01364_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>私的整理>中小企業再生支援協議会

中小企業再生支援協議会は、産活法の規定に基づいて各都道府県に設置されており、中小企業の再生支援を実施しています。

基準を満たす企業については、私的整理に必要となる再生計画策定の支援を実施します。

中小企業再生支援協議会の再生計画に従った債権放棄については、
「私的整理ガイドライン」
と同様に、税務上損金算入されるものと考えられています。

なお、
「私的整理ガイドライン」
においては、再建計画の内容として
「3年以内を目処に実質的な債務超過を解消する」
ことが求められていますが、中小企業再生支援協議会の再生計画においては、これが
「3年から5年以内」
と緩和されています。

ただし、中小企業再生支援協議会の再生計画では、再生計画の終了年度における有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下となる内容が求められています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01363_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>私的整理>事業再生ADR

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)により法務大臣の認証を受け、さらに、経済産業大臣から産活法上の認定を受けた者(特定認証紛争解決事業者)が、債権者債務者間の和解(私的整理)の仲介を実施する手続をいいます。

2011年4月現在、
事業再生実務家協会

「特定認証紛争解決事業者」
に認定されています。

事業再生ADRの手続は
「私的整理ガイドライン」
と類似していますが、事業再生ADRは、
「私的整理ガイドライン」
とは異なり、主要債権者の主導ではなく、特定認証紛争解決事業者が選定した手続実施者が、債務者の事業再生計画案への助言をなす一方で、公正中立な立場から債権者らに対する調査報告書を作成します。

債権者会議において全債権者が再生計画案に同意すれば、その時点で私的整理が成立して、計画に従った弁済が実施されます。

事業再生ADRにおいても、債権放棄をした債権者については、資産の評価損を損金算入することができると考えられています。

もし、全債権者が再生計画案に同意しなかった場合には、特定調停ないし法的再生手続に移行することになります。

なお、事業再生ADRが不調に終わり、裁判所における特定調停手続に移行した場合には、通常は複数の調停委員が調停を実施するのが原則であるところ、裁判所は、ADR手続が既に実施されていることを考慮した上で、単独の裁判官のみによる調停を行うことを選択できるため、手続を早く進めることが可能になります(産活法49条)。

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01362_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>私的整理>私的整理ガイドライン

私的整理において、手続選択の概ねの目安としては、次のように対応するものとされています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

私的整理は企業価値の毀損を防ぎやすいというメリットがありますが、他方で、公平な第三者たる裁判所の介入がないために、その手続が不透明かつ不公平となりがちであり、債権者の理解が得にくいという弱点を持っています。

また、税務上も、債権者による債権放棄は寄付金と認識されて、損金算入ができないことが多く、債権者が私的整理に協力するインセンティブを減少させる理由ともなっています。

そこで、
「金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題の一体的解決」
を目指して、金融界・産業界の代表者と中立公平な学識経験者らにより、法律としてではなく、自発的に尊重され遵守されることが期待される一般的コンセンサスとして、2001年に、
「私的整理に関するガイドライン」(私的整理ガイドライン)
が公表されました。

このガイドラインに沿った私的整理については、
「合理的な再建計画に基づく債権放棄等」(法人税法基本通達942)
として、税務上損金算入されると考えられています。

このガイドラインは全ての私的整理の準則となるわけではなく、要件を満たす企業のみが、このガイドラインによる私的整理を申し出ることができるとされています。

しかしこの要件が厳しいことから、私的整理を決断するタイミングが遅れると、利用が難しくなります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

この要件を満たす企業が主要債権者(メインバンクであることがほとんどです)に対して、経営困難に至った状況等の資料及び再建計画案を提出するとともに、このガイドラインによる私的整理を申し出ると、私的整理が開始されます。

以後、主要債権者は再建の見込みの存否等を検討して、このガイドラインに従った手続を進めるか否かを判断します。

手続を進める場合には、主要債権者の主導のもと債権者会議が開催され、対象となる債権者全員が再建計画案に同意する旨の書面を提出したときに、再建計画が成立し、以後、当該計画に従って弁済がなされることになります。

もし、対象債権者全員の同意が得られなかったり、再生計画を履行できなかった場合には、債務者は、法的清算手続を開始しなければならないとされています。

私的整理ガイドラインは、主要債権者(メインバンク)が主導することを念頭に置いており、メインバンクが対応できる事例以外への適用が困難であるという弱点があります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01361_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>法的整理>特定調停法

特定調停法(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律)は、
「支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため」、
債務者と債権者との間で、債務の一部免除や弁済期限の変更、担保関係の変更等について行う調停手続を定めています。

裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合で相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができます(民事調停法17条、特定調停法20条)。

これについて、当事者が2週間以内に異議を出さなかった場合には、決定は裁判上の和解と同一の効力を有することになります。

このように特定調停は、当事者間だけで実施している私的整理に進展が見られず、あとは法的整理にならざるをえないという状況において、公平な第三者たる裁判所が介入することで、事態を打開するツールとして機能する可能性があります。

日本においては
「裁判所」
に対する信頼が厚いため、当事者同士の話合いでは埒があかなかったものが、特定調停において短期間で調停が成立する、という事例も存在すところです。

さらに、特定調停の場合には、裁判所は、一定の要件のもと、特定調停の目的となった権利に関する民事執行の停止を命じることができるとされています(特定調停法7条)。

工場など、事業継続に不可欠な資産が担保となっている場合に、活用できる可能性があります。

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01360_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>法的整理>会社法(特別清算)

破産法と同様に、再建ではなく、清算を目的とします。

適用対象は、
「清算株式会社」(解散後、清算中の株式会社をいいます)
であるため、この手続を利用するためには、株主総会を開催して解散決議をすることが必要となります。

清算手続には清算人があたることになりますが、この清算人は、原則として、従前の取締役が就任します(会社法478条1項)。

ただし、特別清算を行う清算人には公平誠実義務が法律上課せられ(同法523条)、その清算事務は裁判所の監督に服することになります(同法519条1項)。

債権者集会において、債権者の権利の内容を変更する協定が多数決(出席した議決権者の過半数及び出席した議決権者の議決権の総額の3分の2を超える議決権者の同意)で可決され、当該協定について裁判所の認可を受ければ、債権者(正確には協定債権者)との関係で効力を有します。

したがって、特別清算は、一部の債権者が反対するために私的整理が不可能な場合、効果を発揮することがあります。

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01359_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>法的整理>破産法

民事再生法、会社更生法と異なり、再建ではなく、清算を目的とします。

法人個人を問わず、適用されます。

裁判所が選任した破産管財人のみが、破産者の有していた財産の全てについて管理処分権を持ち、経営者は経営者の地位から退くことになります。

破産管財人が破産者の全資産を管理して債権者への公平な配当を実施するため、破産者による
「資産隠し」

「不公平な弁済」
が発生する可能性が低く、債権者の信頼が得られやすい清算手続です。

運営管理コード:CLBP512TO512

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01358_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>法的整理>会社更生法

民事再生法と異なり、株式会社のみに適用されます。

抵当権などの担保権や公租公課であってもその行使を制限して強力に再生を推進することができるというメリットがある反面、かかる強力な再生について手続的な正当性を確保するために、外部からの重厚的な介入がなされることになります(その分、手続的負担や費用的負担も重いため、かかる負担に耐えられる規模の株式会社でなければ、利用することが難しい手続です)。

更生計画においては、通常、会社が発行済株式の100%を株主から無償で取得して償却する、いわゆる100%減資が実施されて、従前の株主は株主の地位を喪失します。

また、民事再生法とは異なり、経営者は交代することが原則となります。

とはいえ、会社更生は、前述のとおり、
「担保権をも吹き飛ばすことを可能とする強力な内容」
を有する制度であることから、手続そのものが厳格であり(後述の債権者同意要件等)、遂行負担が重いため、
「当該会社を存続させることが、社会的な損失を防ぐためにも必要である」
のような大企業を想定しています(最近では、日本航空や、武富士の例があります)。

なお、これまで
「使いづらい」
とされてきた会社更生手続について、いわゆるDIP型会社更生手続や、商取引債権一般を保護した会社更生手続の運用が開始されています。

会社更生においては、更生債権の債権総額の過半数の同意及び更生担保権者(抵当権等の担保権を有する債権者)の債権総額の4分の3以上(担保権の額を変更する場合)の同意があった場合には、更生計画が可決され、以後、更生計画に従った弁済を実施することになります。

更生計画が否決された場合には、更生手続は廃止となって終了し、裁判所は、破産手続開始の原因となる事実があるときは、職権で、破産手続開始の決定をすることができます。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01357_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>法的整理>民事再生法

会社更生法と異なり、株式会社以外の法人(学校法人や医療法人等も含みます)ばかりでなく、個人にも適用されます。

さらに、会社更生法と異なり、迅速な再生を図るために、簡易な手続をメニューとして用意しています(簡易再生や、さらに手続を簡易化した同意再生など)。

また、原則、経営者は交代しないでそのまま経営を行うことができるため、
「誰が経営者であるか」
が重要となる中小企業(「あの経営者だからこそ、あの会社には価値がある」というケースが多々存在します)においては、非常にメリットとなります。

このように簡易迅速な手続のメリットがある反面、会社更生法と異なり、抵当権などの担保権が付された債権や公租公課については、再生手続とは関係なく、債権者から取り立てられることになります。

したがって、例えば、事業継続に必須な工場等に抵当権が設定されており、当該債権者との間で抵当権の実行をしないことについての話合いの見込みがない場合などは、利用が困難な手続となります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

民事再生においては、議決権者(債権者集会に参加した債権者)の過半数の同意及び債権総額の過半数の同意があった場合には、再生計画が可決され、以後、再生計画に従った弁済を実施することになります。

再生計画が否決された場合には、再生手続は廃止となって終了し、裁判所は、破産手続開始の原因となる事実があるときは、職権で、破産手続開始の決定をすることができます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01356_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本

1 迅速かつ適切な決断の必要

企業の破綻は急激に発生するものばかりではなく、相当以前の段階において、その兆候が出ていることがあります。

経営者及び法務担当者は、財務担当者と情報を共有し、問題が生じた場合には、即座に弁護士、会計士、税理士等の専門家らとともに自らが採用しうるメニューを検討し、傷口が大きくなってしまう前に、適切な対応策を採用するというのが、対応の基本となります。

2 失敗例

(1)再建の時機を逸するケース

銀行が新たな融資を渋って資金繰りに問題が生じた場合、
「甘い返済の見通しのもと、経営者の家族や親戚を保証人として貸金業者等から借り入れてその後返済不能となり、遅まきながら専門家に相談した時には、既に、保証人ともども、破産以外の道がなくなっている」
というケースが往々にして見受けられます。

高利の貸金業者等からの借り入れは、一時的なその場凌ぎの対応策にすぎないばかりか、折角の再建のチャンスを自ら放棄してしまうことにもなりかねません。

高利で新たな融資を受ける際には、
・当該融資を確実に返済できる事業計画があるのか、
・その他に私的整理などの再建方法はないのか
等について、十分な検討を行うべきです。

(2)不適切な(自称)専門家に相談し、傷口を広げるケース

弁護士等の専門家へのアクセスが乏しい企業の場合、知人等に紹介された
「コンサルタント」
と称する者たちに、藁にもすがる思いで相談して当該
「コンサルタント」ら
を財務顧問などとして迎え入れるケースがあります。

これが功を奏するのであればいいのですが、
「法律の専門家」
「破産の専門家」
と言いながら、実際には法的にブラックないしはグレーな行為を実施して、その結果、却って傷口を広げ、会社や債権者により大きな損害を与えてしまうケースも多々見受けられるところです。

このような場合、会社にとって貴重な再生原資が無駄なことに使われ、結局、会社の死期を早めただけ、という結果に終わる可能性もあります。

したがって、専門家の選定に関しては、慎重に行うべきといえます。

(3)再生型私的整理のメリットとその代償の覚悟

民事再生や会社更生などの法的整理においては、それらが再生を目指すための手続ではあるものの、世間からの
「倒産」
のレッテルを逃れることは難しく、ブランドイメージが棄損されることから、従前の取引先や消費者からの取引の敬遠ないし拒否などが発生しやすくなり、企業価値の大きな低下は避けがたいのが現状です。

その点、私的整理においては、法的整理と比較すれば、このような事態が発生するリスクが相対的に低いため、企業価値の低下をより防ぐことが可能となる点がメリットといえます。

ただし、私的整理を実行するためには、経営者自ら経営責任をとり、私財を投じて一部弁済や私的整理に必要な費用を負担するなどしつつ、全債権者に対して財務状況を説明して、リスケや債権放棄を要請・説得していく必要があり、これは経営者にとって、非常に大きな負担となります。しかし、私的整理のメリットを享受するためには、どうしても必要な代償です。

再生型法的整理や、清算型の手続に移行することを防ぐためには、経営者自ら、この点について覚悟しつつ必要な対処をすることが、対応の基本となります。

運営管理コード:CLBP506TO509

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01355_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説

企業が債務超過により、あるいは資金繰りに失敗して支払不能に陥った場合、債務を整理(返済リスケジュールや債権放棄等)して再建したり、あるいは会社を解散・清算や破産して残った財産を債権者に分配する場面が出てきます。

これが倒産といわれる現象ですが、法的な観点で整理すると、各倒産手続は、表のように整理・具体化されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

大きく分けると、会社の再建が可能か否か(現経営者に再建する意思があるか否か、という問題も含みます)という観点から
「清算型」

「再生型」
かに分けられます。
さらに、手続上、債権者らの協力が得られるか否かによって、
「私的整理型」

「法的整理型」
かに分けることができます。

運営管理コード:CLBP506TO507

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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