01435_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>相手方の特定

「証拠保全」手続
等の一部の法的手続を除き、民事手続では、相手方を特定した上で、裁判所に対し、自己のどのような権利を実現して欲しいかを明示しなければなりません。

そのため、裁判所は民事手続による解決を求める者に対し、当該告知を行うべき者を特定するよう求めます。また、単に、
「山田太郎」
と特定するだけではなく、当該
「山田太郎」
に対し、
「この度、あなたにとって不利益な結果となる可能性のある民事手続が開始されます」
旨を記載した文書(通常、「訴状」や「申立書」といいます)を郵送でき、同人が受領することができる場所を合わせて特定しなければなりません。

この点、大手プロバイダであれば、相手方の氏名や住所を特定することも容易かと思われますが、中小零細のプロバイダの場合、まず
「ホームページや掲示板を管理しているインターネットサービスプロバイダを特定する」
作業を実施する必要が出てきます。

また、プロバイダに対する法的手続ではなく、
「当該プロバイダが提供しているサービスに基づきウェプサイトを作成したり、掲示板を管理したりしている者」
に対して法的手続を行う場合には、
「プロバイダに対する発信者情報請求」
等により当該ウェブサイト作成者や掲示板管理者を特定する作業が必要となります。

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01434_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>手続の選択

「インターネットを利用した違法な攻撃」
への法的な対応策としては、大きく分けて、民事手続と刑事手続に分けることができます。

民事手続としては、発信者情報の証拠保全手続、発信者情報開示の仮処分手続及び発信者情報開示請求訴訟、書込み等削除の仮処分手続及び書込み等削除請求訴訟、各種損害賠償請求訴訟等があります。

刑事手続としては、犯人(被疑者、被告人)に対する刑事罰の適用を求める刑事告訴手続があります。

このように複数の法的手続がある中で、どの手続を選択し実行すべきかについては、個々の事例ごとに異なるところです。

一般的には、

1 民事的解決:被害(社会的経済的信用の毀損)の回復を図ることを優先すべきか、

あるいは、

2 刑事的解決:書込み等を行った者を特定し、その者が処罰されることを事件解決のための優先課題とすべきか、

という観点から法的手続の選択の方向性を定めることになります。

なお、1の民事的解決は、被害を金銭によって回復するのか、あるいは、書込み等の削除をもって直裁的に被害の回復に努めるのか、という観点からさらに詳細な法的対応の方向性を定めることになります。

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01433_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>トラブルの認知・発見段階

トラブルの認知・発見段階におけるネットトラブル予防対策のポイントとしては、まず、
「インターネットを利用した攻撃」
を迅速に認知し、発見することが重要です。

特に、
1 新規ビジネスの立ち上げ
2 新商品の販売
3 新サービスの開始
4 役員の変更
5 決算等、各種重要IRの後
6 業務提携・合併・新株発行等の重要事実の発生
7 就職活動時期
等の前後には、定期的に新商品の名称、企業名、役員名等で、インターネット上のキーワード検索を行う必要があります。

もちろん、かような作業を継続することは、企業にとって貴重な人的資源を割かれることにもなりますので、インターネット・パトロールを専門に行う業者に依頼する方法も考えられます。

一概には言えませんが、

1 料金体系が明示されている(インターネット上のウェブサイトでは、「御見積をします。まずはご連絡ください」といった表示が目立ちますが、見積を依頼しても料金体系が明示されていなければ、果たして「同じサービスを依頼する場合、どの企業が依頼しても常に同じ値段になるのか」がわかりませんし、他の業者と比較もできません)

2 機械による自動監視だけでなく、人による「目視」による監視も行われている(プログラムの向上により該当キーワードの検索パフォーマンスも向上しているようですが、わざと該当キーワードの一部が変更されている場合(例:「ワタナベ ツヨシ」→「ワタナヘ シヨツ」)等への対応には限界があるようです)

3 「必ず削除できます」といったことを必要以上に強調していない(プロバイダや掲示板の管理者等が策定する自主的な削除ルールによるか、法的手続によらない限り、書込み等を削除する方法はありません<無論、見えなくする方法はあります>。当該掲示板を格納しているサーバをハッキングして、不法に進入し削除する等といった方法は、法律により罰則をもって禁止されています)

といった点をチェックするのも良いでしょう。

また、企業内関与者の可能性も検討しなければなりません。

すなわち、新商品や新サービスに関する未発表の情報や企業内の不祥事等がインターネット上に漏出し、これが原因となって違法な書込み等が相次いでいるような場合には、企業内の者による書込み等であることを疑う必要があります。

従業員に守秘義務を課している企業であれば当該守秘義務違反の問題が生じますし、情報の取得態様如何によっては、不正競争防止法違反として刑罰に問われる可能性もあります。

そこで、企業内にて調査委員会等を設置し、全従業員から
「調査同意文書」
等を入手し、ITの専門家の協力の下、徹底した調査を実施すべきです。

なお、たとえ、インターネット上に漏出した情報が企業内の不祥事を構成する可能性があったとしても、従業員が当該情報をインターネット上に漏出する行為は、それとは別の問題である、として対処する必要があります(当該「不祥事」自体は許容されるものではありませんが、従業員が認知した不祥事が事実かどうかはいまだ検証の必要がありますし、また、仮に不祥事が事実であったとしても、従業員の判断として、企業の自浄プロセスによる解決の可能性を頭ごなしに否定し、いきなり第三者に情報開示して企業を窮地に陥らせる行為に及ぶことは、法的には問題なしとできません)。

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01432_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>ビジネスの構築・運営段階

2010年9月7日、中国漁船が日本の領海である沖縄県尖閣諸島付近で違法操業し、その後日本の海上保安庁の巡視船に衝突するという事件が発生しました。

政府は、中国との外交関係に配慮し、この衝突事件の映像を秘匿しようとしましたが、同年11月、sengoku38を名乗る者が当該衝突事件の映像をYouTube上にアップロードを行いました。

その後、この sengoku38を名乗る者は海上保安庁に勤める現役の海上保安官であることが判明し、社会的事件に発展しました。

以上は政府機関におけるトラブル事例ですが、企業におけるネットトラブルにおいても、
「ネットトラブルの原因となった誹謗中傷の発信者を調べてみると、その実施主体が、実は当該企業内部の従業員であった」
ということが相当数見受けられます。

このような事態を予防するため、企業としては、従業員に対し、情報を統制することの重要性の理解に努めるほか、従業員一人ひとりから守秘義務誓約書を提出させるなどして、日頃から情報保秘の必要性、重要性につき理解・認識させる必要があります。

また、情報管理の観点から、場合によっては、従業員のパソコン使用状況を調査したり、電子メールの閲覧を行ったりすることも必要となります。

なお、従業員によるパソコン使用状況の調査については、
「パソコンは会社の資産であって私物ではないから、会社が会社の資産の運用状況を調べるのは当然である」
という論理も成り立ち得ますが、調査の可否についてはプライバシーの問題と密接に関わっており、
「会社による利用状況のモニタリングが無条件、無限定に可能というわけではなく、従業員のパソコン使用状況を調査することがプライバシー権侵害となりうる」
というのが一般的見解です。

実際、従業員の私用メールを上司が無断で閲覧した事件において、東京地裁平成13年12月3日判決は、
「監視目的、手段およびその態様等を総合考慮し、監視される側に生じた不利益を比較衡量の上、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合に限り、プライバシー権の侵害となると解することが相当である」
と判断しています。

もっとも、従業員から、予め
「必要かつ相当な範囲において会社が、私のパソコン使用状況を調査することに同意します」
旨の文書を徴収しておけば、後々、従業員からプライバシー権侵害云々の主張をされることを、ある程度、防止することもできます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01431_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ

ネットトラブルを予防・抑止するための組織設計上の戦略的対応を考える上で、例えば、下記のようなネットトラブル事例を検討してみます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

以上のネットトラブル事例については、
「かつて不祥事を起こして事業廃止した企業」
の支配株主であった者が、ストレートに新しい企業に出資したことが暴露され、これがトラブルの根本原因となっています。

このようなトラブルに関しては、ビジネスの設計・企画段階において一定の工夫をすることで、 トラブルそのものを予防・抑止することが可能です。

具体的には、ネット上の誹謗中傷を誘発しやすい
「かつて不祥事を起こして事業廃止した企業」
の支配株主であった者が事業を立ち上げるような場合であっても、当該オーナーがストレートに新しい企業に出資するといった単純な組織設計によらず、例えば、民法上の組合を組成し同組合の名義で出資したり、第三者と匿名組合契約を締結し当該第三者の名義で出資するなどの方法を採用したりすることにより、新しい企業の実質的支配者(大株主)が誰であるかを秘匿し、これによりオーナーの素性を原因とするネットトラブルを予防・抑止することが可能となります。

また、
「かつて不祥事を起こして事業廃止した企業」
の取締役を新しい企業の取締役に就任させるようなことはあえて避け、どうしても当該人物の経営手腕を必要とするのであれば、新しい企業との間で経営委託契約等を締結し、例えば
「(実質)オーナー兼顧問」
といった形で、その経営手腕を活かしてもらう、といった方法も考えられます。

以上は一例に過ぎませんが、ビジネスの設計・企画段階において戦略的な事業設計を行うことにより、無用なネットトラブルを効果的に回避しうるケースは少なくありません。

いずれにせよ、これからは、企業が事業を構築する上では、“ネットトラブルに巻き込まれるリスク”を折り込んだ、多角的な検討が必要になる、といえます。

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01430_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理

1 捜査機関のインターネットトラブルに関する窓口

インターネットなどのネットワークを利用した脅迫事件や名誉棄損事件が2000年から増加傾向にあることを受け、警察庁は同庁生活安全局内にインターネットトラブルに関する専門部署を設け、窓口やインターネット上で情報の提供を行っています。

また、2000年、警視庁は、それまでの同庁ハイテク犯罪対策センターを拡充し、生活安全部内に
「警視庁ハイテク犯罪対策総合センター」
を設置し、さらに2011年4月1日に
「サイバー犯罪対策課」
と名称変更し、
「ハイテク犯罪に係る総合的対策」
「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」
「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」
「高度な情報技術を利用する犯罪の取締り」
に関する任務の一環として、情報の提供や各種のインターネット上の被害の相談業務を行っています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

また、警視庁と同様、全国の警察本部もそれぞれサイバー犯罪相談窓口を設置し、情報の提供や相談業務を行っています(各都道府県におけるサイバー犯罪相談窓日の一部を紹介)。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

2 一般財団法人インターネット協会

インターネットの発展、国民生活の向上等を目的として2001年に設立された一般財団法人インターネット協会は、インターネットホットライン連絡協議会を設置し、インターネット上の違法・有害情報の相談業務を行ったり、情報を提供したりしています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

3 法務省人権擁護局

法務省人権擁護局は、インターネット上の掲示板やウェブサイト等で誹謗中傷を受けるなど、個人や企業の名誉が毀損された場合の救済手続に関する相談や情報を提供したりしています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

4 一般財団法人電気通信事業者協会・一般財団法人テレコムサービス協会・一般財団法人日本インターネットプロバイダー協会

3つの協会は、共同で
プロバイダ責任制限法関連情報WEBサイト
を立ち上げ、プロバイダ責任制限法に関する情報や、インターネット関係の各種ガイドラインに関する情報を提供しています。

5 企業ネット被害対策協議会

企業ネット被害対策協議会は、企業のネットトラブルのリスクや実務的対応策について総合的な研究や臨床対応を実施する組織で、定期的に研究会合や実務的知見の発表等を行っています。

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01429_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>児童ポルノに関する規制措置

児童ポルノのインターネット上での流通防止を目的として、2011年4月21日から、インターネットコンテンツセーフティ協会(安全なインターネット環境の実現を目的として設立された一般社団法人)に参加するプロバイダや検索サービス業者、フィルタリングサービス業者が、自主規制措置の形で

1 プロバイダが実施する特定サイトヘのアクセスを強制的に遮断する「ブロッキング」
2 検索サービス事業者が実施する特定サイトの「検索結果非表示」
3 フィルタリングサービス事業者が実施する特定サイトヘの「フィルタリングによるアクセス制限」

などの措置を開始しています。

運営管理コード:CLBP602TO602

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01428_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>金融商品取引法(相場操縦罪)

相場操縦行為とは、第三者に有価証券の売買(上場有価証券、店頭売買有価証券、取扱有価証券の売買に限られる)やデリバティブ取引が頻繁に行われているといった誤解させるなどの目的で行う行為をいいます。

この点に関し、金融商品取引法159条は、仮装売買、馴合売買、変動操作、見せ玉、市場操作情報の流布、虚偽情報による相場操縦や安定操作取引を
「相場操縦行為」
として処罰しています。

「相場操縦行為」
に対する刑事罰は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又は併科であり、
「財産上の利益を得る目的」
で上記の行為を行った場合や、有価証券等の相場を変動させるなどした場合には10年以下の懲役及び3,000万円以下の罰金となっています。

名誉棄損罪と比較しても極めて重い刑罰が科されることになります。

企業ネットトラブル対策法務に関して言えば、株価の変動を目的としてインターネット上の掲示板やウェブサイトヘ企業の虚偽情報(例えば、「近々発売される商品には重大な欠陥がある」、「A社は、1週間後に破産申立をするようである」といった虚偽情報)を掲載する行為等が、市場操作情報の流布や虚偽情報による相場操縦に該当すると考えられます。

運営管理コード:CLBP601TO602

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01427_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>不正アクセス行為の禁止等に関する法律

不正アクセス行為とは、

1 電気通信回線(インターネット、LAN回線等)を通じて、アクセス制御機能を持つパソコン、サーバ等にアクセスし、他人の識別符号(パスワード、生体認証情報等)を入力し、アクセス制御機能(認証機能)を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為(例:インターネットを通じて、プラウザの認証用ページから他人のユーザー名とパスワードを勝手に使ってログインする行為)

2 電気通信回線を通じて、アクセス制御機能を持つパソコン、サーバ等にアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力し、アクセス制御機能を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為(例:インターネットを通じて、コンピュータウィルス等を使用して、勝手に使ってログインする行為)

3 電気通信回線を通じて、アクセス制御機能を持つ他のパソコン、サーバ等により制限されているパソコン、サーバ等にアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力し、アクセス制御機能を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為(例:2と同じだが、不正アクセスを行うパソコン、サーバ等のバックエンドに認証サーバがある場合)
をいいます。

なお、
「電気通信回線(インターネット、LAN回線等)」
を使用せず、直接、パソコン、サーバ等の前で認証を突破する行為は不正アクセス行為にはなりません。

また、本来なら制限されている機能を利用可能な状態にすればよく、データを盗み出したり改ざんしたりせずとも、不正アクセス行為に該当することとなります。

当該不正アクセス行為を行った者に対しては、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることとなります。

運営管理コード:CLBP600TO601

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01426_ネットトラブル対策法務>ネットトラブル対策法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>刑法(名誉棄損罪)

名誉棄損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する罪であり、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が科されます。

なお、ここでいう
「人」
は、自然人に限らず、企業や団体等の法人も含まれます。

次に、
「公然と」
とは、多数又は不特定のものが認識しうる状態をいいます。

例えば、多数人が集合している場で誹謗中傷を行うのが一般的ですが、会議室やトイレ内での会話のような少人数に対する発言であっても、それらの者がさらに別の者に伝達する可能性があれば、
「公然と」
に該当する場合があります。

企業ネットトラブル対策法務に関して言えば、インターネット上の掲示板への書込み等が
「公然と」
に該当するかが問題となりますが、インターネット上の掲示板は、インターネットに接続している者であれば誰でも常時間覧することができますし、またインターネットという性質上、潜在的には世界中の人が閲覧することも可能ですので、
「公然と」
に該当すると考えることができます。

また、
「事実を摘示(する)」
とは、人の社会的評価を害するに足りる
「事実」
を指摘することを言い、当該事実が真実であるかどうかは関係がありません。

したがって、単に
「Aはバカだ」
「C社はむかつく」
といった発言だけでは名誉棄損罪は成立しません。

真実であるか否かは別として、例えば
「Aは、試験に10回連続落ちるほど幼稚園児レベルの頭脳だ」
「C社は社長の愛人に支配されており、取締役会は全く機能していない」
等のように、具体的事実が記載されていることが名誉棄損罪の成立には必要とされるのです。

なお、憲法21条が保障する
「表現の自由」
と、人の
「名誉権」
の保護との調整を図るため、刑法230条の2は、名誉毀損行為が
「公共の利害」
に関する事実に係るもので、専ら
「公益を図る目的」
であった場合には、摘示した事実が真実であることを証明させることで免責とする旨定めています(この証明に成功すれば、たとえ名誉棄損行為を行った場合であっても、無罪となります)。

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