01871_プロジェクト目的達成と受験勉強の酷似性

予防法務であれ紛争法務・臨床法務であれ、法務についての作戦を遂行する実務家としては、作戦目的に
「正邪」
はありません。

ただ、作戦合理性があるだけです。

目的を達成するのは、
「正しい人間」
ではありません。

「強い人間」
すなわち、
「合理的で、(ズル)賢く、素早く、他人に期待せず、自分にできることに徹して、努力した、強い欲のエネルギーをもった人間」
です。

そして、著者が定義する
「目的を達成する人間」
とは、
「あの手、この手」
だけでなく、
「あの手、この手、奥の手に加え、禁じ手に、寝技、小技に反則技」
を使える人間(禁じ手や反則技を使うかどうかは別問題として、そのような手法を知っている人間)です。

自らを
「正しい」
と自認する人間が、ときに、正義に酔いしれ、自らを神聖視し、何もせずに天が味方すると漫然と考え、行うべき想定を行わず、行うべき対処を行わず、
「手段」
にこだわり、結果、当然のように、
「入念に準備し、あの手、この手、奥の手に加え、禁じ手に、寝技、小技に反則技を使える、合理的で、(ズル)賢く、素早く、他人に期待せず、自分に出来ることに徹して、努力した、強い欲のエネルギーをもった悪」
に惨敗します。

目的を達成するのは
「正しい人間」
ではなく、
より正確に状況を認知し、
より確実に状況を評価・解釈し、
より現実的で合理的な目的を策定し、
より広汎に課題を抽出し、
より迅速かつ入念かつ効果的に課題対処をした、
「強く、賢い人間」
です。

「展開予測を正確に行い、早く、入念に、的確な準備をして、結果、博打の要素をできるだけ排除し、目的を達成する人間」
になれば、そうでない人間よりほんの少しだけ、努力のご褒美として、富や名声を得られる、と思います。

このことは、著者は、弁護士活動を通じて、というより、受験勉強の過程で、経験的に学びました。

受験勉強は、
「展開予測を正確に行い、早く、入念に、的確な準備をして、結果、博打の要素をできるだけ排除し、目的を達成する人間」
がそうでない人間に比べて、相対的に優位を保てるようにできており、世の中、なかんずく、ビジネス世界と極めて相似しています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01870_事業承継の本当の姿

オーナー経営者が、老いを意識したり病気になったりすると、
「事業承継」
を口にします。

ところが、ほとんどのオーナー経営者の言動をみるかぎり、本音は、
「事業承継」
ではなく、
「院政を敷くこと」
です。

「事業承継」
とは、
「会社の譲渡」や「経営の移管」
であり、
「院政を敷くこと」
とは異なります。

文字通り、手放した後の会社については、意識から追いやることが素直かつ自然です。

一方で、
「院政を敷くこと」

「経営を委ねるが、委ねた先が変なことや愚かなことをしないかきちんと見定める」
ことです。

たとえば、使っていた家や車を、中古市場で、売却した後、売主が、買主のところにやってきて、
「買主が家や車をどのように使っているか」
ということを確認し、逐一ダメ出しする、という事態を想定してください。

それは、
「譲渡」
ではなく、
「手放す気などサラサラなく、手元に置いているのと変わりない」
という話になります。

さて、一般論でいいますと、老いたり病気になったオーナー経営者は、
・経営権を保持する

・院政を敷く

・院政によるリモート支配をしつつ、後継候補を「自分のコピー」のように人格改造する

・人格改造が終わっても、院政を続ける(裏切ったりすることがあるので、監視期間を置く)

・たいてい、後継候補者に裏切られる

・裏切られたら、また、別の後継候補の人格改造を始める

・死ぬ3秒前まで院政を続ける

・死んでから、ようやく院政をやめる(というか、続けられなくなって院政が終了する)
という営みをトライします。

そうこうするうちに、会社は劣化し、後継候補者が次々に脱落し、にっちもさっちもいかなくなり、会社を売りに出す(たいてい足元をみられて二束三文で買い叩かれる)ことになる、というのが、
「事業承継」
の本当の姿です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01869_予防法務_ビジネスにおける情報発信その2

ビジネスにおける情報発信は、
「言いたいことを言う」
から、発信するのではありません
し、
「SNS戦略」
をすすめるためには、

・(SNSであろうがその他の媒体であろうが、金と時間と労力をかけて発信すべき)メッセージの単純化・平準化・標準化(言いたいことを、小学校5年生でもわかるようにシンプルに磨き上げる)
・メッセージの対象の選定
・メッセージを伝達させる媒体の選定
・メッセージのミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化
・メッセージの効果検証
・さらなるゲームチェンジや試行錯誤(や撤退見極め)

という営みをPDCA(合理的試行錯誤)で推し進めることが必要です。

中小と呼ばれる規模の企業においては、
「そのようなPDCAを遂行する能力と経験と責任を負担し得る担当者」
が、不在であるのが実情です。

上場企業であっても、この種のタスクを責任をもってこなせる人材に不足し、後手後手に回っているところも実に数多く、非常な難題と考えます。

企業の規模の大小問わず、
「SNS戦略」
は、正解がなく、定石もなく、ゲームのルールやロジックも帰納的に発見せねばならず、試行錯誤の連続で現実解を見つけ出す営みであり、
「トップがフルエンゲージしないと、進まない(トップがフルエンゲージしても進まない)」
ので、奮闘、あるいは奮闘しても成果が出ないことは、やむなし、でしょう。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01868_予防法務_ビジネスにおける情報発信

ビジネスにおける情報発信は、
「言いたいことを言う」
から、発信するのではありません。

ベネフィットがあるから、
あるいは
リスクやダメージを避けるために、
発信します。

そのためには、まず、
状況を認知し、
状況を評価し、
展開予測を考え、
目的を設定し、
課題を発見し、
課題を克服するための手段をいくつか創出し、
手段それぞれの功利分析を考える必要があります。

そして、決定した暫定的手段の実践として、
行動=情報発信
が行われます。

ですから、情報発信をカタチ化したメッセージは、
目的から逆算し、展開予測上想定されるリスクも受容し、構築されたものである、という作戦計画があるはずです。

1 メッセージをどのような目的を達成しようとして書くのか?
2 そもそもどのような意味と展開予測を企図するのか?
3 「展開予測上想定されるリスク」としてどんなことを想定するか?

一定の作戦価値を内包した作戦目的があり、その整合性を、外部視点からの評価を受けるために、弁護士を利用することもあり得ましょう。

ただし、その場合は、
「一定の作戦価値を内包した作戦目的」
を前提として、弁護士に示す必要があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01867_ 法務相談の費用

弁護士は、日常的に、
「事件」
という言葉を使いますが、それは、
「案件・プロジェクト・弁護士業務」
と同義です。

「法律相談」
とは、弁護士が、事件として対応する必要があるかないかを見極め、対応する必要が有る場合に、その成否蓋然性と動員予算(見積もり)を推定して、提示するのが目的です。

ですから、相談者が法律相談に1回行ったからといって、抱えている問題や相談事が、一度にスパっと解決・解消するわけではありません。

しかも
「無料」
と銘打つ法律相談は、
「1回の相談時間は30分程度」
などと時間を制限しています。

相談時間を有効につかおうとするならば、医者でいうところの問診票にあたるようなものを相談者自身があらかじめ用意しておくと良いでしょう(何も用意せずに相談に行くと、大抵の場合、抱えている問題や相談事のサワリだけで持ち時間はすぐになくなってしまいます)。

さて、法律相談を経て、抱えている問題や相談事が法的に解決しなければならないような場合、相談者が求めれば、弁護士は事件受任を前提に(「事件着手」に移行する方向で)、見積もりを提示します。

弁護士によって違いはあるでしょうが、著者のいう弁護士報酬とは、次の4つを指します。

1 着手金
事案に着手するに際して予め申し受ける金額です。
資料収集・整理及び事案内容のミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化を遂行するための費用(*)。

2 リテーナーフィー(事件管理料)
事件継続中に各種状況の報連相(ご報告、ご連絡ないしご相談)を行いあるいはクライアントからの不安や質問に対処するための費用です。
尚、相談時において、終期を明確に定義することは困難です。

3 成功報酬
事件の成功を得た場合に発生する金額です。
ただし、相談段階で見積もった作業負荷が、(弁護士の)把握し得ない相談者の事情の発生に伴い、想定外に増大した場合、別途の費用が発生し得ることもあります。

4 実費
資料収集等に要す通信費、印紙代、印刷費、交通費など。

(*)資料収集・整理については、費用を低く抑えようとするならば、相談者において準備することを推奨します。時間・費用とトレードオフとなります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01866_顧問契約とは

かかりつけ医をもつようなイメージです。

今後、法律相談ないし各種ビジネスや社会経済生活上の課題や不安が生じた場合に、問題解決に至るまでの時間とコストが節約でき、また、いざというときには、課題対処を支援してくれる用心棒がいてくれる安心感を提供するものです。

顧問契約の有無による対応の差を説明すると、よりわかりやすいでしょうか。

1 顧問契約がない場合

・各種ビジネスや社会経済生活上発生する、「明確な事件や事案や課題や相談事」に至らない、単なる不安やストレスや違和感の段階では、なかなか気軽に相談することが困難
・かつ、相談が遅れた場合、解決が困難になる場合が生じる
・相談実施までにアポイントや申込みが必要で、また、弁護士は顧問先を優先するので、アポイントが入らない場合がある
・カルテに相当するものが整備されていないので、自身の状況を逐一説明しなければならないので、無駄な時間が生じる
・相談の中で、弁護士が関与すべき事案であっても、医師のように応召義務がないため、弁護士は、多忙や、割に合わないなどを理由に、事案受任を拒否する自由をもつ
・事件終了した場合、通常、事件終了後しばらくは不安定な状況が続くが、事件が終了後は、接点や関係がなくなるため、弁護士としてはケアしない。特に、再発防止や同種リスク、さらには、派生事件については、弁護士として対応する義務や責任を負わない

2 顧問契約がある場合

・単なる事業や生活設計を含め、各種ビジネスや社会経済生活における現況や将来的な方向性を共有しておける
・各種ビジネスや社会経済生活上発生する、「明確な事件や事案や課題や相談事」に至らない、単なる不安やストレスや違和感の段階でも気軽に相談できる
・異変や事件に至らない、不安や違和感段階で、すぐに相談に対応しているので、着手が早く、先手を打て、結果、解決のスピードと期待成果が改善できる
・カルテに相当するもの(顧問先ファイル)を整備しており、アップデート情報は別として、自身の状況を毎回逐一説明する必要がなく、相談開始の初速が圧倒的に早くなる
・医師のように応召義務がないことには変わりないが、弁護士としては、日常構築された信頼関係に応えるため、顧客継続価値を維持・改善するため、多忙であっても、あるいは、割に合わない事案であっても、受任し、あるいは、受任困難でも、極力最善解を模索する努力を行う
・事件受任の際にも、顧問料に応じて、通常費用から減額プランを提示される
・事件終了した場合、通常、事件終了後しばらくは不安定な状況が続くが、事件が終了後も、顧問契約に基づき、弁護士にケアを求められる。特に、再発防止や同種リスクの相談が可能となり、派生事件についても、相談対応・受任対応を求められる

なお、特定事件の受任に伴う、キックオフフィー、リテーナーフィー(事件管理料)、成功報酬金は、顧問費用とは別になります。

最後に、プライバシーの問題について、懸念する方もいるようですが、弁護士には、法律上の守秘義務があり、秘密漏洩は処罰対象あるいは業務上の懲戒処分の対象となります。

もとより、この職業についたときから、秘密は墓の中まで持っていくことは職業倫理として堅持しています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01865_ネットトラブル対策法務_掲示板書き込みの証拠保全その2

掲示板書き込みの証拠については、公証役場で手続きを実践し保全しておくことを推奨します。

手続きのための事務資源がにあれば、下記を参照にすすめましょう。

事務資源がなければ、別途有償で、弁護士が事務提供することは可能です。

(C)弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所 /出典:企業ネットトラブル対策バイブル 弘文堂

(C)弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所 /出典:企業ネットトラブル対策バイブル 弘文堂

尚、繰り返しますが、このような保全手法をとっておかないと、消された書き込みは、なかった扱いになりますし、時間があまりに経過しすぎても、後日の改ざんを疑われます。

結局、この種の事務的準備をどこまで丹念にやるかが、相対的な戦略的優位性を蓄積することにつながります。

逆に言えば、このような事務的な準備をおろそかにして、いきなり、一発逆転を言い出しても、法律上は、怠慢な愚者の寝言として扱われるのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01864_法律相談後に入手した書類を弁護士に渡す方法

弁護士相談を経たクライアントが、必要な書類を準備しなければならない場面があります。

書類によっては、弁護士が代理で取得することが可能なものもありますが、時間とカネという資源をできるだけ小さく・低く抑えたいのであれば、クライアント自身がそろえた方がいいでしょう。

さて、その書類ですが、一般的には、すでに手元にあってすぐに準備できるものから、入手するには手間と時間がかかるものまで、いろいろなものが含まれます。

用意するクライアントしては、すべて揃ってからまとめて弁護士に渡したほうがいい、ということを常識だと思う方もいるかもしれませんが、それは、法務相談の内容にもよりますし、クライアントが望むゴールの時期にもよります。

1つ言えるとするならば、そのようなことでさえも、自身の常識にとらわれずに、弁護士に確認をしたほうがいい、ということです。

たとえば、
「○○などは一度に送ったほうが五月雨式より良いと思いますがいかがしましょうか?」
と、問うクライアントに対し、弁護士が
「1回で、完璧なものを送っていただけるだけくらい、疎漏・不首尾がなく、要求事項を完璧にこなせる事務資源があれば、『一度に送ったほうが五月雨式より良い』と思います。
ですが、やり直しや追加等が発生することを考えれば、できたものから、送っていただき、パズルを完成させていった方が、時間と資源の節約になると思います。
とりあえず、一切合切送ってもらって、こちらで追加等を拝見させていただき、あり得べき追加や補充等をご指示申し上げていき、完成度を上げていく方がよいような気がします」
と、こたえる場合もあるのです。

要するに、
「揃ってからまとめて送ってください」
という場合もあれば、
「入手できたものから送ってください」
「スキャンしたもの(あるいは写メ撮ったもの)でいいから、まずは送ってください。原本は、持参(あるいは郵送)してください」
という場合もあるのです。

最後にもう1つ。

「『足らざるは過ぎたるに如かず(the more, the better)』という形で、できたものから送っていただいた方が、時間と労力の節約になり、プロジェクトの進捗に貢献すると思います」
「できたピースをどんどん埋め合わせて、逐次完成度を高めて、パズルを完成させる、という営みに近いので、五月雨式でいいので、入手できた情報からどんどん送り込んでいただければ幸いです(経験上、その方が、迅速かつ合理的です)」
などと、弁護士の文章は丁寧すぎるほどでしょうが、丁寧だからといって、おざなりにしたり、そのままにしていると、(弁護士の)時間を費消し、ひいては(弁護士費用という)カネを費消することになりかねません。

法務相談を短期で終わらせるクライアントは、皆一様に、弁護士が拙速に仕事できるよう、書類の準備ひとつとっても(質問の仕方も含め)立ち回りがうまいものです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01863_ネットトラブル対策法務_掲示板書き込みの証拠保全

掲示板書き込みの証拠保全は重要です。

保全手法をとっておかないと、消された書き込みは、なかった扱いになりますし、時間があまりに経過しすぎても、後日の改善を疑われます。

結局、この種の事務的準備をどこまで丹念にやるかが、相対的な戦略的優位性を蓄積することにつながります。

この種の事務的準備は、地道な作業ですし、直接、売り上げにつながるわけでもありません。

丹念に行うためには、カネも時間も費消します。

とはいえ、準備をおろそかにして、いきなり、一発逆転をと、訴訟を言い出しても、法律上は、怠慢な愚者の寝言として扱われるので、軽く考えるべきではありません。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01862_有事における心得

有事は、苛酷です。

弁護士は、問題を因数分解して論理的に整理して対処する知的資源ですが、
「良かろう・高かろう」
です。

有事において、弁護士を使うか使わないか、あるいは、使うのであれば、どのように・どこまで使うのかは、トレードオフによる価値判断となります。

弁護士としては、クライアントから救済を求められ、しかるべき稼働環境が整えば(カネを払い、敬意を払ってもらう〔素人では困難な問題であることの自覚をもち、頭を下げて、専門家にお願いする姿勢〕)、エンゲージを検討します。

たまに、カネを渋り・けちり、敬意も払わず、
「クライアントの言うことをだまって聞け」
というようなクライアントがいます。

このようなクライアントに限って、のっぴきならない状況に陥った挙句、混乱して、
「とにかく急いで対処してほしい。支払いは厭わない。過去の話はどうでもいいじゃないですか」
と、法務相談にやってきます。

著者としては、
「過去の話をきちっと反省し、総括し、矯正する」
ことを促してから、話を聞くようにします。

「過去の話はどうでもいいじゃないですか」
という人間は、つまらない自己保存感情から、過去の愚行を冷静に向き合う勇気もなく、結果、愚かな偏りが修正されず、何度も同種の失敗をするからです。

だからこそ、
「過去の話をきちっと反省し、総括し、矯正する」
のは極めて重要なのです。

「過去の話はどうでもいいじゃないですか。未来志向で」
という人間の戯言は、常習窃盗犯の
「過去は過去。未来に生きます」
という類の話と同様、ミリタリーとしては、ほとんどノイズとして排除します。

そうしないと、結局、同じ失敗を繰り返し、エンゲージしていると、背中から矢が飛んできたり、無駄な修正労力を費やすことになりますので。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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