01224_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>調達・製造法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>製品表示

製造されたモノの信頼性を確保するためには、製造過程における安全性が確保されただけでは足りません。

例えば、安全性に問題がない食品であっても、原産地や原料の表示が偽装されていた場合、それらの食品は信頼性を欠くことにより、消費者に多大の損害を与えることになります。

この意味でも、製品表示が適正に行われるべく、様々な規制が存在します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

近時、食品やマンションを中心として、様々な偽装が発覚しましたが、実際、不当表示に対する公正取引委員会の排除命令件数の推移を見ると、2004年度から増加し、2008年には減少に転じるも、2010年からは再び増加の傾向にあります。

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これらの
「モノ」
の偽装に関する問題は、大きな社会問題となり、多くの会社が倒産し、関係者の刑事責任が追及されました。

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01223_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>調達・製造法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>製造活動

企業が
「モノ」
を製造する際の法令上の規制についてみていきます。

企業の製造活動についての規制は、大きく分けて
「製造過程の規制」

「製品表示規制」
の2つに分類されます。

まず、製造過程においては以下のような規制が定められています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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各規制違反に関しては、厳しい罰則が科される場合があります。

例えば、食品衛生法違反に関しては、次のような厳しい罰則が定められています。

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01222_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>調達・製造法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令環境>設備建設等

「モノ」
を作る企業が一定規模の工場を建設し、稼働させる際には、以下のように様々な法令上の規制が働きます。

これらの規制は、一見地味な法務テーマですが、近年、地域住民による環境に対する意識は高まっています。

事例のように、環境破壊関連の法令違反行為に対しては、大きく報道され、厳しい社会的非難と企業価値の低下を招きかねませんので、法務対策上も十分注意を払う必要があります。

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01221_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>調達・製造法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本その2

(1)経営資源「モノ」に関する企業活動の質的な変化

経営資源である
「モノ」
に関する企業活動は、質的な変化が急激に進んできています。

「モノづくりは日本産業のお家芸」
との言葉に代表されるように、これまでの日本企業は、使い勝手がよく、安全・高品質で、値頃感のある
「モノ」
を作り出すことを得意としていました。

そして、日本企業は、
「高度な製造活動のためのインフラである、高い技術力と生産設備操業能力、さらにはこれを担う優秀な人材」
を自ら保持し、育成してきました。

ところが、
「モノづくり」
を得意とした日本企業も、ビジネスの進化に伴い、下請やOEM生産等によるファブレス(工場設備を持たない製造業)化や生産拠点の海外移転等を積極的に行うようになりました。

このようにして、近年、日本企業において
「モノづくり」
の意味が加速度的に希薄化するようになってきました。

「モノ」
との関わりの希薄化は、品質面、安全面、規格ないし法令遵守面における企業の管理が行き届かなくなる危険が増幅してきたことも意味します。

例えば、日本国内での工場操業においてはコンプライアンスや製品の品質や安全性に対するこだわりが浸透していても、日本企業が生産を海外に委託する場合における現地委託先企業が当該観念を欠落している場合、日本企業は大きなリスクを抱えることになります。

少し前に発生した中国産食品における毒物混入事件は、
「モノ」
との関わりが希薄化した企業において、委託先のモラルハザードがリスクとして現実化した現象といえます。

(3)「モノ」に関する法務対策が失敗した場合における影響

輸送機器、建物、食品、薬品、電気製品等、企業から製造される
「モノ」
は何らかの形で消費者や社会に関わり、また、消費者や社会は企業が製造する
「モノ」
の品質や安全性に大きな興味と関心を抱きます。

「モノ」
に関する法務対策の失敗は、即大きな社会問題に発展し、企業に対して回復不可能な損害をもたらします。

この意味において、
「モノ」
に関する企業活動の法務は非常に重要です。

前述のとおり、
「モノ」
と企業との関わりは歴史的に古く、調達・製造関連法務は成熟した法分野といえますが、企業にとっての重要性や海外生産委託の動き等の急激な変化もふまえ、今一度、調達・製造法務を入念に見直す必要があります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01220_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>調達・製造法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説、課題と対応の基本その1

1 概説

企業が事業を展開する上では、
「モノ」
という経営資源との関わりなしに進めることはできません。

歴史的には、商業が
「モノ」
の製造や取引を中心に展開され、これに合わせて取引法務・契約法務が発展してきましたので、
「モノ」
と契約法務の関わりは最も古くから存在し、その意味では
「モノ」
に関わる法務(調達・製造関連法務)は成熟した法分野であるといえます。

2 実践上の課題と対応の基本

(1)近時における偽装問題

自動車や温風機の欠陥隠蔽問題、食品に関わる原産地表示や賞味期限偽装の問題、毒物混入米流通問題や廃棄物処理や環境汚染問題等、近時、製造分野において法務トラブルが頻出しています。

また、ヒューザー社による大規模な耐震偽装など、これまでの建築物一般への信頼を根底から覆すような大規模かつ広範な建築偽装問題も発生しました。

最近では、食品表示偽装事件も相次いでいます。

農林水産省や都道府県が2008年にJAS法に基づいて行った改善指示件数は、前年より34件増加し、合計118件となっていますし、改善を指示された業者の中には、不正競争防止法違反の疑いにより、捜索を受けるものも増加しています。

このような状況の中、
「法令遵守より効率優先」
という経営姿勢や製造管理状況に対して消費者や社会一般の厳しい目が向けられるようになりました。

法律上も、2009年5月の農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)改正により、原産地偽装表示等を行った場合の刑事罰が設けられるなど、規制が強化されています(2年以下の懲役又は200万円以下の罰金、法人については1億円以下の罰金)。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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企業等の従業者等が、その事業活動として違法行為を行った場合には、当該従業員等のみならず、事業主である法人又は個人も処罰されることになります(両罰規定)。

例えば、JAS法29条は、従業員が原産地の偽装表示を行った場合には、当該従業員のほか、事業主自身も処罰することとしています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

加えて、公益通報者保護法の施行やネット掲示板の普及等の環境の変化もあり、内部告発が一般化し、企業がこれまで内部で隠蔽してきた偽装を隠し通せない状況になってきました。

このように、
「モノ」
に関わる企業にとっては、その姿勢が厳しく問われる時代になってきたといえます。

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01219_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>特殊な課題・新たな課題>労働審判制度その2

7 申立書を受領したら、即、弁護士が対応すべきこと

労働審判制度その1のように、労働審判手続は、第1回期日までの間に相当充実した答弁書を作成することが必要となるため、労働審判申立書を受領したら、ただちに、弁護士と答弁書の作成に入らなければなりません。

ここで、顧問弁護士がいない企業の場合には、申立書を受領してから弁護士を探し、弁護士が見つかってから従前の経緯を説明し、必要な証拠収集の指示を受けるという状況に陥ってしまいます。

したがって、顧問弁護士が不在の企業の場合には、労働問題が発生しそうな状況になったら、可能な限りその時点から顧問弁護士と契約し、それが不可能なのであれば、労働審判の申立てがなされることを覚悟して、証拠の収集・保全を行う必要があります。

8 第1回期日の変更が認められないこと

東京地裁では、原則として第1回期日の変更を認めない運用となっています。

9 処分権主義・弁論主義が厳格に適用されないこと

通常の民事訴訟においては、当事者が申立てた範囲内(例えば、残業代を支払えとの請求)で、かつ、当事者が主張した内容を前提として裁判所は判断を行うところですが、労働審判は非訟事件とされるために、処分権主義・弁論主義が厳格に適用されず、申立ての趣旨とは異なる審判が下されることがあります。

10 審判に対する異議の是非

調停が成立しなかった場合には、審判がなされますが、当事者は、その内容について異議を申立てることができます。

ところが、異議を申立てて訴訟に移行した場合であっても、判決は審判内容とほぼ同様のものとなる場合が多いため、異議の申立てをする場合には、訴訟費用の問題を含めて、慎重に検討するべきです。

なお、最高裁平成22年5月25日判決は、労働審判において労働審判官として関与した裁判官が、訴訟に移行した当該事件について、改めて一審の裁判官の立場で判決をしても、違法ではないとの判決を下しているところです。

小規模の地方裁判所においては、同様の事案が発生することもあるため、この点でも注意が必要です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01218_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>特殊な課題・新たな課題>労働審判制度その1

労働審判制度は2006年に導入されましたが、現在はその定着がすすみ、労働審判手続を利用するにあたっての注意点等が明らかになってきています。

1 一部の地裁支部でも利用可能に

従前は、各地裁の本庁のみで労働審判が行われていましたが、東京地裁立川支部と福岡地裁小倉支部においても、労働審判が取り扱われるようになっています。

2 迅速性が明らかに

迅速性を目標としている労働審判制度は、その90%以上が3回以下の期日で終了している(60%程度は、2回以下の期日で終了)ことが、手続の運用全般に対して影響を及ぼしています。

3 第1回期日の重要性

本訴手続においては、訴状の送達を受けた後、答弁書には認否のみを記載して(認否すら記載しないこともあります)、追って主張することとし、相手方の出方を見つつ、あるいは当方の証拠の収集状況を見つつ、戦略を考えることができます。

しかし、労働審判手続においては、第1回期日の冒頭1時間程度で争点整理、労働審判委員会による心証形成が行われてしまうため、答弁書の段階で、最大限の防御を行う必要があります。

この点、申立側は、十分に準備をしてから申立てをすることができるために、申立てられた側・防御側は、最大限の準備を行う必要があります。

4 陳述書よりも申立書・答弁書を充実させるべきであること

労働審判手続は、申立書及び答弁書を前提に回頭で審理を行う手続であるため、手続に関係者が出頭できるのであれば、陳述書の必要性は相対的に低下します。

したがって、このような場合であれば、原則、申立書や答弁書に、限られた時間を用いたほうが合理的です。

5 第1回期日に出頭させる関係人

第1回期日において心証が形成されてしまう関係上、当方の関係人として誰を出頭させるべきかを、検討する必要があります。

審判廷では、出頭した関係人に対して、当該関係人の視点から見ると高圧的とも取れる発言がなされることがあり、これを受けて適切な態度をとることができないタイプの者については、十分な注意が必要となります。

6 訴状・答弁書は、相手方の反論を見据えて作成すること

労働審判手続は第1回期日で労働審判委員会の心証が決められてしまうため、相手方から出されることが予測される反論を見据えた主張をしておくことが必要となります。

運営管理コード:CLBP253TO254

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01217_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>特殊な課題・新たな課題>法改正情報

労働基準法が2008年12月12日に改正され、2010年4月1日から施行されています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01216_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>特殊な課題・新たな課題>昨今の問題

1 内定取消し

大学生への内定取消しが急増した問題を受けて、厚生労働省は、新規学校卒業者の採用内定取消しを防止するため、2009年1月19日から、以下の要件を満たした場合については、企業名の公表ができるとする改正職業安定法施行規則に基づく企業名公表制度を施行しました。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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2 派遣切り

派遣切りとは、派遣社員を利用する派遣先企業と派遣社員を雇用する派遣元企業との間において締結されていた労働者派遣契約が、解約ないし解除されることをいいます。

その結果、派遣元企業が派遣社員を解雇したり、期限付き雇用契約の場合であれば次回の雇用契約の更新を行わない(雇止め)という現象が発生し、マスコミ等はこの現象も含め
「派遣切り」
と呼称することがあります。

2012年派遣法が改正され(同年10月1日施行)、日雇い派遣の一部禁止や1年以内に辞めた者を派遣で受け入れることや
「直接雇用みなし規定」
の創設等が盛り込まれました。

3 経営陣にも従業員の交通事故の責任が問われた事例(名古屋高裁平成20年12月25判決(平成19年(ネ)第764号))

大型トレーラーを運転していた運送会社従業員が、居眠り運転により、3名が死亡する多重衝突事故を発生させた事件で、名古屋高裁は、当該運送会社代表取締役や会社、運行責任者らに対して、約1億5,000万円を連帯して支払うことを命じました。

同裁判所は、居眠り運転の原因が、過酷な労務条件による従業員への疲労の蓄積にあることを認定し、代表取締役らは、労務条件を改善して過労・居眠り運転を防止する義務に違反したとして、不法行為に基づく損害賠償責任を負うとの判断を行い、さらに、運転者・代表取締役らの行為は、共同不法行為であるとして、全員が総額について連帯して賠償することを命じました。

運営管理コード:CLBP252TO253

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01215_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>特徴とポイント>労働法違反による行政事件・刑事事件

労働法務の問題には、

・私人である企業と労働者の契約に関わるものと(労働契約の問題)
・国が罰則等を背景に企業に遵守を強制する労働取締法規のコンプライアンスに関わる問題(労働取締法令コンプライアンスの問題)
・両者が混合した問題(労働契約問題・労働取締法令コンプライアンス問題ハイブリッド型問題)

の3つがあります。

もちろん、懲戒処分の有効性や解雇理由の有無・解雇権濫用等については労働契約の問題といえますし、例えば労働安全衛生法違反や労災隠しのような問題は労働取締法令遵守の問題といえます。

ところが、残業代不払いに関しては、一面では残業代支払義務の存否を巡る労働契約の問題といえますが、他方では所定の労働協約(いわゆる36協定)を締結することなく法定労働時間を超えて残業させたような場合には労働基準法36条違反の問題が生じ、また法的に明らかに発生したと考えられる残業代の支払いを拒否した場合には賃金全額払原則違反(労働基準法24条違反)となり、労働取締法令遵守の問題も同時に発生します。

契約問題・取締法令遵守問題ハイブリッド型問題については、労働基準監督署の指導や勧告を
「民事問題に介入する単なるおせっかい」
と軽く考えて、いい加減な対応をし、最後に監督行政機関の激怒を買って刑事事件に発展する、という経過をたどる場合もあります。

行政が純然たる民事問題に過ぎない労働契約の問題に介入してきた場合、
「大きなお世話」
と一蹴したところで何ら不都合はないのですが、一見、労働契約の問題のようにみえて、労働取締法令遵守の問題もはらむ問題の場合、労働基準監督署その他監督行政機関の指導には適正に対応しないと思わぬところで足を掬われることにつながるので注意が必要です。

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