを十分に理解した上で、人事責任者において、労働法務の十分な知見を蓄え、何らかのアクションをとる際には必ず専門家に相談して、慎重な対応を心掛けることが基本となります。

2 刑事事件へ発展するリスクを理解する

労働問題においては、民事問題だけでなく、取締法規のコンプライアンス問題が混在しています。

したがって、対応を間違えば、残業という金銭債務の問題が、いつの間にか刑事事件に発展し、送検という事態を招きかねないのが、労働法務の怖いところです。

企業のトップマネジメント及び人事責任者は、かかるリスクを念頭に入れた上で、経営サポート法務を実施する必要があります。

3 正しい知見・情報に基づく対応

さらに、労働紛争においては、相手方である従業員本人やその代理人弁護士に加え、当該従業員が加入している労働組合、規制監督行政機関(労働局、労働基準監督署等)、労働委員会、裁判所等様々な関係者が登場して複雑な様相を呈する場合が多く、それぞれの特徴に対応した対応策が必須です。

労働法務に関する事件やトラブルを防ぐには、まず企業トップマネジメントや人事責任者に対する正しい法務上の知見の提供や啓発が重要です。

すなわち、労働法務に関する紛争や事件のほとんどが経営者サイドの労働法に関する知識の欠如によるものといっても過言ではありません。

法務上正しい知見・情報に基づく対応が、労働法務における唯一かつ絶対の予防法務(契約法務・コンプライアンス法務)実践上のポイントといえます。

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01197_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説

経営資源というのは、
「必要なときに調達し、不要になったら廃棄できること」
が理想であり、これが停滞すると、ビジネスが発展しません。

しかしながら、
「モノ」や「カネ」や「情報・技術・ノウハウ」
といった他の経営資源と異なり、
「ヒト」
という経営資源は、人権保障の観点から法律が強い規制を働かせており、調達・運用において、モノやカネや情報の感覚で運用しようすると必ず失敗します。

日本企業の経営現場においては、労働法規制に関する知識が希薄なためか、ヒトについても、モノやカネ等と同様の運用をする傾向が強く、法務トラブルに発展する例が多く存在します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01196_ガバナンス法務>企業の組織運営・内部統制に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>企業集団の統制・グループ企業の不祥事防止

会社法において、子会社の定義は次のようなものと定められました。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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大前提の議論として、
「株主有限責任」
という株式会社の根本原理がありますので、いかに親子会社関係にあるとはいえ、株主有限責任のバリアーを通り越して、株式を有しているだけの別法人がいきなり子会社の不祥事の責任を取らされることはありえません。

しかしながら、会社法・金融商品取引法(日本版SOX法)において、子会社の法務・財務の両面における統制は、親会社の内部統制システム構築義務の範囲とされています。

すなわち、前述した
内部統制報告制度
では、株式公開会社等は粉飾決算等の法令違反を未然に防止すべく自社の管理体制を常に点検し、重大な不備があれば
「重要な欠陥」
として公表することになりますが、同制度は、子会社において法令違反等があった場合についても公表の対象としており、親会社や親会社の経営陣は、子会社の不祥事等についても、
「内部統制システム構築義務違反」
という理屈を通じて、連座して責任を問われる可能性が出てきます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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共同不法行為や名板貸・代理商の責任という法理論を通じて、親会社が子会社の責任を追及されるリスクも存在します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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特に、地方の子会社や海外現地法人などは一般に監視の目が行き届きにくいものですが、物理的遠近を問わず、親会社の内部統制システム構築義務の範囲に取り込まれる以上、適正に管理をすることが求められます。

対処法としては、管理のできないもの、内部統制システム構築の範囲に取り込めない子会社等で、ビジネス面でも非中核のビジネスユニットで、支配継続することにあまリメリットがないものは、独立させるなり、売却するなりして、企業集団から切り離すことが推奨されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01195_ガバナンス法務>企業の組織運営・内部統制に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>株主総会対策のトレンドの変化・プロキシーファイト

株主総会の運営に関してですが、前世紀に主流であった
「特殊株主・総会屋が暗躍し、会社の説明義務の不備を突かれる」
等といった、修羅場あり、山場ありの総会対策はすでに過去のものとなりつつあります。

現在では、自らが投資する会社の方向性に興味・関心を有する一般投資家や、経営者の経営責任を追及すべく財務諸表を読み込み、徹底した理論武装をしたプロの投資会社や買収者といったプレーヤーが、株主総会対策上のメインターゲットとなっています。

その意味では、総会対策を準備する上では、役員の退職金や役員個人の動向や些細な不祥事追及を想定した運営準備だけでなく、余剰資産の活用、特定取引の経済合理性、各事業の採算性・妥当性、買収防衛策の内容と是非等、MBOや上場廃止発表後の総会における買取価格の妥当性等、経営合理性に関する相当つっこんだ質問がなされることまで想定すべきであり、これら質問に対する適正な説明を準備しておくべきです。

その際の説明のポイントですが、投資家の質問の方向性を集約・整理すると、その大半は
「会社はシェアホルダーズ(株主)の短期的利益追求の要請に応えるべきだ」
という趣旨のものです。

説明の際、企業経営陣がこの土俵に乗ってしまうと、ほぼ間違いなく論破されることになります。

したがって、上記のような指向性を有する質問に対する説明としては、別の理念・哲学を基礎にした説明をすることで対応が可能となります。

具体的には、
「会社はシェアホルダーズ(株主)の短期的利益追求の要請のみに応えるものではない。
すなわち、会社は、株主を含む多数のステークホルダーズ(利害関係者)のために存在するものであり、短期的利益追求もさることながら、ゴーイングコンサーン(継続的存続)を最大の存続目的とする。
したがって、短期的利益追求のみを指向した貴ご質問は、前提において当社の目指すべき方向性と異なるものと考えます」
等といった説明です。

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