00336_日本企業の法務格差(3)法務弱者企業・法務無能力企業に共通する特徴

法務弱者企業や法務無能力企業には、下記のとおり共通する一定の特徴なり傾向(端的にいえば「ダメ」な要素)がみられます。 そして、下記の各特徴は、「不祥事で多額の損失を被り、あるいは倒産する企業」の特徴なり傾向とそのまま近似します。 運営管理コード:CLBP10TO11 著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中...

00335_日本企業の法務格差(2)法務「無能力」企業

地方等においては「法務無能力」とも評すべき企業も多数存在します。 2005年に大阪市立大学大学院法学研究科「企業法務研究プロジェクト」が実施した調査によると、1,838社の大阪府下の中小企業中、顧問弁護士がいないと回答した企業は1,530社(83%)に上ったそうです(『中小企業法の理論と実務』高橋員=村上幸隆編・民事法...

00334_日本企業の法務格差(1)法務格差

世紀の境目の激変の中、それまで、「上をみて(行政に従う)、横をみて(業界横並びを意識する)、後ろを振り返る(従来からの慣例を墨守する)」というコンプライアンス戦略しかなかった企業の中にも、自らのコストで適正な企業法務部体制を構築し、法の専門家を雇い入れるなどして、自己責任により法令遵守、法務強化を行うものが出現しました...

00333_日本企業法務史(7)新しい資本市場・「売り買いされ、あるいは解体される企業」

冷戦終結に伴い、市場が1つになりました。 ロシア、東欧諸国、中国など「社会主義体制崩壊に伴い、資本主義社会に大量に移転しきた、“新興国”」が大量の生産と供給を始めたことにより、「世界の工場」と呼ばれていた日本の地位が脅かされるようになりました。 すなわち、「それまで日本でしか作れなかった一定の価格と品質をもった商品」が...

00332_日本企業法務史(6)かつての資本市場・「売り買いされることなく、永遠の生命をもつ存在としての企業」

前世紀末から今世紀初頭にかけて、日本の資本市場も驚くべき変化を遂げます。 高度経済成長を成し遂げた昭和時代からバブル経済崩壊以前までの経済は、インフレーション(膨張)基調にあり、日本企業の業績も概ね右肩上がりで推移し、新株や社債の発行による資金の調達もスムーズに行われていました。 「ゴーイングコンサーン(「企業が永遠に...

00331_日本企業法務史(5)「シェアホールダーズのみならず、ステークホルダーズをも裏切る、重篤な企業不祥事」の急増

2000年に入ると、雪印乳業の賞味期限切牛乳販売による集団食中毒事件、三菱自動車のリコール隠し事件、カネボウの粉飾決算、西武鉄道の株主名義偽装事件等、大型の企業不祥事が続発しました。 それまでの総会屋への利益供与といった不祥事は、いわば、シェアホールダーズ(株主、投資家)という、特定少数の属性の企業関係者を裏切るもので...

00330_日本企業法務史(4)外資系企業やベンチャー企業の台頭による企業法務プラクティスの進化

1998年に一時国有化された日本長期信用銀行(長銀、現:新生銀行)の売却交渉の際、外資系ファンドであるリップルウッドがウォールストリート流の交渉戦略を駆使し、8兆円超もの公的資金が投入された長銀をわずか10億円で買収しました。 その後、リップルウッドは「譲渡から3年以内に、当初の正常債権の判定に瑕疵が生じ、簿価より2割...

00329_日本企業法務史(3)「事前規制の時代」から「事後監視の時代」へ

護送船団行政全盛時代は、バブル経済崩壊後の1990年代後半頃には終焉を迎え、状況が一変し始めます。 1998年に中央省庁等改革基本法が成立し、2001年をもって、それまでの1府22省庁は、1府12省庁に再編されることになりました。 加えて、このあたりから、規制緩和が推進され、「護送船団行政」やこれを支えてきた裁量行政は...

00328_日本企業法務史(2)護送船団行政全盛時代における「企業の法務課題処理方法」

1980年から1990年代にかけて、企業がトラブルや問題が生じたときに駆け込むのは法務部や顧問弁護士のところではなく、まずは、監督行政機関や業界団体でした。 監督行政機関からの指導に対しては、阿咋の呼吸で伝えられるものも含め、徹底して従うことが企業のリスク管理行動として最も推奨されるものでした。 監督行政機関の見解を糺...

00327_日本企業法務史(1)護送船団時代

日本では、1980年代終わりから90年代なかばころまで、官庁の主導により産業界の育成が図られていた時代が存在しました。 この時代、各業界において競争力が最も欠落した企業であっても維持・存続できるような業界育成が行政の最大のミッションと考えられ、行政機関は、許認可権限やこれに基づく行政指導等の権限(行政裁量権)を駆使して...