00341_個人情報保護における侵害論と損害論:たとえ重篤な違法行為をしても、損害がなければ賠償義務は生じない
個人情報は、個人情報保護法により法律上保護されるべき権利であることが明記されているところ、これを違法に第三者に売り渡しますと、当該行為者は権利侵害行為を行ったことになります。 そして、この行為者が所属する企業についても、個人情報保護法に基づく監督義務違反による社固有の不法行為(民法709条)として、あるいは使用者として...
個人情報は、個人情報保護法により法律上保護されるべき権利であることが明記されているところ、これを違法に第三者に売り渡しますと、当該行為者は権利侵害行為を行ったことになります。 そして、この行為者が所属する企業についても、個人情報保護法に基づく監督義務違反による社固有の不法行為(民法709条)として、あるいは使用者として...
一昔前であれば、個人情報の保護など全く意識されず、各種学校の名簿なんかがごく普通に名簿業者に売買されていました。 会社の従業員も、カネに困ったら、小遣い稼ぎのために会社の顧客名簿を売りさばき、バレたところで、ちょっとお叱りを受ける程度で済んだ牧歌的な時代もありました。 しかし、高度情報化社会が到来した現代にでは、各種企...
発明者ファースト国アメリカでは、特許を受ける権利という考え方がなく、発明をした者しか特許出願できません。 この関係で、アメリカで特許を出願する者は、出願に際し、「当該発明は自分こそが最初の考案者である」という内容の誓約書を同時に提出しなければならないとされ、発明者と出願人の厳格な一致が要求されます。 アメリ...
「特許を受ける権利」すなわち、特許を出願し、特許権の付与を受けることができる者は、特許法上、「産業上利用することができる発明をした者」すなわち「発明者」であるとされています(特許法29条柱書)。 しかしながら、「発明者」とはどのような者を指すかについては明文の規定が存在しません。 学説上は、まず「発明」を「自然法則を利...
ある国で取得された特許権は、登録等を行って別途権利化の手続を取らない限り、他国では特許権としての効力が認められません(特許権における属地主義の原則)。 したがって、国内における登録をしていない、単に海外で登録されただけの特許権は、パクリ放題ということになります。 この点、米国特許法(271条(b)項及び283条)では、...
飲み屋等でよく、「ウチの特許は国際特許だぞ」などということを自慢気に語る中小企業の社長さんがいらっしゃいますが、「世界万国で通用する特許権」などという代物は存在しません。 そもそも、特許権については当該権利が取得された国の領域内においてしかその効力が認められません。 すなわち、ある国で取得された特許権は、登録等を行って...
大きなメーカー同士における共同開発契約であれば、互いの法的武装力に格差はなく、不平等な契約になったり、騙したり、騙されたり、といったことはまず起こり得ないかと思われます。 問題は、大企業と中小企業との共同開発ケースのように、契約当事者間に格差がある場合です。 中小企業においては、「雲の上の存在ともいうべき大企業と共同開...
共同開発とは、複数以上の企業(主にメーカー)の間において、得意な技術分野を持ち合ったり、不得意な技術分野を補完しあい、あるいは既存技術を出し合って新たな技術を生み出す目的で行われる企業間の技術交流・人的交流をいいます。 共同開発の一般的な流れで言いますと、まず、NDA(non-disclosure agreement、...
2019年5月17日付日本経済新聞「中小の知財 大手が奪う 製造業以外でも深刻に 手口も巧妙化、改正法成立で提訴しやすく」と題する記事には、大企業が、巧妙な手口で、中小企業の特許やノウハウなどの知的財産を奪うやり口が克明にかかれていました。 ずいぶん前に経済雑誌で掲載したものですが、私も、同じ問題意識で、企業法務ケース...
当方が特定の技術に関し特許権を有していて、ライバルメーカーの製造販売した商品が当方の商品と似ているからといって、直ちに特許権を侵害したことになるかは定かではありません。 すなわち、特許権があるといっても特定の技術範囲にしか及ばず、しかもこの範囲は、新規性・進歩性という要件をクリアする点から、出願後登録を得るまでの間に著...