01243_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本>資金運用

企業活動により余剰資金が生じた場合、企業としては、これを内部留保に回すこともあるでしょうし、積極的に活用する場合もあると思います。

積極的に余剰資金を活用する場合としては、事業運営のためのコスト(費用)として用いたり、設備投資を行ったりするほか、第三者に融資あるいは投資する場合が想定されます。

第三者に投資する場合として、事業発展・拡大を目的として事業に関連して戦略的に投融資を行う場合(ストラテジック・インベストメント)と、財務活動の一環として金融の利益を獲得するために行う場合(フィナンシャル・インベストメント)とがあります。

企業等が他の未公開企業に対して行うマイノリティー(非支配持分)投資をみていると、上記のどちらの目的をもっているのか全く整理されないまま投融資が実施され、その結果大きなリスクを抱えてしまう失敗が見受けられます。

投資行動は合理的目的と合理的方法によって行われるべきであり、上記のような目的がよくわからない企業の投資行動につき法的リスクの評価を求められることがありますが、このような企業の事業活動は、法的課題以前のビジネスジャッジメントとして大きな問題があるといえますし、法務スタッフがリスク管理の一環としてこの点の究明も行うべきです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01242_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本>社債

一般に社債といえば、株式公開会社の公募社債が一般的ですが、株式非公開の中小企業も
「私募債」
という形で社債を発行し、特定少数の第三者に事業資金の融資を依頼することも可能です。

なお、社債引受企業からみますと社債(無担保社債)とは、要するに企業に対する無担保融資にほかなりませんので、中小企業が発行する私募債を引き受けるような際は、まず担保を徴求すべきですし、これが困難な場合、適切な信用管理を行うことが必要になります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01241_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本>株式公開

会社が発展し、十分な企業価値と
「公器」
にふさわしい管理実体を備えた場合、株式を公開し、資本市場から直接資金調達をする場合もあります。

これが株式公開(Initial Public Offering、IPO)といわれるものです。

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東京証券取引所の上場形式基準を紹介します(なお、上場形式基準とは上場申請を受けるかどうか審査するための最低基準であり、実に上場が認められるには、このほか、実質基準を満たす必要があります)。

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従来までは、株式公開には様々なメリットがあると考えられてきましたが、最近では、株式公開に伴う負担、特に継続開示にまつわる負担や株価を意識した経営が要求されるため、
「長期的観点からの経営取組みが困難である」
という公開のデメリットも強く意識されるようになっています。

このため、上場企業において一旦上場した企業をあえて非上場(Going Private)にするという戦略も採用されるようになってきています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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株式公開後、金融商品取引法に基づき、企業の財務内容等にまつわる各情報の開示が強制されますが、上場企業にとっては、これら開示事務の負担が非常に重くのしかかることになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01240_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本>新株発行

企業の直接金融手段としての新株発行ですが、新株発行は、次のように分類されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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なお、ここで、通常の新株発行とは
「会社にキャッシュが入ってくる新株発行」
をいい、特殊の新株発行とは
「会社にキャッシュが入ってこない新株発行」
と整理されます。

すなわち通常の新株発行は、企業の直接的な資金需要を満たすために行われますが、特殊の新株発行は財務戦略等に基づく資本構成の技術的変更のために行われます。

なお、新株を第三者に割り当てる第三者割当増資については、これまで、東京証券取引所が2009年8月から
1 新株発行価格の算定根拠などを公表しなければならない
2 新株発行後の株価が300%以上希薄化する場合には上場廃止とする
などの新たなルールを導入しておりましたが、先般、金融庁は、投資家保護などを目的として、金融商品取引法に関する内閣府令を改正し、2008年2月より第三者割当増資を行う企業に金融商品取引法上の
「情報開示義務」
を負わせることにしました。

これにより、開示に違反した場合や、開示内容に虚偽記載がある場合には課徴金の支払いが課せられることにもなるので注意が必要です。

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01239_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説

企業の運営・存続にとって最も貴重な経営資源は
「カネ」
といえます。

企業活動に関わる
「カネ」
に関係する法務は、単純に現金に関する管理だけではなく、株式・社債・リース等を含めた企業の資金調達・資金運用といった企業の信用創造・信用管理等を含め、大きな広がりをもちます。

「カネ」
あるいは
「カネ」
に時間的要素を加えた
「信用」
といったものは、価値を極限にまで抽象化しています。

このため、
「カネ」
や信用の取引・管理・運用は、
「ヒト」

「モノ」
といった経営資源の場合に比べて、技術的色彩が強くその運用は複雑で困難なものとなっており、これに比例して法務コントロールの重要性は増します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

企業はその活動のための資金を様々な調達先から手に入れます。

企業の資金調達方法を概観すると、図のように整理されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01238_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>消費者事故調査委員会その2

近時の行政手法において、
「公表措置」
は非常に多用されており、消費者安全行政においても、消費者事故調査委員会の運用として
「公表措置」
が積極的に実施されています。

すなわち、2012年11月6日付消費者安全調査委員会決定により
「消費者安全調査委員会による情報の公表について」
においては、最終調査結果のみならず、
「消費者安全法(平成21年法律第50号。以下「法」という)第31条第3項に規定する場合のほか、報告書を公表するまでの間に、調査委員会が事故等の再発・拡大防止のため消費者へ情報を提供する必要があると判断した場合には、関係者等への影響を考慮しつつ、適切な範囲で情報を公表する」
とするなど、積極的な公表措置を取るべき姿勢が明示されています。

事故調査の対象とされた企業は、公表措置が企業に与えるダメージの大きさを十分理解認識し、自社の防御に必要な情報も積極的に同委員会に提供するなど、効果的なカウンターアクションを実施することが推奨されます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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01237_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>消費者事故調査委員会その1

2012年9月5日に消費者安全法の一部が改正され、同法に基づき、同年10月1日に消費者安全調査委員会が設置されました。

消費者安全調査委員会は、
「消費生活上の生命・身体被害に係る事故の原因を究明するための調査を行い、被害の発生又は拡大の防止を図る機関」
と位置づけられています。

同委員会の所掌する調査対象事故は、運輸安全委員会の調査対象とされている事故等は除かれますが、生命・身体分野の消費者事故等については、製品、食品、施設及び役務を広く対象とし、また、法施行前に発生した事故等も対象とされます。

さらに、他の行政機関等によって調査等が行われている場合であっても、これら調査等の結果の評価を行うとともに、必要に応じて意見を述べ、あるいは委員会自ら調査を行います。

そして、同委員会は、調査や評価の結果に基づいて内閣総理大臣に対し勧告をし、あるいは適時に、消費者被害の発生又は拡大の防止のために講ずベき施策及び措置について、内閣総理大臣及び関係行政機関の長に意見具申を行うことができる、とされるなど強力な権限を有しています。

このように、消費者安全調査委員会は、
「コンシューマー製品、コンシューマー向けサービスに関する欠陥に関して事故が発生した場合における、我が国で最も強力・強大な権限を有する調査機関」
として捉えることができます。

企業にとって最もリスクとなるのは、調査内容についての公表措置です。

特に、コンシューマー製品やコンシューマー向けサービスを販売・提供する企業にとって、自らの製品・サービスが公的機関によってその安全性等に疑義が呈されることは、
「当該ビジネスの終焉」
を意味しかねません。

業務停止命令や許認可等にかかる行政処分を行う場合、行政当局としては、行政処分を受ける企業等への影響の甚大さを考慮して、当該処分発動には慎重にならざるをえません。

制度上、行政処分実施にあたっては告知聴聞手続が前置されるほか、行政当局が処分の是非を検討するにあたっては、
「行政訴訟で争われ、処分が後日覆滅されるリスク」
も考える必要が出てきます。

他方、
「調査した内容を公表する」
という立て付けの行為については、処分性を有しないと考えられるため(「行政機関の行為の結果として制裁的効果をもたらすだけのもの」と捉えられます)、行政当局としても、
「国民の知る権利に応える」
という大義名分の下、積極的かつ柔軟かつ迅速に実施できます。

「ソフトな行政上の措置」
ともいうべき公表措置は、問題企業に致命的な打撃を与え、効果的に行政目的を達成することができるものとして、立法・行政サイドにおいて非常に注目されています。

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01236_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>違約罰条項

調達・製造法務において、調達対象たる
「モノ」
に関し、一定のスペック・品質・性能等を調達先に保証させる場合があります。

例えば、工作部品を購入するにあたって一定の強度や耐性を保証させたり、食品材料の購入にあたり特定の原産地で産出されたことを保証させたり、添加物が適法なものであることを保証させたり、という取扱いです。

その際、一定の保証条項や禁止条項を契約書に記載するだけでは、いざ損害賠償の段になった場合、被害者たる委託者側において契約違反によって生じた損害立証の負担を負わなければなりません。

特に、消費者向け商品等を外部から調達して販売する事業で、販売品に表示上の偽装があった場合、報道機関対策、謝罪広告、リコール対策、株価の急落等、販売した企業に大きな損害が発生するにもかかわらず、調達先に賠償請求するに際して、損害の発生及び額を逐一立証する手間を取らされることはいかにも不公平です。

もちろん、契約違反の事実が立証されても、損害についての立証に失敗すれば所定の賠償がなされないこともあります。

2008年9月12日、中部電力は、浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)のタービン事故に関して、同原発の運転を停止していた期間の電力を補うために割高な火力発電所を稼働させたことなどで生じた
「逸失利益」
等合計418億円の賠償を求めて、タービン製造元の日立製作所を被告として、東京地方裁判所に提訴しました。

一般に原発建設では
「逸失利益」
の規定は契約に盛り込んでいなかったところ、このようなあいまいな契約規定が火種になって、協議不調に陥り、最終的に訴訟沙汰にまで発展しました。

このような事態を防ぐための工夫として、損害賠償の予定や違約罰条項を盛り込むことが推奨されます。

違約金条項を設けた場合、債権者は債務不履行の事実さえ証明すれば、損害の発生及び損害額の証明は基本的に不要となります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

さらに言いますと、契約違反に対する厳格な制裁を具体的に定めておくと、調達先は高額のペナルティを忌避するべく、より級密に品質やスペックの管理を自主的に行い、結果として偽装事故発生が抑止されるという効果も期待できます。

運営管理コード:CLBP292TO293

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01235_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>売買と委託と請負の相違

「モノ」
を製造し、あるいは調達する取引を構築しようとする場合、契約形態の選択により、その後の法的利害関係が大きく変化する場合があります。

すなわち、
「モノ」
を作りあるいは調達するといっても、契約形態としては、売買、生産委託、請負、設備賃貸といったものがありえます。

そして、企業がいずれの契約形態を選択するかは、企業の任意です(契約自由の原則、契約内容決定の自由)。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

しかしながら、これらの契約においては、表のような違いが出てきます。

無論、これら契約形態の選択にあたっては、ビジネスジャッジメントや会計・税務上の判断がまず優先されるべきですが、特定の契約方式の選択の結果、表のような法律上の利害得失が生じうることを理解し、必要な場合には、契約書において、合意により有害な法律上の規定を撤廃することを検討すべきです(ただし、時効のように合意によっても伸長が不可能な規定もあります)。

運営管理コード:CLBP291TO292

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01234_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>調達・製造法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>パロマ工業ガス湯沸器事件

2010年5月11日、東京地方裁判所は、2004年にパロマ工業株式会社製のガス湯沸器が原因で発生した死傷事故の刑事裁判において、業務上過失致死傷の罪に問われたパロマ工業株式会社元代表取締役に対し、禁固1年6ケ月執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました。

また、同じく共犯として業務上過失致死傷の罪に問われた同社元品質管理部長も、禁固1年執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。

この事件は、パロマ工業株式会社がガス湯沸器を出荷した時には欠陥がなかったにもかかわらず、同社から、修理代行サービスを依頼されている修理業者が不正に改造したことが原因で発生しました。

判決の理由中で、裁判長は、
「ガス器具は利便性がある半面、生命への危険を伴う」
と指摘した上で、まず、
「消費者が安全に使い続けられるように配慮が求められたのに、対策を怠った被告両名の過失は軽視できない」
と述べ、ガス器具のような製品を扱う企業の責任者にはより重い注意義務があることを示しました。

次いで、問題のガス湯沸器は、安全のため、電動の強制排気装置が作動したときだけ点火して湯が出る構造だったにもかかわらず、点火不良への応急措置として安全装置を作動させずに点火する
「短絡」
と呼ばれる改造が横行し、一酸化炭素中毒による死傷事故が各地で相次いでいたことを指摘し、当該ガス湯沸器が簡単に不正改造できてしまう点に問題があったと認定しました。

その上で、
1 元代表取締役らが2004年の死傷事故の発生を、事前に予見することが可能だったか否か、
2 事前に、死傷事故の発生を避けるための対策をとることが可能だったか否か、
を検討し、元代表取締役らは、それ以前にも同種の死亡事故が発生している旨の報告を受けており、したがって、不正改造された機種がほかにも残っている可能性があることを認識し、該当するガス湯沸器を点検し、回収することもできたにもかかわらず、これを放置し、抜本的な対策を怠ったことが今回の死傷事故を発生させた、と結論づけました。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

このような判決からも明らかなとおり、これからの企業は、消費者に対する安全への配慮義務が重要な課題となりつつあります。

運営管理コード:CLBP289TO290

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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