弁護士は、顧問先から依頼される契約書の閲読と簡素なチェックについては、
「当該取引ないし契約書が典型的なものであり、異常性や極度に不利な条項の有無の指摘、難解で一般のビジネスパーソンには不明な箇所の理解の補充にとどまり、回数や頻度も(口頭での協議や助言に比べて)特段負担にならない」
という前提ないし条件において、口頭での協議や助言に準じる扱いで、顧問契約内のサービスとして受けることとなります。
他方で、典型的ではない契約の場合、また、要求事項が
「加筆や修正」
となると、
「事件・事案(プロジェクト)」
としての扱いになり、顧問サービスの範囲を超えます。
ドキュメント制御を担う場合と、そうでない場合とでは、負荷が異なるからです。
そして、
「事件・事案(プロジェクト)」
としての扱いになると、コストもさることながら、より慎重さが求められるので、時間という資源についての合意がされなければなりません。
その意味で、まず、たてつけとして、
1 「当該取引ないし契約書が典型的なものであり、異常性や極度に不利な条項の有無の指摘、難解で一般のビジネスパーソンには不明な箇所の理解の補充にとどまる」ことを選択するのか、
それとも、
2 費用や時間がかかってもいいので、「事件・事案(プロジェクト)」としての扱いとして、予算や時間の見積もりが先行する形で、きっちりとした進め方をするのか
という”トレードオフ課題”について、クライアント自身の考えを整理する必要があります。
端的に言うと、クライアントにおいて、
1 失敗してもいいので雑に進めるか
2 時間やコストをかけて、合理的かつ堅実に進めるか
という”トレードオフ課題”についての態度決定を明らかにしないことには、弁護士としてはエンゲージしようがない、ということになります。
<参考記事>
01948_契約書のチェックの工程
01950_契約書のチェックの工程その2
01951_契約書のチェックの工程その3_著作物制作
01952_契約書のチェックの工程その4_著作物制作
01953_契約書のチェックの工程その5_加筆修正
01954_契約書のチェックの工程その6_加筆修正例と、契約修正の意義と価値
01955_契約書のチェックの工程その7_加筆修正_5文字の大きさ
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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