00318_「内部通報者」が「外部通報者」に豹変するリスク

公益通報者保護法は、公益目的で企業内部の非違行為を外部公表した従業員(公益通報者)を企業が不当に解雇することを禁じています。 この法律は、公益通報者を企業の報復的な解雇から保護することにより、従業員等が、解雇などの不利益を恐れずに企業の内部の不正等を通報することを可能としていますが、この法制度により、企業内で発生した問...

00310_反社会的勢力にまとわりつかれた状況における、企業ないし取締役個人としての対処法

ある株式公開企業が反社会的勢力により「株付け」され、これをきっかけとして、総会対策名目で接点を作ってしまい、その後は、「指示に従わないと生命に関わる脅威」をちらつかせ、言うなりになるよう、恐喝が始まったケースを考えます。 そもそも、企業が株式を公開している以上、自社株式が誰の手に渡ろうが、会社にとっては無関係な話です。...

00309_総会屋の撃退に失敗したことが企業危機に発展した事例:蛇の目ミシン事件

ある仕手集団が88年から90年にかけて蛇の目ミシン工業株式を買い占め、同社の経営陣(当時)に対して高値引き取りを要求し、融資名目で約300億円を脅し取ったり、蛇の目ミシンに子会社の債務保証をさせる等した事件が発生しました。 仕手集団元代表自身は恐喝等の罪で懲役7年の実刑判決が確定しましたが、その後、「この事件が原因で会...

00308_株主の権利の行使に関する利益供与罪

日本の企業社会では古くからの悪習として、株主総会の進行の補助や妨害を行わないことの見返りとして金品を要求する特定の筋の方々(いわゆる総会屋。法曹業界用語では「特殊株主」などといいます)に対する利益供与が繰り返されておりました。 この悪習は、「自社の体面を保ち、株主総会をトラブルなく済ませたい」という経営者側の意向と、「...

00279_「コンソーシアム」なる主体と契約する場合のリスク

取引相手と目される主体が、コンソーシアム(ある目的のために形成された複数の企業や団体の集まりのことを指します)となっている場合があります。 ですが、このコンソーシアムには、法人格があるのかないのか、一体誰がどのような責任を持って運営しているのか、法的には一義的に明確ではなく、要するに、素姓は明らかではない幽霊とあまり変...

00265_敵対的買収の対抗手段としての第三者割当増資

買収防衛策としては、今や新株予約権や種類株を使った非常に複雑なものが当たり前となっていますが、2000年代前半ころまでは、買収防衛策(買収対抗策)といえば第三者割当増資が最もメジャーな手段でした。 すなわち、決して裏切らないお友達に株式を大量に発行し、敵対的買収者の持ち株比率を下げるという手法です。 実際、敵対的買収の...

00261_「法人格」による個人責任遮断効果

一般社会では、人というと、ホモ・サピエンスとして分類される有機的生命体を指しますが、「法人」というのは、グループ(社団法人)や財産プール(財団法人)に過ぎず、現実には影も形もないものです。 すなわち、法律の世界では、生物としての実体も影も形もないものであっても、「財産や負債を格納できる入れ物」が存在し、そこに権利を移転...

00256_株主代表訴訟の脅威を低減・制御する方法

会社の経営陣の方々から、よく「株主代表訴訟は怖い」という言葉を聞きますが、「饅頭怖い」の落語のように本質を理解せずただ抽象的に怖がっているため、防御策をほったらかしにしているところがほとんどです。 本質的な対策としては、取締役において代表訴訟の原因となるべき任務懈怠あるいはこれと疑われるべき行為を減らす努力が必要です。...

00255_株主代表訴訟とは

株式会社の取締役が会社に迷惑をかけた場合、本来、会社がチョンボした取締役に損害賠償をすべきなのでしょうが(この場合監査役が会社の代表として訴訟提起します)、現実問題として、会社を牛耳る取締役に対して、役員仲間である監査役が責任追求するなんてことは期待できるはずもありません。 その結果、取締役としては、絶大な権限を利用し...

00220_企業法務ケーススタディ(No.0175):ゴミ株主から「競業行為だ」とケチをつけられた!

相談者プロフィール: 株式会社ほっとっと 代表取締役 澤倍 裕(さわべ ゆう、27歳) 相談内容: 先生、ちょっといいっすか。俺ね、死んだ親父の跡を継いで、地元の湘南で弁当屋やってるんすけど、それが結構流行ったから、1都6県関東地方でじゃんじゃん店舗拡大したのよ。んで、今じゃわりかし有名な弁当屋ってわけ。まぁ...