00002_企業法務の射程範囲の広さ

現代のビジネス活動を支援するにふさわしい企業法務活動は、具体的にどのような活動を含むのでしょうか。

その射程範囲について述べていきます。

企業法務とは、企業経営に関わる法律業務全般を指しますが、活動理念や具体的活動内容、社外専門家との協働の要否等は扱う分野によって、大きく異なります。

例えば、他企業との取引や提携等を法務面から支援するという活動の場合、契約自由の原則が働くため、いかに交渉優位を勝ち取り、合意内容の書面化の段階で自己の要望を契約書に反映させるか等、徹頭徹尾、功利的・戦略的対応が求められます。

また、許認可取得の是非を巡る行政機関との折衝や違法不当な行政処分や行政指導へ対応する場合であっても、営業の自由(憲法22条1項)の観点から、違法不当な行政処分等に対しては、企業の正当な主張が展開できるよう法律技術面から支援しなければなりません。

他方、社内に企業の法令違反行為に起因する不祥事の萌芽が存在する可能性については厳しく目を光らせるとともに、役員・従業員個人の暴走が企業組織全体の危機に波及しないよう、内部統制システムを適正に構築し、厳格に運用しなければなりません。

契約事故・企業間紛争や企業の法令違反行為に起因する不祥事が訴訟等に発展した場合は、社外専門家である弁護士と協働し、必要な主張や証拠システムを適正に構築・整理し、裁判所等に対して効果的なプレゼンテーションをすることにより、判決なり和解なりの形で企業にとって有利な解決を勝ち取る活動を行います。

このように、一言に
「企業法務」
といっても、企業活動の全ての分野に関わり、多様な活動理念と活動内容を内包しています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00001_広汎で複雑多岐にわたる活動を含む企業法務の整理・体系化

広汎で複雑多岐にわたる活動を含む企業法務ですが、これを混乱したまま取り扱うと、企業として適切な法務安全保障体制が構築できず、大きな法務トラブルが発生しかねません。

その意味では、企業法務に携わる社内外の担当者の頭の整理にとっても、合理的で洗練された企業法務組織によって、企業にとって必要な法務活動を疎漏なく展開するためにも、
「企業法務」
をブラックボックス化したままにせず、
「企業法務」
として括られる複雑で多岐にわたる活動を、明快に整理・体系化していくことが必要です。

この点、
「法務組織の体制構築(A)」
「各法務活動(法務オペレーション)の分析・整理(B)」
「『非法務活動(疑似法務活動)の概念整理(概念区分)』による法務活動の定義外延の明確化(C)」
という視点を用いて、整理をしつつ述べていきます。

これは、コンピューティングに喩えるなら、
「法務組織の体制構築(A)」
とは
「企業法務活動を担うハードウェア構成をどうするか」
という議論であり、
「各法務活動(法務オペレーション)の分析・整理(B)」
とは
「ハードウェアがどのようなソフトウェアを実装し、どのようなシステムオペレーションを行わせることによって、企業の法務ニーズを満たしていくべきか」
という議論であり、
「『非法務活動(疑似法務活動)の概念整理(概念区分)』による法務活動の定義外延の明確化(C)」とは「発見されたバグのようなものをどう評価し、どう処理すべきか」
という議論、ということになります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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