00732_労務マネジメントにおける企業法務の課題1:採用を慎重に行うべき理由

職場で使用しているパソコンが壊れてしまい、起動すらできない状態となり、修理センターに持ち込んでも、
「修理不可能」
と言われた場合、皆さんはどうなさいますか? 

壊れて使い物にならないパソコンを後生大事に保管しておくでしょうか?

こういう場合、たいていの企業はパソコンをさっさと廃棄処分にするはずです。

では、次に、企業に勤める従業員が、いくら教えても仕事の覚えが悪く、まったく使いものにならないことが判明した場合はどうでしょうか?
「さっさと」廃棄、
いや、解雇処分できるでしょうか?

答えはNOですね。

結婚において
「結婚は自由だが、離婚は不自由」
などといわれるのと同様、法律上、雇用に関しても
「採用は自由だが、解雇は不自由」
というべきルールが存在します(解雇権濫用法理、労働契約法16条)。

上記のような法律の規定に従う限り、
「いくら教えても仕事の覚えが悪く、まったく使いものにならないことが判明した」
くらいでは解雇はできません。

すなわち、
「モノ」
であるパソコンと違い、
「ヒト」
という経営資源(すなわち労働者・従業員)については、労働契約や労働基準法を筆頭とする労働法制が従業員に対して徹底した法的保護を与えており、企業に対しては
「一旦雇用したら最後、原則として定年で退職いただくまで解雇は不可能」
という、過酷なまでの対応が義務づけられています。

パソコンになぞらえると、
「一度購入したら最後、『壊れて使い物にならない』状態になろうが、年間何百万円というメンテナンスフィーを支払って、後生大事に数十年間保管し続けなければならない」
というのと同様のことが、企業に求められるのです。

平均的な大卒新入社員を例に取って考えます。

企業が、大卒新入社員を、一旦採用すると、23歳で入社し、(入社から定年直前までをざっくりと平均した年間所得としてみて)年間約500万円定年を迎えるまでの間の約40年間、支払続ける羽目になるのです。

さらに、この社員に対しては、机や椅子やパソコンやオフィススペースや諸々用意しなければならず、この費用として、さらに年間300万円ほどかかります。

このように考えると、
「従業員を採用する」
ということは、
「(500万円+300万円)×40年」、
すなわち
「約3億2000万円の買い物をする」
ということと同義であることに気がつきます。

一般に大企業は、新卒社員の採用について、異常なまでの時間とコストとエネルギーをかけます。

すなわち、壊れたパソコンを買い換える場合、適当に調べて1日2日で調達購入しますし、他方、新卒採用については、
「3、4億円の高額不動産を購入する」
といった趣で、約1年の時間をかけて、調査し、何度も考え直しながら慎重に判断します。

これは、大企業が、
「従業員の雇用」
という経営資源調達活動が、
「“超”高額なお買い物である」
ということをきちんと理解しているからです。

他方、中小企業は、実にいい加減に雇用上の意思決定をします。

人手不足になると、すぐ採用数を増やそうとしますし、採用のプロセスもいい加減で適当。

特に、中途採用に至っては、面接して、
「ウン、気に入った。明日からすぐ来られる?」
のような実にイージーに行います。

こうやって、無定見に人を増やした挙げ句、
「こいつは思ったほど使えない」
「受注が減ったので従業員はこんなに一杯要らない」
と言って、使えなくなったパソコンを廃棄するような感覚で、すぐにクビを切ろうとします。

前世紀においては、いまだ労働法における解雇禁止則の世間への認知浸透が不十分であり、
「使えないからクビ」
などと言い渡された従業員側も、あきらめて自主的に退職し、次の就職先を探すため、とっとといなくなってくれました。

ところが、最近は、
「採用は自由だが、企業側からの解雇は原則不可」
というルールの認知が世間に浸透しはじめており、
「能力不足」
などの適当な理由で安易にクビを切ろうとしても、従業員は応じてくれません。

無理に解雇しようとすると、裁判所に労働審判を申し立てられたり、最悪、合同労組に駆け込まれて赤旗が立ち、大きなトラブルに発展します。

ポイントとしては、実に簡単な話です。

同じ経営資源でも、パソコンのような
「モノ」
と、
「ヒト」
とは、廃棄ないし処分のルールに明確な違いがあり、したがって、採用は慎重に行わなければならない、ということです(この点、中小零細企業の経営者は、「ヒト」と「モノ」の区別がついていない、ということがいえます)。

かなりネガティブな話ばかりしましたが、もちろん、もっと前向きな意味もあります。

企業というものは、あくまで人が動かすものであり、
「ヒト」
という経営資源をうまく組み合わせることにより、
「モノ」

「カネ」
のオペレーションの何倍、何十倍もの収益を産み出してくれます。

初出:『筆鋒鋭利』No.056、「ポリスマガジン」誌、2012年4月号(2012年4月20日発売)

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00731_内部統制構築の実務8:タスク(5)再発防止策の策定・運用

法令や定款や規則が定められ、これらのルールが遵守されるようコンプライアンス教育や研修が実施され、ルールの意味と遵守の価値と意義、さらにはルール違反をした場合の制裁措置も含めて、役職員全員きっちり理解しました。

にもかかわらず、内部監査や内部通報を通じて、ルール違反が検知され、不祥事が発覚し、適切な調査の上、違反に対する制裁等が実施されました。

内部統制構築・運営の実務としては、以上の事件が発生した後、再発防止策が検討されることになります。

この場合、まず事件の性質が検証されます。

すなわち、
1 特定個人の暴走による、属人的で一過性的で偶発的で特殊な事例で、今回発覚し、制裁等のしかるべき措置が取られたことで、完全に終息したものと見得るか、
あるいは、
2 事件の端緒となったミスやエラーは偶発的・一過性的・属人的なものとは言えず、普遍的に発生し得る土壌が形成され、組織的・構造的に違反等が発生する状況にまで至っているとみるべきか、
という事件の総括評価です。

この点、1の前者であれば、再発防止策としては、ルールを明確化して、警告・告知で十分です。

他方、2の後者であれば、ルール自体、あるいはルールを遵守する組織の環境や構造自体として、機能不全に陥っているわけですから、新たなルールや運用や検知方法(監査強化等)といった、別のアプローチによる再発防止策が検討し、策定されるべき、となります。

そして、この
「別のアプローチによる再発防止策」
が新たなルールを構成する場合、また、ルールの教育・研修から始まるプロセスを踏襲して、ルールの実効性を担保する仕組みを策定し運用することになるのです。

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00730_内部統制構築の実務7:タスク(4)違反者に対する制裁

企業であれ軍隊であれPTAであれサークルであれ暴力団であれ、およそ組織というものには、
「ルール」

「ルールの実効性を担保する仕組み」
というものが必要です。

「ルールなき組織」
は組織として維持・継続できません。

ルールがあっても、組織のメンバーが誰もルールを守らなければ、結局は、そのような組織は
「ルールなき組織」
と化し、やはり、組織は瓦解します。

話は変わりますが、私立中学受験は非常に人気が高く、かなり底辺と呼ばれるランクに位置する中学ですら相応の人気があるようです。

裏を返せば、そのくらい公立中学が不人気で忌避されている、ということを表しているようです。

「公立中学に行くくらいなら、底辺と呼ばれるランクであっても私立中学がマシ」
という選考の背景には、
公立中学の「治安」
に対する不安があるようです。

公立中学の「治安」
が崩壊するのは、違反に対する制裁が甘く、刑法や刑罰制度や警察機構といった、
「治安維持のための暴力装置」
を欠如しているからであろう、と推察されます(私立の場合は、校則と校則遵守が強制され、これに反すると、「退学」といった強制排除措置が実施されますが、このような暴力装置が担保となって、相応の治安が保たれている、とみることができます)。

「刑法や刑罰制度や警察といった暴力装置のない社会」
は、穏やかで平和な楽園ではなく、地獄のような無法地帯と化します。

公立中学では、義務教育を提供するという建前もあり、そもそも
「停学」「退学」
という強制的に問題生徒や違反生徒を排除する制度は存在しないようです(制度としては存在しても、実施例がなく、実効性が骨抜きになっていると思われます。)。

そうなると、生徒たちは、警察沙汰になるようなことでもないかぎり、なにをやっても自由だと考えるようになります。

凶悪な犯罪であっても、犯罪者が少年少女である限り、刑罰ではなく矯正に重きを置かれます。

少年少女といっても、犯罪を犯すわけですから、
「犯罪を犯す能力がある程度の知能と体力」
を実装した凶悪な社会の敵です。

「犯罪を犯す能力がある程度の知能と体力」
を実装した凶悪な社会の敵について、一定の属性を獲得していれば、国家が、暗に、
「どんなに凶悪な罪を犯しても、刑罰は課さない」
と認めるわけですから、少年犯罪が凶悪化するのは至極当たり前の話です。

このような、公立中学の治安悪化や、少年犯罪の凶悪化は、
「子どもは、純粋で、清らかで、無垢な存在であり、仮に、心得違いがあっても、何かの間違いであり、暖かく見守り、矯正してあげれば、きっと正しさと善良性に満ち満ちた存在に回帰する」
という教条主義的(あるいは狂信的な)性善説が原点になっています。

「犯罪を犯す能力がある程度の知能と体力」
を獲得・実装した存在は、大人と同様、
「機会と動機と環境によって、凶悪な社会の敵になり得る」
という前提で、治安を維持するための暴力装置の対象とすることは、社会にとっても重要ですし、
「(子供扱いするのではなく、立派な)大人扱い」をしてあげる、
という意味で、子供の尊厳を保障することにもなると思います。

脱線しましたが、
企業という「社会」
においても、治安維持のための暴力装置、すなわち、ルールとルールの実効性を担保する仕組みが必要です。

ここで、
「ルールの実効性を担保する仕組」
とは、端的にいいますと、ルール違反者をきっちりと制裁することです。

話はまた少しそれますが、刑法あるいは刑事政策において「目的刑論」という議論があります。

これは、
「刑罰はどういう目的で科せられるのか」
という問題に対するもので、
「刑罰は、犯罪を抑止する目的で作られ、運用されるシステムである」
という考え方です。

少し敷衍して申し上げますと、国家が刑法に違反した者(犯罪者)に刑罰を科すのは、
・「犯罪者に対して実際に処罰を執行することにより、刑罰法規が有効に機能していることをデモンストレートし、このことを通じて、犯罪を計画する者たち(犯罪者予備軍)に対しては直接的な威嚇をなし、一般市民に対しては法への信頼(法確信)を植えつける」目的(一般予防目的)や、
・「犯罪者に刑罰を科すことを通じて、当該犯罪者を教化して再犯に陥らせないようにするため、あるいは、犯罪傾向が強い者を社会から一定期間隔離することを通じて、一般社会に悪影響が生じないようにする」目的(特別予防目的)
を達成するためである、等と説かれます。

この理屈は、内部統制やコンプライアンスにもあてはまります。

すなわち、内部統制やコンプライアンスを健全に機能させるためには、違反者を厳格に制裁することを通じて、不心得者やその予備軍を教化・威嚇するとともに、真っ当なカタギの社員に
「ウチの会社はしっかりした会社だ」
という安心感を植えつけることが必要である、というわけです。

ところで、日本の多くの企業は、内部統制やコンプライアンスの重要性を説くものの、実際、違反者が出た場合の対応が実にヘタクソです。

企業の中には、やり方がわからないのか、あるいは単に面倒なのか、法令・定款・その他内部諸規程に違反する者が出ても、制裁に躊躇し、そのまま放置してしまうところが少なからず存在します。

また、企業秩序に違反する人間は、営業成績が良かったり、企画力に優れていたり、幅広い人脈を持っていたりする場合があり、要するに
「デキる人間」
だったりする場合があります。

そうなると、内部監査や内部通報でつまらぬ、些細なミスやエラーやチョンボが発覚しても、これを氷山の一角として調査を深掘りするようなことをやめ、臭いものに蓋をして軽めの訓戒で無罪放免する方が、会社にはメリットがあります。

「ルールに詳しく秩序にうるさいが、打撃成績が二軍落ち寸前まで低迷している人間」
が、
「打撃絶好調の三冠王の四番打者の些細なルール違反」
を騒ぎ立てた場合、チーム成績に最終責任を負う監督は、どう処理するか、と想像すれば、前記の実情も是非は別として理解できる事態といえます。

そもそも、経営者は、公務員と違い、陳腐な常識や建前を墨守することが求められているわけではなく、常識や建前に拘泥せず、むしろ、これを乗り越えて、世の中の誰も見たことも考えたこともない商品やサービスや手法を具現化して、経済的成果を上げることを本質的生業とする存在です。

その意味では、常識に囚われず、リスクを恐れない、という点に限っては、犯罪者のメンタリティと近似しています(そのせいか、革新的ベンチャー経営者が、犯罪を犯して逮捕される、という例をよく見受けます)。

ルールや秩序や建前を墨守するのが大好きで、そのくらいしか能がないような方は、経営者ではなく、公務員試験を受けて役人になっています。

逆に、アップルやグーグルやアマゾンのCEOをいきなり地方公務員や小学校の教師やお巡りさんに変えた場合、業績は上がるでしょうか? 株価はどうなるでしょうか?

弁護士という職業は、公務員やサラリーマンとの仕事上の接点は少なく、仕事で最も接触するのは、犯罪者か経営者です。

職業上の経験で言うと、両者は、もちろん地位や立場は真逆の存在ですが、何となく同じ匂いがする、すなわち、公務員とか教師が務まらなさそう、という意味での近接性を感じたりします。

そんなこともあり、秩序や常識や倫理から離れて思考し、行動する人間と、成果や業績を上げる人間が、同一人となる可能性もあり、また、革新的で成果を上げてきた経営者としてもそのような
「元気と勢いがあるヤンチャな人間」
へのシンパシーも働き、違反者への制裁発動は、緩みがちとなってしまう実情が企業の内部に存在する場合があります。

こんなことをしていると、ますます箍(たが)が緩んで、同種の違反が再発しますし、ルールを守る真面目な社員もアホらしくなってしまい、組織への信頼感・帰属感を喪失し、やがて組織は瓦解していきます。

また、逆に、違反が生じれば、細かい理由を抜きにして、闇雲かつ拙速に違反者を厳しく制裁してしまおう、という企業もあるようですが、こちらはこちらで問題です。

某プロ野球球団のコーチ人事に絡んで、球団社長と球団親会社の実力者が、互いに
「コンプライアンス違反だ」
と罵り合って、訴訟沙汰にまで発展する事件が発生しました。

この事件をみると、
「“コンプライアンス違反”というあいまいな処分理由
がいかに捉えどころがなく、扱いが難しいか、ということを物語っています。

すなわち、
「コンプライアンス」
という得体の知れない抽象的なものは、それ自体、制裁の根拠足り得ません。

言い方を変えれば、仮にも役員や職員を処分し制裁を加える場合、
「コンプライアンス」
などという人によって定義が異なる曖昧なものではなく、法令なり定款なり就業規則に明記された義務の根拠を特定し、これをもとに議論する必要があるのです。

また、違反者を解雇しようとする場合、解雇するに足る明確な理由(就業規則違反)を特定するとともに、
「違反事実と処分内容の適正なバランス」
が求められます。

ちなみに、内部統制やコンプライアンス上のルール違反者を辞めさせようとしても、現在の判例実務を前提にすると、よほど酷い違反でないと解雇は認められません。

例えば、高知放送事件があります。

ラジオ放送会社が
「2週間の間に2度、宿直勤務の際に寝過ごし、定時ラジオニュースの放送事故を起こし、放送が10分間ないし5分間中断されることとなり、2度目の放送事故を直ちに上司に報告せず、後に事故報告を提出した際に、事実と異なる報告をした」
という“コンプライアンス”上あり得ないアナウンサーに対して普通解雇したことの是非が争われました。

この点、最高裁は
「解雇をもってのぞむことはいささか過酷に過ぎ、合理性を欠くうらみなしとせず、必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできない」
として解雇を無効とし、非常識極まりないアナウンサーを救済し、処分した会社側を非難しています。

以上をふまえると、
「コンプライアンス違反で解雇だ!」
という世上よく言われる趣旨のことを実施しようとしても、
「解雇理由は明確ではないし、解雇処分も不相当であり、解雇は無効。逆に、解雇した会社の方こそ、重篤な労働基準法コンプライアンス違反だ」
などといわれかねません。

以上のとおり、内部統制もコンプライアンスを健全に確立する上では、違反者に対してきっちり制裁しておくべき必要はありますが、他方、違反者処分の実際の現場では、労働基準法等をよく調べた上で慎重に行わないと後で大恥をかいて、組織の規律が却っておかしくなってしまいますので、十分な注意が必要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00729_内部統制構築の実務6:タスク(3)違反の調査

内部監査や内部通報で、違反の端緒が検出された場合、これをそのまま真に受けて、即違反者を懲戒等すると、これはこれで大きな問題となります。

内部監査については、どんなに慎重に行っても過誤は防げませんし、ましてや、内部通報については見間違いや讒言や足を引っ張るための不当な通報利用、さらには、法令や定款・規則等に違反しない単なるモラルや主観的な品位感受性の問題を通報者が騒いでいるだけ、といったこともあります。

手続保障の観点から、違反者と疑われた者に対する告知・聴聞手続きはしっかりと経由して、真相を解明するべき必要があります。

また、判明した不祥事が大規模なもので企業有事(企業の存立危機事態)に関わる事件に発展する契機を内包している場合や、トップ自身が関わっており調査や評価の中立性・客観性・独立性が求められるような場合は、いわゆる第三者委員会等の外部独立機関を設置し、調査を委託するべき場合も出来します。

なお、第三者委員会の設置・運営は、日本弁護士連合会が定める「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠して進めることが推奨されます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00728_内部統制構築の実務5:タスク(2)違反の検知-内部監査制度及び内部通報制度

フィリップ・ジンバルドという心理学者が、匿名状態にある人間の行動特性を調べる実験を行ったそうです。

その結果、
「匿名性が保証され、責任が分散されているといった状態におかれた人間は、自己を規制する意識が低くなり、衝動的・非合理的行動が現われ、周囲に感化されやすくなる」
という心理学上の理論が導かれたそうです。

これは経験上も理解できる話です。

ある社会において
「ルール違反をしても、皆見て見ぬふりをするし、誰からも咎められることはない」
という環境を作った場合、その社会はどうなるか。

宗教家の方などは、
「善なる本質を有する人間は、外部の強制規範などなくても、自己を律して行動するので、その社会は健全に発展する」
などという話をするかもしれませんが、現実は、前述の心理学の実験のとおりであり、
「皆、やりたい放題、ルール違反をしだし、その結果、秩序を保てなくなり、社会自体が崩壊する」
ということになります。

かつて、
「終身雇用」
を謳い、企業と従業員は、
“擬似家族”の関係
を形成していました。

この時代、
鎌倉幕府における「御恩と奉公」が如く、
「従業員が企業に永遠の忠誠を誓い、企業が死ぬまで従業員の面倒をみる」
という世界的にみても特殊な企業文化が存在していました。

「終身雇用は絶対」
「企業と従業員は家族」
等といわれた牧歌的な時代においては、
「親」
ともいうべき企業を害するような不心得者の従業員は少なく、企業側が口うるさく指導しなくとも、従業員は指揮命令や法令を遵守し、企業という小さな社会は平和で健全でした。

ところが、現代の日本企業社会においては、終身雇用制は崩壊しつつあり、企業と従業員の関係は、労働力とカネを交換するドライな取引関係となってきています。

実際、新人社員は少しでも気に食わないことがあるとすぐに企業を辞めますし、企業側も業績が悪化すれば平然とクビを切ろうとします。

そのような状況において、内部統制・コンプライアンスを推進し、企業という社会を健全に保つためには、
「従業員を監視し、ルール違反をしていないか常に見張る」
「従業員が相互に監視させ、ルール違反をしたら、常に相互にチクられる」
という環境が絶対必要になります。

「違反監視」や「密告」や「チクリ」
というと非常にネガティブな印象をもたれがちですが、前述の心理学の理論のとおり、
「ルール違反をしても、皆見て見ぬふりをするし、誰からも咎められることはない」
という状況を放置することの方が企業という社会にとって危険です。

このような前提の下、企業において内部統制・コンプライアンスを推進するため、現在、多くの企業が、内部監査制度や内部通報制度を整備・運用し、企業内部の各種規則違反や法令違反行為の検知に努めています。

「内部監査を遂行する」
「内部通報制度の整備・運用をする」
という仕事は、企業という社会が健全性を保って発展していくために極めて重要な仕事ですが、他方、
「秘密警察」や「密告」や「チクリ」
に関わる仕事という側面もあり、誰もが忌避したがる仕事です。

こういう仕事を進めていく上では、感情を入れず、機械的に行うことが肝要です。

また、内部の人間が行うとバイアス(偏見)が入り込む場合があるので、外注を効果的に使うことも必要です。

それと、内部監査制度や内部通報制度を用いるにあたっては、その限界も踏まえておく必要があります。

まず、内部監査制度は中間管理職以下の非違行為を定期不定期にモニタリングします。

そして、内部通報制度は中管理職の非違行為を、通常のコミュニケーションラインではなく、(通報窓口を通じて)トップに直接知らしめ、内部の膿をあぶり出するものです。

しかし、トップマネジメント自身が違法行為をする場合、違法の検知・是正することは困難となります。

光学機器メーカーのO社において、歴代トップが長年にわたって粉飾決算を重ねていたことが明るみになりましたが、内部監査制度や内部通報制度がトップマネジメント以外の従業員・中管理職の違法を検知するものである以上、どんなに内部監査制度や内部通報制度を充実させようが、トップマネジメント自身の不祥事は検知できませんし、是正は期待できません。

とくに、内部通報制度は、密告・チクリの類を推奨するものであり、その運用の成果は、密告する側、チクる側の利用モラルに異存します。

すなわち、内部通報制度を整備・運用すると、(特に)人事異動時期が近づくにつれ、嫌がらせの通報が増加する傾向が見られます。

この種の通報は、そもそも通報事由に該当しないような誹謗中傷の場合が多く、この種の
「ナンセンスレポート」
を効果的に排除していく工夫も必要になります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00727_内部統制構築の実務4:タスク(1)コンプライアンス教育・コンプライアンス研修

教育・研修についてですが、内部統制やコンプライアンスの教育研修は、一般の学校教育とはまったく異なります。

一般の学校教育が知的水準や教養レベルの向上を目的とするものであり、受講者側の知的能力が問題とされるのに対し、内部統制やコンプライアンスの教育研修の目的は、
「(誰でも使える)インフラとしての法制度や仕組」
を理解させることであり、受講者側の知的能力はさして問題になりません。

即ち、四則演算や微積分や物理法則等といった社会活動と隔絶した自然科学法則を学術的に教える学校教育とは異なり、制度や社会のルールを理解させるための内部統制教育やコンプライアンス研修は、言語と社会常識を理解できる人間であれば、誰でも身につくものです。

ちなみに、法律学や会計学は一応
「学問」
とカテゴライズされており、これらを教える教育機関や教育者も整備されていますが、法律や会計は、たんなる制度あるいは取決めであって、学術性は皆無であり、
法律「学」

会計「学」
という言い方はやや誤解を招きます。

実際、会計というシステムについては、
「特定の大学の特定の学部でしか学べない学術分野」
というものではなく、商業高校にいる素行にやや問題のある学生でもフツーに勉強していますし、中学しか出ていない方でも仕事で決算を組むことは可能です。

法律についても同様で、ロースクールに通わなくとも、予備校で勉強した学部生が大量に司法試験予備試験(ロースクール卒業資格試験)を取得しています。

おそらく、単なる制度やシステムにすぎない法律や会計が、
「学問分野として整理され、あたかも特定の高等教育機関でしか教えられない学術性の高い領域」
とされているのは、これらの教育に携わる大学関係者へ配慮した結果だと思われます。

話を元に戻しますが、内部統制やコンプライアンスのための教育・研修は、ルールの重要性を理解させることがゴールになります。

ルールの重要性を理解させることがゴールといっても、
「このルールは大切だ」
「このルールはきちんと守れ」等
と大声で連呼したところで、睡眠を誘うだけであり、教育研修の効果は期待できません。

「規則教育」
の最も成功したモデルは、自動車教習所の学科講習です。

自動車教習所には、社会常識と健全な規範意識を有した学生や社会人に加え、反社会性が顕著な非行少年や虞犯(ぐはん)少年も多数訪れます。

後者のような
「常識や規範意識がやや希薄な集団」
に規則教育をするのは至難の業ともいえますが、多くの自動車教習所では相応の教育効果を挙げています。

これはどのような方法によるのでしょうか。

学校教育すらなじまないこの種の方々に通り一遍の規則教育したところで誰もまともに聴講するはずがありません。

しかしながら、彼ら・彼女とて、規則違反をした結果として加えられる実害やペナルティには極めて敏感です。

そこで、自動車教習所では、学科講習の際、スピード違反をした結果として発生する悲惨な事故状況を臨場感あふれる形で撮影した写真のスライドをみせたり、道路交通法に違反した場合や業務上過失により他者を死傷させた場合の各種責任(民事責任、刑事責任のほか免許停止や免許取消等の行政上の責任)を強調し、このような
「ルール違反に伴う結果の悲惨さ・重篤さ」
をビビッドに理解させることを通じて、ルールの重要性を理解させています。

学校の授業で教師が話す内容には一切聞く耳をもたないような連中も、
「車やバイクが大破し血糊が飛び散るような事故状況の写真」
は刮目して見ますし、
「交通刑務所での服役状況の話や、大枚はたいて取得した免許が停止・取消になるような実害を伴う話」
についてはきっちり理解しようと努めるものです。

内部統制教育やコンプライアンス研修も、上記と同様のことがあてはまります。

学術的な内容やルールの社会的背景を解説するタイプのアカデミックなプログラムは目的と完全にずれていますし、個々のルールを詳細に解説したところで、受講者が睡眠し、体のいい休息時間と化すだけです。

内部統制やコンプライアンスに関する教育・研修は、交通教育において
「車が大破し血糊が飛び散るような事故状況の写真の提示」

「交通刑務所での服役状況・処遇状況の教示」
に対応するようなもの、例えば、
「横領・背任、談合、インサイダー取引等のルール違反をした場合に、どのような過酷な状況に陥るか」
ということを具体的かつリアルに説諭することこそが、ルールの重要性を理解してもらう上でもっとも効率的で合理的な方法といえます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00726_内部統制構築の実務3:内部統制やコンプライアンスを進める体制を効果的に構築するための具体的タスクデザイン

内部統制あるいはコンプライアンスを進めるために行うべき具体的タスクをみてみます。

内部統制あるいはコンプライアンスを進める上での具体的タスクとしては、
1 教育・研修、
2 違反の検知、
3 違反の調査、
4 違反者に対する制裁、
5 再発防止策の策定・運用、
という各タスクが想定されます。

そして、
「5 再発防止策の策定・運用開始」
から
「 1 (策定した再発防止策としてのルールやマニュアルの)教育・研修 」
に戻り、統制を進めていくことになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00725_内部統制構築の実務2:内部統制とコンプライアンスの相違点

内部統制と似たもので、コンプライアンス(法令遵守)という経営課題もあります。

ざっくりいいますと、内部統制もコンプライアンスもほぼ同じ概念なり経営課題として考えていただいて差し支えありません。

内部統制が
「企業の方針」と「企業の実際のオペレーション」の整合性を確保する活動
とすると、
コンプライアンスは
「各種法令」と「企業の実際のオペレーション」の適合性を確保するための活動
と整理できます。

とはいえ、企業の方針が法令に適合したものであることが当然求められる以上、内部統制もコンプライアンスも、
「企業の現実の活動を法令及び定款に合致したものにする」
という点において、目指す方向は同じといえます。

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00724_内部統制構築の実務1:内部統制システムを構築するにあたって、どのような哲学や基本理念基づき構築すべきか?

内部統制システムとは、
企業経営を行う上で、絶対根絶不能で、不可避的・恒常的に発生する法令違反リスク」に効果的に対処し、
「大事を小事に、小事を無事に」する
ためのマネジメントプログラムと定義されます。

このシステムを構築・運用するプロジェクトについて、適切に前提環境認識や稼働上の相場観が形成され、リスクや課題も正しく抽出・特定し、認識できた、としましょう。

あとは、さほど困難ではありません。

病気を治すにも、病状と病名が判別しなければ、対処のしようがありません。

他方、病状と病名さえ判別すれば、あとは、それにあった薬を用法用量にしたがって服用するなり、オペを実施して、病巣を取り除けば済む話です。

無論、足が壊死した、手が壊死したといったように、特定の病巣部位が不可逆的なリスクを抱え放置していたら命に関わるということであれば、当該足や手を切り落とすほかありません。

足はそのままにしてほしい、手を失いたくないという気持ちが強くとも、あとは、命を失うか、足や手だけにするか、という選択の問題について、決定すればいいだけです。

リスクについても、同様です。

発見し、特定されたリスクは、回避するか、小さくするか、転嫁するか、原因となっている部分を丸ごと取り除いて処理するか、 です。

「原因となっている部分を丸ごと取り除いて処理する」、
すなわち、不可避的にリスクが伴うような事業であれば、そんな事業などやめてしまえばいいだけです。

「法を犯す前提でないと成り立たない商売」
「法を犯さないと完成しないプロジェクト」
「リスクが巨大で実施してリスクが現実化すると企業をつぶしてしまう事業」
というものも世の中には存在します。

「発覚・露見をしないように商売を続ける」
「いつ発覚するか不安に怯えながらプロジェクトを続行する」
「爆発したら会社が吹き飛ぶという不安を抱えながら事業を始める」
という選択もあれば、そんな商売からさっさと手を引く、というのも1つの見識です。

やめてしまえば、法を犯すリスクや企業を潰すから完全に逃れられます。

いずれにせよ、
「最悪、危なっかしい商売から手を引く」
という究極の選択肢が保障されている以上、リスク管理は
「不治の病で、死ななきゃ治らない」
という類の問題ではありません。

たかが、商売です。

金儲けに過ぎません。

「会社を潰してまでやる必要があるのか」
「法を破って、犯罪者となってまでやる必要があるか」
と冷静になって考えてみればいくらでも選択の余地が出てきます。

東芝は、粉飾決算(チャレンジ決算、不適切会計)をして経営成績を誤魔化す道を選択し、最後に発覚し、企業は存続の危機に陥りました。

さらに、その後、東芝は、傘下のウェスティングハウスが、2015年末に原発の建設会社、米CB&Iストーン・アンド・ウェブスターを買収した際、買収直後に、ある価格契約を締結したことが原因で、7125億円もの損失を原子力事業全体で発生させ、2016年4~12月期の最終赤字は4999億円となり、同年12月末時点で自己資本が1912億円のマイナスという、債務超過の状況に陥りました。

この愚行も、
「巨額の債務負担をさせられ、会社を潰す危険を負担してまで、子会社にこんな契約取引させるべきか」
を、合理的に判断し、いざとなれば、やめてしまえば、塗炭の苦しみを味わうことなどなかったはずです。

東芝は、
リスクに気づかず、
リスクに向き合えず、
リスクをきちんと評価できず、あるいは、
リスクが発現しないと盲信して手を打たず、
「(大きな損失を被っても)最悪、危なっかしい商売から手を引く」という究極の選択肢に気づかなかったか、
気づいていたがサンクコストを忌避して手を引けず、
統制と制御を喪失したことで、企業が危機に陥りました。

いずれにせよ、 内部統制を構築するための哲学や基本理念として、
「法令違反の絶無を目指す、根絶をゴールにする」
などという幼稚で愚劣で非現実的な幻想を目指すものではなく、
「大事が小事に、小事が無事に近づくような」現実的な対処と、
「最悪、危なっかしい商売から手を引く」という究極の選択肢を常に思考前提に置く、
という考え方を忘れなければいい話であり、内部統制の構築・運用は対して難しい話とはいえません。

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00723_コンプライアンス体制構築のゴール・デザイン

人は法を守れません

組織も法を守れません

そして、企業が普通に活動しているだけで、常に法を犯してしまう可能性があり、この可能性は絶対なくなりません

他方で、法令に違反するための予防活動は必要です。

法令違反を予防するための活動としては、
「絶無を目指す、根絶をゴールにする」
などという幼稚で愚劣で非現実的な幻想を目指すものではなく、
「大事が小事に、小事が無事に近づくような」現実的な対処
こそが必要です

さらに、リアルな必要性でいうと、不祥事発生時点における
「経営陣の免責」
を目指した環境構築が必要となります。

したがって、コンプライアンス体制構築というプロジェクトのゴール・デザインとしては、
「免責適格要件を充足した(後日、裁判所が内部統制構築義務を履行したと評価するに足る)コンプライアンス体制の構築」
ということになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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