00379_「借主の地位が強くなる借地借家法を潜脱しつつ、商売の場所を提供したい場合」のテクニック

落語で出てくる大家と店子の諍いのように「この野郎、店子の分際で大家に楯突きやがって! ええい、うるせえ! 店あげてどっか行きやがれ」なんて形で借家人の事情を無視して大家の都合だけで借家契約がいきなり解除されると、借家人が住む所を失い、町はたちまち浮浪者が増え、社会不安が増大します。 こういう事態を防止するため、社会政策...

00373_「勘違い」「アテが外れた」「想定外」を理由に取引をキャンセルするには?

私法の世界では、「人は自らの意思に基づいた約束にのみ拘束される」というのが原則です。 この原則に照らせば、「勘違いによる契約」は、自分が思ったこととは違うわけですから、「自らの意思に基づいた約束」とは言えませんので、その人はその契約に拘束されないことになります。 そこで、民法95条本文は、「法律行為の要素に錯誤があった...

00370_職務発明を企業のモノにするためのハードル

企業が職務発明を自社のモノとして専有するにはいくつかハードルがあります。 まず前提として、職務発明に該当するためには、1 企業等に雇用される従業員が、2 その業務の範囲内において行った発明で、3 現在または過去の職務に属する発明である必要があります(特許法35条1項)。 当該企業等に雇用されていない委託先の別会社の従業...

00368_裁判所から、突然、債権差押命令が送られてきた場合の対処法

債権差押えとは、債権者が、債務者のもっている債権を、裁判所の命令をもらって強制的に取り上げ、そこから未払分を払わせる手続のことをいいます。 例えば、金融業者が、債務者に対して公的に証明されている売掛債権(裁判所の判決や公正証書で存在が明らかになっている債権)を有してるにもかかわらず、債務者が四の五のいって支払わないとき...

00363_「(不正競争防止法上の)営業秘密保護制度」が、特許より強力で使い勝手がいい場合

製造方法のような企業秘密は、「特許として公開(特許にする以上、一定期間の独占の代償として秘密を全世界に向けて暴露することが要求されます)にしない限り、法律上の保護を一切受けられないのか」というと、そんなことはありません。 ここで登場するのが企業法務の伝家の宝刀、不正競争防止法に規定される「営業秘密」です。 あまり知られ...

00356_違約金の種別と、効果と、契約記載テクニック

「違約金」や「制裁金」「ペナルティ」という言葉は、ビジネスの世界でもよく耳にしますが、その実際の意味について正確に理解している方はあまり多くないように思われます。 それもそのはず、「違約金」という言葉は、「債務者が債務不履行の場合に、債権者に対して給付することを約束した金銭」などと説明されるものの、実際には、次のように...

00352_「行政指導に従わず、建築確認申請を留保された場合」の対抗策構築の際に参考となる判例

建築主と周辺住民との間の紛争に関する行政指導が行われていることのみを理由として建築確認申請に対する処分を留保したことにつき、当該「建築確認を留保したこと」の是非をめぐって国家賠償請求訴訟が提起されたことがあります。 これに対し、最高裁判所(昭和60年7月16日判決)は、原則として「建築主事が当該確認申請について行う確認...

00341_個人情報保護における侵害論と損害論:たとえ重篤な違法行為をしても、損害がなければ賠償義務は生じない

個人情報は、個人情報保護法により法律上保護されるべき権利であることが明記されているところ、これを違法に第三者に売り渡しますと、当該行為者は権利侵害行為を行ったことになります。 そして、この行為者が所属する企業についても、個人情報保護法に基づく監督義務違反による社固有の不法行為(民法709条)として、あるいは使用者として...

00317_「契約上の地位の譲渡を、相手の承諾なく行う」ことを可能とする、戦略的手法

契約上の地位の譲渡については、一般に他方当事者の承諾が必要とされており、基本的には、勝手に契約上の地位を第三者に売ることは困難です。 しかしながら、方法を工夫すれば、承諾なくして、契約上の地位を売却することは可能です。 例えば、契約を引き受けるための100%出資会社(子会社)を設立し、契約を締結します。 そして、契約が...

00315_課徴金についての審判手続開始決定通知書が来た場合、おとなしく受諾答弁すべきか、無駄とわかっていても悪あがきして争っておくべきか?

金融庁は、有価証券報告書に虚偽記載があったとして、株式会社IHIに対し、2008(平成20)年6月に審判手続き開始決定をしました。 課徴金についての審判手続開始決定通知書が金融庁長官より発出され、これを受けた IHIは、審判手続きで争わず、法令違反事実や納付すべき課徴金額を認める答弁書を提出したことから、金融庁は同年7...