00444_逮捕されたら、すぐさま解雇できるか?

例えば、会社がインサイダー取引の嫌疑がかかっている従業員を有罪に違いないと決めつけた上で、そそくさと解雇を行なおうとした場合、この解雇は有効でしょうか。

多くの企業は、就業規則上、
「“有罪”となった場合に解雇可能」
という定めを有しています。

では、いつ
「有罪」
と定まるのでしょうか。

刑事手続き上有罪となるのは、
「刑事裁判において裁判所から有罪判決が出され、上訴等の不服申し立て手続きが尽きて、有罪判決が確定したとき」
です。

逆に、誰しもが有罪と宣告されるまでは無罪と推定される、すなわち
「推定無罪」
として扱う必要があるのです(ちなみに、日本商事のインサイダー事件では、高裁と最高裁を行ったり来たりして、事件の結論が出るまで約9年間かかっています)。

世間では、
「逮捕者イコール犯罪者」
といった報道がなされます。

しかし、マスコミがどのように報道しようが、法律上は、厳然たる
「推定無罪」
の状況にあるのであり、
「有罪」
と決めつけて懲戒解雇することは、労働法上不当解雇となると考えられます。 

それでは、企業は、懲戒解雇をすることができないにもかかわらず、逮捕されたり起訴されたりしている従業員に対して、給料を支払い続ける他ないのでしょうか?

このジレンマを解消するため起訴休職制度があります。

すなわち
「刑事裁判が確定するまで従業員としての身分を保有させながら一時的に業務から排除して、企業の対外的信用の確保と職場秩序の維持をはかり、労務提供の不安定に対処して業務の円滑な遂行を確保する」
制度です(日本冶金工業事件)。

要するに、刑事訴訟の被告人となった従業員を職場で働かせると会社の信用等に甚だしいダメージを与えるとか、従業員の間の不和を生じ職場環境が悪化するような場合、これを防ぐために白黒はっきりするまで休職させておこう、というのが起訴休職制度です。

具体的には、休職事由の1つとして
「刑事上の訴追を受けたとき」
と就業規則に定め、当該従業員を職場で働かせることの不利益等を検討した上で、休職処分をすることになります。

そして、このように
「従業員を職場に出てこさせない」
という休職処分については、一応、
「就労拒否」
の一場面として給料の支払義務の存否が問題となりますが、労働法上、
「使用者には何ら帰責事由がない以上、賃金や休業手当の支払い義務も発生しない」
と解釈されます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00443_オーバーローン状態で劣後順位の抵当権者が競売申立をしても無駄な理由

抵当権者としては、不動産の価格が低迷している時点では、
「もうちょっと待ってみて、不動産価格が上がってから、競売を実施したい」
という希望を持つことがあります。

この場合、自分に優先する抵当権者が競売を実施するのであれば、自分に優先する抵当権者が既に存在することを覚悟して抵当権者となったのですから、まだ諦めがつくかもしれません。

しかし、自分に劣後する抵当権者(つまり、自分の後から、抵当権者となった人です)が、後からやってきて、かつ、自分の債権額全額が弁済されない、不利な時期に、あえて抵当権を実行(競売の開始)してしまう場合には、優先する抵当権者としては、
「ナニ余計なことしてるんだよ!」
ということになりますし、後からやってきた抵当権者に余計なことをされるリスクを敬遠して、抵当権者となる者がいなくなってしまうことになりかねません。

そこで、法律は、
「自分が抵当権を実行しても、自分のところには配当がまわってこない場合」
(つまり、自分に優先する抵当権者も、債権全額を回収できない場合です)
には、
「無剰余」(余りが無いこと)
として、抵当権の実行を禁止しているのです。

無剰余なのにあえて実行を申し立てると、裁判所から、
「無剰余取消」
をされて、競売手続きが取り消されます。

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00442_抵当権とは

抵当権とは、不動産の占有を移転しないまま、債務の担保とした不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利をいいます。

平たくいえば、不動産を借金のカタに入れるが、時が来るまではそのまま使うことが許されるけれども、借金が払えないと(つまり、債務不履行が発生した場合です)、抵当権が実行=競売にかけられてしまって、抵当権者がその代金をもっていってしまう、という制度です。

この抵当権には第1順位、第2順位と、順位付けをすることができて、順位が優先する者から、登記簿上記載された額に達するまで、債権を回収できます。

例えば、第1優先順位の抵当権者が1千万円、第2優先順位の抵当権者が500万円の抵当権を持っている場合で、その土地が1200万円で実行=競売されたとすると、第1優先順位の抵当権者は1千万円全額を回収し、第2優先順位の抵当権者は200万円しか回収できません。

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00441_トラック運転手やバス運転手に仕事をさせすぎ、事故を起こしたことで、社長が処罰されるリスク

道路交通法は、
「何人も、(中略)、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」
と規定し、これに違反した者に対しては、
「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」
を科すなどして、過労運転等を禁止しています(道路交通法第66条、第117条の2の2第5号)。

「自動車」
というものは、時には数トンもの荷物を積んで、時速100キロ超で移動する鉄の塊なわけですから、ちょっとした体調不良や疲れがその運転に及ぼす影響は大きく、その影響が招来する事故の規模も、時としてトンデモナイ大事件となります。

そこで、法は、罰則を設けてまで、このような
「正常な運転ができないおそれがある状態」
での運転を禁止し、トンデモナイ大事件を未然に防ごうとしているのです。

ところで、便利とはいえ、存在自体に危険をはらむ自動車ですから、その運転者だけに
「運転するときは体調管理をしっかりせよ」
といった義務を課しても、自動車の運転が会社の業務として行われているような場合には業務命令を拒否することもできませんので、これでは実効性を欠いてしまいます。

そこで、道路交通法は、自動車を実際に運転する
「運転者」
だけではなく、運送会社など、業務上、自動車を使用する(させる)者などに対しても、
「その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、『過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転すること』を命じたり、これらの行為をすることを容認したりしてはならない(道路交通法75条4号)」
ことを義務付け、いわゆる
「過労運転の下命」
を禁止しているのです(これに違反した場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます〈道路交通法117条の2の2第7号〉)。

実際に、昨年の6月、大阪府茨木市の名神高速で2人が死亡するなどした玉突き事故で、
「大型トラックの運転者が、過労で正常に運転できない恐れがあると知っていたにもかかわらず、愛知県豊橋市から兵庫県たつの市への建材の運搬などを命じた」
として、勤務先である運送業者の所長らが、道路交通法上の
「過労運転の下命」
を理由に逮捕されるといった事件が発生しています。

この事件では、大型トラックの運転者は、週のうち6日間は1日約700キロの運転をし、車内での寝泊まりを余儀なくされていたとのことで、業務管理上の問題も指摘されています。

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00440_職務著作(法人著作)として、作品著作権を企業が有無を言わさず「お召し上げ」できる「業務従事者」の範囲

例えば、観光ビザで来ていた外国人に会社の仕事を手伝わせた際できあがった作品を
「職務著作(法人著作)」

「お召し上げ」
できるか、というケースを考えます。

「観光ビザで来ていたんだし従業員の訳がない!」
などという文句が付けられた場合、当該外国人が、
「業務に従事する者」
に該当するかどうかが問題となります。

一般的に当該要件は、雇用関係にある従業員や役員であれば問題なく該当するとされていますが、この場合、明確な雇用契約の締結もないようです。

このような場合であっても、形式だけを見て職務著作の成否を考えるのではなく、前記の職務著作制度の意義から実質を検討しなくてはなりません。

実際、同種事例において最高裁は、
「指揮監督下において労務を提供するという実態にあり、法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して判断すべき」(最高裁2003<平成15>年4月11日判決)として、形式ではなく実質を見るべきであると判断しています。

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00439_職務著作とは

職務著作(法人著作)とは、従業員が創作した著作物について、使用者である企業に「著作者」の地位を直接与える制度です(著作権法15条)。

特許法にも類似の制度(職務発明)がありますが、こちらはあくまでも
「発明者」
は発明を行った当該従業員であり(発明者主義)、
「職務発明と認められる場合には会社が相当な対価を従業員に支払って特許を承継する」
にすぎず、法人がいきなり
「著作者」
となる(こういう取扱の特許法制を出願者主義といいます)職務著作とは大きく異なっています。

このように著作権法において、著作者が
「会社」
とされているのは、会社のコスト負担の下で著作物が創作されているという経済実態はもちろん、
「著作物をライセンスする等のさまざまな利用場面では、権利者を法人にしておくほうが権利処理を簡素化できるし、便宜である」
ということに理由を求められるでしょう。

さて、職務著作となる要件についてですが、著作権法第15条1項を整理すると、
「1 著作物が法人等の「発意」に基づいて作られたものであり、
2 これが「法人等の業務に従事する者」によって、
3 「職務上」作成された著作物であって、しかも、
4 法人等が「自己の著作の名義」の下に公表する
ものであること」
が要請されています。

もちろん、雇用契約等で著作権の帰属について別途の定めがあれば別ですが、基本的には、
「使用者である企業が『~を作れ!』と従業員に命じて作らせ、その著作物に企業名を付して発表する予定」
であれば、職務著作が成立し、著作者は会社となる、と考えることができます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00438_「惻隠の情」から、取締役のミスの責任追及をあえて差し控えると、連帯責任のリスクが生じうる

取締役は、会社と委任契約を締結した受任者としての立場をもちます。

この義務の内容・水準は、
「医者の患者に対する義務」

「弁護士の依頼者に対する義務」
と同様のものと理解されており、取締役は、
「経営の専門家」
として、プロフェッショナル水準にて会社の利益を守る義務を負っています(善管注意義務。会社法330条、民法644条)。

この義務のひとつとして、取締役は、会社の財産を適切に管理・保全する義務を負っているとされます。

会社の財産が債権である場合には、適切な方法によってこれを管理するとともに、回収を行う義務を負っているとされます。

会社がある債権を有しており、ある時期においてその回収が可能であったにもかかわらず、取締役が適切な回収を実施せず、かつ、そのことに過失が認められる場合には、取締役の善管注意義務違反として、会社に対して損害賠償責任を負担することになります(会社法423条1項)。

では、具体的に、いかなる場合に、取締役が
「適切な回収を実施」
しなかったといえるのでしょうか。

「会社に債権があるが、債務者が支払わない場合にはとにかく訴訟を提起しなければならない」
というのでは、会社は勝訴する見込みもなかったり、あるいは、勝訴しても、相手が無一文で回収できない場合にすら訴訟を提起しなければならなくなり不合理といえます。

すなわち、
「訴訟を提起するか否か」
については、ビジネスジャッジメントとして、
「経営のプロ」
である取締役に、訴訟提起に伴うメリットデメリットを判断させる裁量(経営裁量)を与える必要性もあります。

この点、東京地裁2004年7月28日判決は、
「1 債権の存在を証明して勝訴し得る高度の蓋然性があったこと
2 債務者の財産状況に照らし勝訴した場合の債権回収が確実であったこと
3 訴訟追行により回収が期待できる利益がそのために見込まれる費用等を上回ることが認められること」
という要件を定立し、これらが充足されるにもかかわらず、取締役が提訴を放置した場合には、会社財産たる債権の適切な維持・管理を怠ったとして、善管注意義務違反を構成すると判示し、これは、東京高裁、最高裁でも支持されています。

つまり、
「勝訴が見込め、相手に財産があって回収でき、回収額が訴訟費用よりも上回る場合」
には、取締役は訴訟を提起すべきである、としているのです。

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00437_会社私物化をした場合に役員個人が負うべき刑事責任リスク

役員が自分が企業から融資を受けるという場合、民事上、取引の有効性が否定されることや、役員が損害賠償責任を負うことに加え、刑事罰を受けるリスクまで想定すべきなのでしょうか。

「会社を取り巻く多数の利害関係者を調整する」
という目的を有する会社法は、役員による会社の私物化行為について、民事的な責任に加え、刑事罰による制裁を予定しています。

すなわち、会社の役員が、
「自己もしくは第三者の利益や会社に損害を与える目的」

「その任務に背く行為」
をし、
「会社に財産上の損害を加えた」
とき、特別背任罪として、厳しい処罰される可能性があるのです。

特に、会社が株式公開している場合、他のスキャンダルが追及される過程で、この種の
「微罪」
が出てくると、
「合わせ技一本」的
な政争の具として、使われる場合もあります。

その意味では、
「オーナーが会社からちょいと寸借したくらいで、ブタ箱行き」
ということは普段はありませんが、他の事件や事故の責任が追及するタイミングで、この種の話が出てくると、刑事責任リスクが高まることもあり得ます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00436_役員と会社がカネの貸し借りをする際の法的リスク

取締役は、会社に対して善管注意義務を負っています。

これは、
「会社の利益を最大限にするように、取締役として全力を尽くすように」
という、会社と取締役との間の委任契約に根拠を有しています(会社法330条、民法644条)。

また、この義務は、別名、会社に対する
「忠実義務」
ともいわれるものであり、会社の利益を横取りするなどして会社を裏切るようなことは法令違反とされています(会社法355条)。

そして、役員が会社からの借り入れる取引については、
「有利な条件で融資を受けたい取締役の思惑」

「確実な担保を取り、高い利息を設定したい会社の利益」
とが矛盾・衝突する契約(利益相反取引)となります。

このような会社の利益を損ねる危険性のある取引を行うには、当該会社の取締役会等の法定機関で当該取引を承認する決議を経由すべきことが法律上要請されています(会社法356条、365条)。

オーナー経営者がよくやりがちな、
「借り方が、あまり合理性がなく、はちょっと強引なやり方」
といった場合、この種の手続きを経由していない可能性もあり、取引の有効性自体に疑問が残るところです。

もっとも、株式を当該オーナーが100%所有していれば、誰の目も気にすることなく、やりたい放題といったところですが、外部の第三者に株式をもたせていたり、株式を公開していると、大きな問題に発展する場合があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00435_定期賃貸借制度が、不動産オーナーにとっての大きな意味と価値をもつ理由

借地借家法の規定だと、何だかいつまでも更新が繰り返されてしまいそうですし、実際に、裁判例も、借りる側に有利になるよう、
「正当事由の存在」
についてとても厳しく判断しており、これでは、逆に不動産オーナーにとってあまりに不当な結果となりますし、これでは、優良不動産の有効活用ができなくなってしまいます。

そこで、借地借家法において、“例外の例外”ともいうべき
「定期賃貸借」制度
が設けられるようになりました。

これは、賃貸借契約期間を一定期間とする契約で、一定の要件を充足した定期借家契約は、どんな理由があっても更新は許されない、というものなのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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