00673_証人尋問の最大のヤマ場は反対尋問ではない

証人尋問の最大のヤマ場は、決して、「相手方代理人からの厳しい反対尋問」ではありません。 「私なりの理解と認識と解釈によりますと」という限定ないし留保がついてしまいますが、当事者の情緒的な思いを切り離し、観察基準点を裁判官からの視点・観点に切り替えてみますと、「証人尋問手続きにおいては、主尋問もさることながら、反対尋問に...

00672_民事裁判における証人尋問の意義

民事裁判(民事訴訟)における証人尋問について、テレビドラマでは、「弁護士が議論をふっかけてやり込めたり、華麗な理論や学説を披瀝して無知な証人に知的優位性を誇示して黙らせ、勝ち誇る」といったシーンをたまにみかけますが、これはまったくのデタラメです。 証人尋問は、議論をふっかけ、論争をして、意見を戦わせ、論破して事件の勝敗...

00671_法務担当者としてのスキルをデザインする上での考慮要素

1 内製化すべき固有スキルとアウトソースすべきスキル 法務担当者としてのスキルデザインをする上では、・何を内製化するべきで何を外注化するべきか、・内製化するべきスキルで何を適切に処理できていて何が不足しているか、・内製化するべきスキルはすべて適切に処理できているか否か・不足しているか否かをどうやって測定・判別するのか、...

00670_法務課題の整理・体系化の考え方

企業経営とは、バーチャルで空疎なフィクションとしての人格たる法人組織に統治秩序を構築して運営実体として実質化し、ヒト・モノ・カネ・チエといった経営資源を効率的に調達・運用・廃棄し、企業内に創出した付加価値を、営業活動によって実現し( 営業成果をカネに変質させる付加価値実現プロセスにおいて債権が介在する場合にこれを管理・...

00669_“げに恐ろしきは法律かな”その3:法律はもはやこの世の誰も全容を把握できないほど多すぎるし、よくわからない方々が作る、狂ったものもある

すべての法律や規則はあまりに多すぎます。 法律のすべてを知っている人間は、この世の中にはいません。多分。 法律は、俗に、「六法」などといいますが、6つだけではありません。 世の中には、6つとかの話では済まない、とてつもない数の法律が存在します。 行政個別法という法分野だけで一説には1800近くあるとか。 また、ホニャラ...

00668_民事裁判官のアタマとココロを分析する(6):具体的条件を提示した和解の斡旋は、「(従わないとエラい目に遭う)命令」

例えば、一審は勝訴したものの、一審の裁判官も、明々白々な証拠があって、雲1つない晴天のようなすっきりとした気持ちを持ち、胸がすくような形で、一方当事者を勝たせた、ということではない、というケースがあります。 一審判決を読むと、ためらい傷が残るように、懐疑を挟み、躊躇(ちゅうちょ)を覚えつつ、最後まで晴れ晴れとした気持ち...

00667_民事裁判官のアタマとココロを分析する(5):「地裁で負けても高裁があるとか」舐めたこと考えてんじゃねえよ。日本は3審制でなくて、1.3審制なんだよ。

皆さんは小学校時代、「日本の司法制度は三審制。地裁、高裁、最高裁、と、3回裁判のチャンスあり」と習ったのではないでしょうか。 無論、それは形式上、論理上、建前上、間違いではないのですが、ただ、言葉と実態がかけ離れており、言葉を額面通り受け取ると、エライ目にあうようなお話といえます。 分かりやすく、実態に即した言い方をす...

00666_企業法務ケーススタディ(No.0224):不動産保有会社を格安M&A?

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース31:不動産保有会社を格安M&A?をご覧ください。 相談者プロフィール:富沢商事株式会社 代表取締役社長 富沢 松夫(とみざわ まつお、66歳) 相談概要: 新しいチェーン店...

00665_民事裁判官のアタマとココロを分析する(4):証人尋問は退屈で無意味なセレモニー

一般に、「証人尋問は訴訟の最も重要で、ドラマチックな場面」などと考えられているようです。 東京地裁が取り扱う民事事件については、連日、法廷において、鋭い尋問、動揺する証人、喧々諤々とした論争、丁々発止のやりとり、連発される異議、飛び出す新証拠、傍聴席を埋め尽くすたくさんの傍聴人、身を乗り出す裁判官、などとテレビドラマの...

00664_民事裁判官のアタマとココロを分析する(3):国民の支持とか賛成とかどうでもいいが、「国民の信頼」を無くさないよう、むちゃくちゃ気を遣う

民事裁判官は、訴訟経済、すなわち、事件を解決するためのスピードと効率性を何より大切にし、「予断と偏見」という職人的スキルを使って事件を処理します。 他方、訴訟経済を追求した結果、あまりにデタラメや間違いが多すぎると、今度は、国民の裁判や裁判所や裁判官に対する「信頼」がなくなります。 「国民の裁判や裁判所や裁判官に対する...