00774_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する5:裁判所における事件処理の実体(3)旧司法試験・司法試験予備試験と民事訴訟手続の酷似性

「文書を重んじ、口頭での話を軽んじる」という裁判所の行動様式は一見、噴飯もののように思えますが、見方を変えると極めて合理的なのです。 「書面を重視する」という裁判所の合理的な行動哲学は、我が国最難関の実務法曹選抜試験としての旧司法試験や司法試験予備試験の選抜プロセス方式にも反映されており、ここに、法曹選抜プロセスと民事...

00773_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する4:裁判所における事件処理の実体(2)証人尋問はただのセレモニー

一般に、「証人尋問は訴訟のもっともドラマチックな場面」などとされますが、実際の民事訴訟においては、事件の筋、すなわち勝敗は証人尋問開始前にほぼ決まっており、実際のところ、尋問はほとんどの場合、セレモニーにすぎないといえます。 これは筆者が適当な感想を言っているではありません。 弁護士会主宰のセミナーで紹介されていたデー...

00772_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する3:裁判所における事件処理の実体(1)民事裁判官の事件のススメ方

裁判官はたくさん事件をかかえていて、膨大な記録を速読して瞬時に事件の見通し(われわれ法律屋の世界では「事件の筋」とか言ったりします)を立てて、その見通しにしたがって事件を処理し、当事者の言い分や証拠を調べながら、高裁や最高裁でひっくり返されないように理屈を固めていきます。 一旦立てた全体の見通しをクルクル変えてしまうと...

00771_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する2:「三権分立」というアングルでみた、裁判所というお役所の際立った特異性

裁判所は、「契約管理を含めきちんとしたトラブル予防措置をぬかりなく講じた慎重な人」にとっては快適な場所ですが、「ロクに契約書を読まずにサインしておきながら『裁判官が自分に都合のいい解決をしてくれる』という身勝手で過大な期待を抱いた方」にとっては失望を大きくするだけの場所です。 「裁判官」と「裁判官によって運営される裁判...

00770_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する1:期待はずれの裁判所

期待はずれの裁判所 多くの人にとって裁判所は知識も経験もなく、「どんな人がいて何をやっているのか、さっぱりわからない」という存在ではないでしょうか。 われわれ弁護士は、裁判官登用試験と共通の試験(司法試験)に合格し、裁判官と同じメニューでの実務教育(最高裁判所管轄下の司法研修所で行われる司法修習)を一定期間(私の時代は...

00689_手続終盤に重要証拠を出して、逆転を狙えるか?

有事の状況において、企業の正当性を立証しうる証拠が発見できず、長時間のドキュメントマイニング(資料発掘)の結果、ようやく重要な証拠書類が見つかり、手続の終盤に突如提出すると、裁判官や審判官は不信感をもちます。 それ以前、心証をくるくる変える必要が生じ、訴訟経済や思考経済を壊滅的に狂わされ、大いな迷惑を感じ、この反感やこ...

00676_交渉において「条件を先に言い出す」ことの致命的有害性

カネや財産や権利や地位について、殺し合いをおっぱじめかねないくらい対立している状況で、交渉の担当者となって、いきなり、相手に対して具体的な和解条件を提示する方がいます。 さらには、当該和解条件提示に際して、・万が一、訴訟になれば無駄にカネや時間や労力を費消するから、などと妥協根拠までバカ正直というか馬鹿丁寧に示したりす...

00673_証人尋問の最大のヤマ場は反対尋問ではない

証人尋問の最大のヤマ場は、決して、「相手方代理人からの厳しい反対尋問」ではありません。 「私なりの理解と認識と解釈によりますと」という限定ないし留保がついてしまいますが、当事者の情緒的な思いを切り離し、観察基準点を裁判官からの視点・観点に切り替えてみますと、「証人尋問手続きにおいては、主尋問もさることながら、反対尋問に...

00672_民事裁判における証人尋問の意義

民事裁判(民事訴訟)における証人尋問について、テレビドラマでは、「弁護士が議論をふっかけてやり込めたり、華麗な理論や学説を披瀝して無知な証人に知的優位性を誇示して黙らせ、勝ち誇る」といったシーンをたまにみかけますが、これはまったくのデタラメです。 証人尋問は、議論をふっかけ、論争をして、意見を戦わせ、論破して事件の勝敗...

00668_民事裁判官のアタマとココロを分析する(6):具体的条件を提示した和解の斡旋は、「(従わないとエラい目に遭う)命令」

例えば、一審は勝訴したものの、一審の裁判官も、明々白々な証拠があって、雲1つない晴天のようなすっきりとした気持ちを持ち、胸がすくような形で、一方当事者を勝たせた、ということではない、というケースがあります。 一審判決を読むと、ためらい傷が残るように、懐疑を挟み、躊躇(ちゅうちょ)を覚えつつ、最後まで晴れ晴れとした気持ち...